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2011年3月 9日 (水)

終わってる

Photo 『たまの映画』で商業映画デビューを果たした新進映画監督・今泉力哉の送る青春Hシリーズ第5弾。様々な問題や葛藤を抱えた若い男女5人の人間模様を主人公・晋介を中心に描き出した群像劇だ。出演は元AV女優のしじみ(持田茜)、今泉作品に多く出演している関口崇則、『君と歩こう』の前野朋哉といった個性的な面々が揃う。
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イマイズミズムって心地イイ

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相変わらず今泉テイストたっぷりな作品でした。セリフの間の微妙な間の取り方や、セリフそのものが生み出す何とも言えないまとわり付くような空気感が既に面白い。実は青春Hシリーズの存在自体は知っていたものの見るのは今回初めて。監督の話しによれば、とにかく1回Hシーンを入れればあとは好きに作って良いのだとか。といいつつも本作では監督曰く“せっかくだから”3回ほどHシーンが登場します。物語を回していくのは2組のカップルと1人の童貞男。即ち主人公の晋介(関口崇則)とその妻まき(しじみ)、まきの友人・町子(篠原友希子)とその彼氏・恭介(松浦祐也)、そして晋介の親友ババケン(前野朋哉)の5人です。いわゆる群像劇というやつ。

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晋介役の関口崇則は同じ今泉監督の『TUESDAYGIRL』他にも出演している常連さん。ちなみに監督はご自身がヒゲを蓄えているからか、何故かヒゲ面の俳優が多い気が…。そんな関口崇則が最初に町子役の篠原友希子と居酒屋で飲んでいて誘われたり、奥さんがしじみだったりというのだから羨ましい。特にしじみ@持田茜といえば可愛いのに過激で人気のあったAV女優でしたから。失礼ながらどう考えてもそんなにモテルとは思えない男が女性の問題で悩むというのが本作の不思議なアンバランスさを醸し出している要因の一つでしょう。ただ逆にそのあり得なさが観ていて妙なリアリティを感じさせてくれます。要は美形同士が宜しくやるなんて現実的じゃないってこと。(嫉妬込み)

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ともあれこの晋介、とある理由でまきから心が離れ、そんなタイミングで彼と別れたいと相談してきた町子のことを好きになってしまいます。一方のまきは変わらず晋介の事が好きなのですが、彼女には実は隠された過去がありました。町子は町子で自分を束縛し過ぎる彼氏に嫌気が差していたのは事実ですが、これが後になると…。本作で唯一人ロンリーなババケンは学生時代からまきのことが未だに好き。この5人が鍋を囲んで話すシーンがありますが、これまた実に心をザワつかせる面白さ。とにかく台詞回しが限り無くリアルなのです。ちらりと本音を混ぜながら、でもちょっと照れをごまかしつつ話すババケンと、よった勢いでぶっちゃけて、男に誤解させる発言をする女たち…。

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そう、この女たちの“誤解させる発言”が本作の一つのキーかもしれません。即ち女性陣が男性陣をいかに上手くコントロールしてゆくのか、その手段の一つとしての“言葉”に振り回される男たちを上手く描いていると思うのです。女性ならば「男ってあアホやなぁ」と思うかもしれないし、男なら「うん、気持ちは解るぞ」となるかもしれない。しかし重要なのは、それを観客が身近に感じられるということ。晋介は家を出てババケンの家に居候を決め込もうとするも、まきを好きな彼とケンカになります。そこで今度は已む無く町子の家に向かうも、今度は彼の目の前に町子の彼氏・恭介が…。そう、実は既に彼と仲直りをし別れる気などサラサラ無い彼女なのでした。

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げに恐ろしきは女たち。結局晋介は自分にとって何が大切なのか、一体誰の事が本当に好きなのかが解らなくなってしまうのでした。ここでいきなりファンタジー調になったのにはちょっと驚き。彼の目の前に、小学校の時に自殺した友人が現れ、彼と卓球をしながら話し合うという、余りにも突飛なシーンは好き嫌いが別れそうです。もっともその友人役を今泉監督ご自身が演じているじゃないですか。そう言えば下北沢映画祭の上映会で監督が次の作品にはお子さんと共に出演していると仰っていたことを思い出したのでした。死んでしまったらそれまで、生きて人を好きになっていること自体がもう素晴らしいといメッセージ、監督は自身の口でそれを言いたかったのでしょうか。

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群像劇だけに晋介以外のキャラクターだけで構成されているシーンも多々あり、それぞれ笑えたり、驚いたりと楽しめますが、最初にちょっと書いたHシーンの演出の上手さが個人的にはとても好み。久しぶりのしじみさんの裸もさることながら、3つあるシチュエーションのどれもがそそる作りです。決して過剰で激しい演出ではないのですが、だからこそ妙に生々しさを感じたり…。下北沢トリウッドでは現在この今泉監督の作品集の上映をしています。お近くの方は是非一度この独特のイマイズミズムに浸ってみてください。癖になります。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:『足手』観てないからみなきゃだ
総合評価:72点

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