戦火の中へ/포화속으로
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イ・ジェハン監督はこれが3本目の作品なんですね。個人的にはクォン・サンウ目当てというか、彼しか知らなかったりします。ファンの方には申し訳ないけれど人気グループ“BIGBANG”のT.O.Pといわれてもその……。チェ・スンヒョンというのは本名と言うことでいいのかな?どっちで呼んだらよいのか今ひとつ解っていませんが、記事の中ではチェ・スンヒョンと表記させてもらうことにします。本作は朝鮮戦争での実話だそうで、原題「71 Into the Fire」の71はこの物語に登場する学徒兵が71人だったから。首都ソウルが陥落し、最後の要衝・洛東江を守るために発ってしまった韓国正規軍に代わり、浦項に残された71人の学徒兵が、北朝鮮軍766部隊を迎え撃つまでを描いています。それにしても冒頭いきなりの戦闘シーンから、その余りの迫力と臨場感に呆然としてしまうほど。
イメージとしてはハイスピード撮影こそしていないものの、『ハート・ロッカー』 を観た時に感じたリアリティを感じました。飛び散る土、飛び交う銃弾、紙一重で撃たれる人間…、そんな大混乱の市街地を、銃弾補給のために走るのが主人公オ・ジャンボム(チェ・スンヒョン)です。学生服と学帽にライフルを抱えた姿はまさに日本の学徒兵と同じいでたち。泥だらけの顔から覗くそのギラつく目の力が強烈なインパクトでした。とはいえ出征の準備をする母の姿を想いながら、母宛の手紙を綴る彼は世が世なら普通の学生だったはず。ちなみに本作はこの手紙をベースに作られています。最初の戦闘で生き残った学徒兵はジャンボムを含めて僅か3人。そこに68人の学徒新兵が合流し、その中にク・ガプチョ(クォン・サンウ)らも含まれていました。彼は犯罪者で鑑別所に送られるところを志願してきただけあって、元々不良。
学徒兵の中隊長を命じられたジャンボムなど最初から見下しているのですが、とにもかくにも浦項の守備はこの71名に託されることになります。当初はクォン・サンウの学徒兵というのは流石にちょっと違和感が残りました。何せ今年35歳ですしね…。しかし、そこは日本での知名度も抜群の実力派だけあって、後へ行けば行くほどその演技力に魅了されていつしか年齢の事など忘れてしまったのですけども、さて、見下しているから中隊内の主導権を奪おうとするのかというと、実はそうでもなかったり。要は彼らは元々縛られるのが嫌いで好き勝手したいだけということ。新に加わった学徒兵たちは、程度の差こそあれそんな彼らに近い心構えの者もいます。この辺が、1度でも死線を潜り抜け、目の前で自分を庇って死んでいった軍人を観ているジャンボムたち3人との大きな差で、北朝鮮軍766部隊の斥候との交戦が発生するまでは、そのギャップを重点的に描いています。
しかし、最初の交戦から2度目の交戦で16人が死亡してしまう中で、学徒兵の中にこれは遊びではなく本当に戦争なのだということが浸透していくのでした。それは即ち国を守るとはどういうことなのかを悟るということ。学徒兵はもちろん日本でもいましたが、彼らとの最大の違いは、その愛国心が上から強制(或いは矯正)されたものなのか、それとも自発的に自分の胸の内から湧き上がって来たものなのかということではないでしょうか。もちろん全ての人がそうだとは言いませんが。上官に掛け合い、更にアメリカ軍にまで掛け合ってまで学徒兵たちの元へ何とか応援に行こうとするカン大尉の存在は、韓国軍の良心であると同時に、目上を敬い下を可愛がる韓国らしさにも感じられます。このあたりの描き方はベタと言えばベタなのですが、何しろ監督が『私の頭の中の消しゴム』 、『サヨナライツカ』 のイ・ジェハンですからそれも納得。
その情緒的な描き方は北朝鮮軍のパク少佐にまで及んでいます。何しろ、ジャンボムに対して2時間後の総攻撃の時間までに白旗を掲げれば命を助けるとまで提案するぐらいなのですから。個人的にはそこまでやってしまうと、ちょっとドラマチックにもって行こうとし過ぎに思えなくもないのですけど。もっとも愛国心に目覚めた学徒兵中隊は白旗など上げるはずもなく、先頭の火蓋は切って落とされます。それにしても、基本的に徴兵制があって銃器を実際に扱う経験をしている韓国人俳優たちの戦いの様子は、どうしても想像だけで演じる日本人とは差があるなと思わずにいられません。もっと言えば、延坪島への北朝鮮の砲撃をみても解るとおり彼らは未だ戦時下にあるだけあって、死への距離の近さが違うと感じます。冒頭と同じく凄まじい迫力と臨場感に加えて、どう考えても勝ち目のない戦いに挑む学徒兵たちの戦う姿に胸が締め付けられる想いでした。
仲違いしていたジャンボムとガプチョも協力して必死に抵抗しますが、敵は戦車まで持ち出して彼らの潜む校舎に容赦ない砲撃を加えます。たった2人で校舎の屋上から絶望的な状況の中で銃を撃ち続ける彼らは一体何を想っていたのか…。遅ればせながら援軍に到着するも、彼らを助けられなかったカン大尉の「すまなかった…」の言葉にどうしようもないやるせなさが募ります。平和への願が込められた映画が公開されるなか、残念ながら現実的にはほど遠い状況。本作は、彼らの死を無駄にしてはいけないのだと改めて訴えかけているように感じました。
