SUCK
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トワイライト?それとも聖飢魔II? |
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これは掘り出し物。予告編すら観ておらず、事前知識はヴァンパイアだけどロッカーという程度で観に行ったのですが、これが思いのほかハマったヴァンパイアコメディーでした。それにしても考えてみたらヴァンパイアのロッカーという設定がもう斬新です。ただ、以前他の記事でも書いた通り、筆者は普段殆ど音楽を聴かないんで、本作に登場してくるイギー・ポップ、アリス・クーパー、ヘンリー・ロリンズらが大物ロックミュージシャンと言われても、一度も耳にした事すらありません。それでも純粋にヴァンパイアムービーとして楽しめたのですから、ロック好きな方には余計に堪らないのではないでしょうか。ちなみにタイトル『SUCK』はそのものズバリ“吸う”という意味もありますが、スラングでは“ムカツク”とか“最低!”なんて意味も。




ロックバンドという設定を考えたら実に上手いタイトルじゃないですか。話の中心となるのはカナダの売れないバンド“ウィナーズ”。ある日のライブ後、客として来ていた薄気味悪い男とバンドの紅一点ジェニファー(ジェシカ・パレ)が連れ立って消えてゆきます。翌日戻ってきたジェニファーは白塗りで赤い瞳…そう、まるで「トワイライト」シリーズのカレン一家のような姿で戻ってくるのでした。ま、要するにヴァンパイアになって戻ってきたのですが、個人的にこの姿のジェシカに一目惚れ。大好きなアン・ハサウェイにそっくりな顔ということもありますけれど、アンよりグラマラスでセクシー、かつCOOL!実際そう感じたのは筆者だけではないようで、劇中でもジェニファー人気が大ブレイク、おかげでウィナーズの人気もつられて上がっていく事になります。




この辺の人気のバロメーターをバンドのホームページへのアクセス数で計っているあたりがいかにもアメリカの今らしくてイイ。で、当然ながらヴァンパイアになったからには血を吸わないと生きていけません。ミーガン・フォックス主演の『ジェニファーズ・ボディ』では同じジェニファーが人を喰っていましたが、こちらのジェニファーも血を吸うだけとは言いつつ、相手を殺してしまいます。その様子を仲間に目撃されてしまったからさあ大変!……なんだけどあんまり大変そうじゃない所が本作のユニークな所。何せ全員ロックンローラー、最初は驚いても、ジェニファーの人気がブレイクしたのがヴァンパイアになったからだと知ると、むしろ喜んじゃう。というよりむしろ自分もヴァンパイアになってブレイクしたいゼ!みたいな…。




ポスター写真をみると最終的にはジョーイも全員ヴァンパイアになっているのだけれど、しかしこの段階ではとても冷静。笑えるのは、そんなメンバーの気持ちを見越して、「仲間をヴァンパイアにするな」というルールまで作っているのに、気がつくとメンバーが皆既にヴァンパイアになってしまっているところです。無論とぼけたってバレバレなんですけどね。さて、こんな破天荒なロックンローラーたちを尻目に、ヴァンパイアモノである以上、ちゃんとそれに敵対する人物も登場します。それが最近では『ココ・シャネル』が記憶に新しいマルコム・マクダウェル扮するエディ・ヴァン・ヘルシング。もう名前からしてそのまんま。少ないけれど彼がヴァンパイアを退治するシーンがちゃんと用意されているのですが、それは胸に杭を撃ち込むという実にオーソドックスな方法。




車のバックミラーにはニンニクがぶら下げてあったりと、最近のヴァンパイア映画は現代風の売りが多いけれど、やっぱりこうした古典的な演出には惹かれるものがあります。そんなエディから逃げつつウィナーズの面々はライブの旅を続けますが相変わらずジョーイだけはヴァンパイアになるのを頑なに拒むのでした。ところがある日ジョーイは間違えてドラッグを飲んでステージに…。ラリッたジョーイとヴァンパイアたちのライブはとんでもなく大盛況。そうか、ヴァンパイアになるのはドラッグと同じ効果があるのか…。名前通り勝ち組に成り上がり、有名プロデューサーを前にライブを披露することになったウィナーズ、ここに到ってその緊張感に押しつぶされたジョーイは遂にヴァンパイアになることを決意します。人間成功の味を覚えたらもう後戻りできないってことなのかな。




ところが、このまま終わらないところが本作の面白い所。何とジョーイはエディの力を借りてヴァンパイアから人間に戻ることをジェニファーに提案するのです。基本的にヴァンパイアになっても小心者というか良い人です。そんなヴァンパイア聞いたことないですけど。というかそもそも戻れるの?イーサン・ホーク主演の『デイブレイカー』もヴァンパイアから人間に戻れるという稀有な設定でしたが、あれはヴァンパイア化するのがウィルスによる病気という設定があったから。こちらはいわゆるオーソドックスなヴァンパイアなのに一体どうするつもりなのか…。なんと、最初にジェニファーをヴァンパイアに変えたクイーニー(ディミトリー・コーツ)を殺すと穢れた血が浄化されて人間にもどることが出来るんだそうな。今ひとつ説得力はないけれど、もともとそんなノリだからOK。




人間に戻った2人はバンドを辞めます。しかしそんな簡単には終わらせないラストが…。『SUCK』は91分というコンパクトなサイズに凝縮された斬新な設定と、スタイリッシュかつユニークな映像が光るヴァンパイアムービーです。イメージ的にはアナーキーに感じるかもしれませんが、むしろ素直な王道のストーリーを楽しめるでしょう。
個人的おススメ度3.5
今日の一言:ジェシカって脱いでたんだ
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