コリン LOVE OF THE DEAD/Colin
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| 哀しいゾンビのロードムービー |
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普段ならまず観ないであろうゾンビ映画でしたが、仕事のスケジュールの都合上何故か初日に鑑賞してみました。まともにゾンビ映画を観たのは久しぶりですが、少なくともこの作品は特にグロくも、怖くもない、いやむしろ切なく哀しいドラマに仕上がっていたのがちょっと驚きです。そもそもゾンビ映画ってこんなんでしたっけ?製作費45ポンドといいますから現在のレートで約6000円という、自主制作映画も真っ青な低予算映画ですが、スタッフ・キャスト共に有志のボランティアによって製作されたのだそうです。恐らくグロ系のシーンは特殊メイク的にもお金がかかるんで、作りたくても作れなかったのかもしれません。いずれにしても手作り感一杯の作品でした。

話の筋道は実に簡単。青年コリン(アラステア・カートン)はゾンビに噛まれて自らもゾンビになってしまいますが、彼はどこかを目指して歩き始めるのです。劇中ではその途中に起こる様々な出来事が描かれていました。そう、言ってみれば本作はゾンビ・コリンロードムービーと言えます。実は正直言って観終わった直後は長かったなと感じました。まるで2時間越えの作品を観たかのような。しかし調べてみると上映時間は97分。短いとは言えませんが、今時の作品とは特に長いわけではありません。これはきっとテンポの悪い編集のや、冗長的なシーンがそう感じさせたのだろうと思ってハッと気が付きました。「そうか、これは“ゾンビ映画”なんだ」と。

つまり、ゾンビなのだから、コリンを含め動きが鈍いのは当たり前。故にワンカットの表現にも時間がかかる訳です。しかもロードムービーなんでコリンが道を歩いてゆく様子なんかももちろんある、しかもそれもまた当然足を引きずるようにズルッズルッという感じ。そりゃタルい訳だ。(笑)しかし軽やかにスピード感あるゾンビだったらそれはそれで何か嫌ですよね。これは今後ゾンビ映画を観る時の参考にしようと一人納得していたのでした。コリンが目的地に向かう途中では、実の姉と出逢ったりもします。何とか彼を正気に返そうとするも、もちろんそんなことは出来はしません。姉の表情や、恐らく母親であろう女性のやりきれない表情が切なく哀しいものがありました。

もちろんオーソドックスに生きている人間を襲ったり、逆に彼自身が人間に狙われたりもします。しかしここで印象深いのはある意味ゾンビ以上の人間の醜さでした。ゾンビをやっつけようなどというゾンビvs人間という構図ではなく、単にコリンの履いている靴を奪おうとしたりするヤツまでいる始末。一時期流行ったスニーカー強盗みたいなものなんでしょうが、相手がゾンビだろうと人間だろうとお構いなし、いやむしろ人間でない分遠慮も無ければ良心の呵責も無いのだから性質が悪い。そしてその極め付けが、自警団らしき集団での集団リンチシーン。ゾンビを撃退すべく自警団のような連中が戦いを挑みます。コリンたちゾンビはボコボコにやられますが、問題はここから。

戦いの最中にゾンビに噛まれてウィルスに感染した連中を集めて、ゾンビ化する前になぶり殺しにしてしまうのです。せめて子供に別れを言いたかったという女性も問答無用。グロさ以上に人間の集団心理に気分が悪くなるワンシーンでした。この時爆弾で顔の半分を吹っ飛ばされたコリン。しかし死ねない。ゆっくりと起き上がった彼はまた歩き始めます。死ねたらどれだけ楽なことか。ゾンビとなった彼を突き動かしているのは一体何なのだろう、そんな思いで彼を見つめてしまう自分がいます。そして彼がたどり着いたのはとある家でした。中に入るコリン。そして挿入される回想シーン…。そう、(ネタバレ→)そこはコリンの恋人の家だったのです。

ラストシーンで彼が死んだのかどうかは解りません。しかしそのゾンビとなっても愛する恋人の傍に行きたかった彼にまだ幾ばくの心が残っているのなら、せめてあそこでその心の安寧が得られることを願ってやみません。ゾンビになってしまったのは悲しいことですが、それ以上にコリンの切なく哀しい姿が強く印象に残りました。あまり観たことがないタイプのゾンビ映画です。ただ2つほど難点を挙げると、手持ちカメラはいくらなんでもぶれ過ぎ、それとお金がないせいで照明が無いのが厳しいです。暗い画面で激しい画面の揺れは、映画として何が映っているのか判別不能なことすらありましたから。低予算も良いですが、映像作品を作るなら最低限の部分は何としても算段をつけるべきです。
個人的おススメ度
3.0
今日の一言:激しいのが好みの人には物足りないかも
総合評価:63点
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