個人的おススメ度4.0 今日の一言:今最も身近な戦争なんだよね 総合評価:77点
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受信: 2011年2月20日 (日) 09時17分
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<<ストーリー>>1950年、韓国。北朝鮮の猛攻で首都ソウルも陥落。
追い詰められた韓国軍は、全兵力を洛東江に集中させようとしていた。
そんな中、軍司令部の置かれた学校を託されたオ・ジャンボム(T....... [続きを読む]
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» 戦火の中へ [シネマDVD・映画情報館]
戦火の中へ
朝鮮戦争が始まって一カ月余りが過ぎた1950年8月。北朝鮮軍の猛攻にさらされ、朝鮮半島の南へと後退を余儀なくされた韓国軍は、最後の砦として洛東江を守り抜くべく浦項の全兵力を前線に投入することになった。そのため、軍司令部が置かれた......... [続きを読む]
受信: 2011年2月23日 (水) 20時55分
» 『戦火の中へ』 [こねたみっくす]
史実だから仕方ないのか、全てが予定調和すぎて新鮮味がない。
せっかく話題になっている戦闘シーンも、この人間ドラマではもったいない。
1950年8月11日浦項女子中学校で北朝鮮軍 ... [続きを読む]
受信: 2011年2月23日 (水) 20時58分
» 『戦火の中へ』を角川シネマ有楽町で観て、戦争にヒリヒリふじき☆☆☆☆ [ふじき78の死屍累々映画日記]
五つ星評価で【☆☆☆☆業】
実話がベースと聞かされていたので、
じゃあ、71人の学徒兵はみんなひきこもりで
最後はみんな花火を持って突っ込んで
「お前も村の人間だ」 ... [続きを読む]
受信: 2011年2月24日 (木) 01時02分
» 「戦火の中へ」人間が鬼になるとき [再出発日記]
朝鮮戦争では、当初韓国軍は信じられないほど劣勢だった。北軍によってソウルはあっという間に占領され、次々に南下、洛東江を挟んで大激戦になった。これを突破させられたならば、... [続きを読む]
受信: 2011年4月 3日 (日) 10時45分
» 戦火の中へ [『映画評価”お前、僕に釣られてみる?”』七海見理オフィシャルブログ Powered by Ameba]
その勇気が 未来を変えた。
届かなかった母への手紙
夢と希望を抱いた71人の感動の実話
1950年の朝鮮戦争で儚く散った学徒兵の実話を基にした戦争アクション。
1950年の韓国。朝鮮人民軍(北朝鮮)が軍事... [続きを読む]
受信: 2011年4月 4日 (月) 21時47分
» 「戦火の中へ」 [てんびんthe LIFE]
「戦火の中へ」角川シネマ新宿で鑑賞
2011-032
昨年釜山の劇場で鑑賞済みの作品ではありますが、字幕が入って多少違うものがあるかと再度鑑賞です。
戦争映画なのでそんなに見たいとも思わなかったのですが、一番の泣かせどころ、母への手紙の朗読に集中しようと思ったのですが…。
日本向けにカットされているのかどうかはわかりませんが思っていたよりも時間が短く、感動する場所がいまいちつかめなかったというお粗末な結果となりました。
ストーリーはわかっていたのですが、感動の場とか泣かされるところとか... [続きを読む]
受信: 2011年4月 8日 (金) 11時28分
» 戦火の中へ [迷宮映画館]
一番描きたかったのは何なのか?焦点がぶれたのが残念。 [続きを読む]
受信: 2011年4月14日 (木) 08時16分
» 中学生戦記 イ・ジェハン 『戦火の中へ』 [SGA屋物語紹介所]
日本が復興に向けて動き始めていた1950年、朝鮮半島では新たなる火種が燃え盛って [続きを読む]
受信: 2011年5月16日 (月) 22時19分
» 『戦火の中へ』 ここだけの話 [映画のブログ]
あえて『戦火の中へ』の問題を指摘するなら、面白すぎることだろう。
この映画は、朝鮮戦争を戦った学生たちの実話を基にしている。
今でこそ、38度線でにらみ合ったまま休戦状態となっているが、19...... [続きを読む]
受信: 2011年5月26日 (木) 08時24分
» 映画評「戦火の中へ」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆★(5点/10点満点中)
2010年韓国映画 監督イ・ジェハン
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受信: 2012年4月13日 (金) 09時20分
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