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2011年3月29日 (火)

ビー・デビル/김복남 살인 사건의 전말

Photo 韓国の鬼才キム・ギドク監督の下で助監督として修行を積んだチャン・チョルスの監督デビュー作。僅か9名の住人しかいない孤島を舞台に、主人公の女性がとある事件を境に復讐の悪魔と化してゆく姿を哀しくも鮮烈に描いた問題作だ。出演は『チェイサー』のソ・ヨンヒとドラマ「女子万歳」のチ・ソンウォン。また韓国に一人有望な新人監督が登場した―。
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ボンナムは恨から解放されたのか?

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もっと人間の狂喜や心の奥底の闇を前面に出して描いたサスペンスドラマなのかと思っていたけれど、実際には1人の女性の復讐劇でした。といっても本作はただの復讐劇ではありません。そこには復讐に到るまでの全く救いのない苦しみや、追い詰められて心が壊れていく様子が丁寧かつ克明に描かれていました。殺意・狂喜・喜び・悲しみ、人間の感情をウェットに描かせたらピカイチの韓流作品の中でも、本作は数々の名作に名を連ねるものだと思います。主人公のヘウォン(チ・ソンウォン)はソウルの銀行に勤める独身OL。オープニングではとある事件を引き起こし、強制的に休暇を取らされます。一体このエピソードが何の関係があるの?と思うのだけれど、ここは何気に重要。

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一連の流れがヘウォンという女性の人となりを描いていたのだと後から気付かされるのでした。全てにおいて面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだという彼女の生き方は、実は今の都会の人間にとってはそれほど珍しいことではないのかもしれません。しかし彼女がとある女性暴行事件で犯人の面通しをするために警察に呼ばれ、犯人に気付きながらも黙っている姿は、物語進行上の重大な伏線でした。もっとも都会でも嫌われる生き方です。このシークエンスのおかげで、観ている側は後に登場する田舎でずっと生活をしてきた幼馴染のキム・ボンナム(ソ・ヨンヒ)とヘウォンの間に埋めがたい溝があることを明確に認識できるのです。更に言うと、ヘウォンに宛てて手紙が何通も届いたり、電話がかかってきたりするのも伏線の一つ。

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ただちょっともったいないのは、手紙の差出人のハングル文字が読めないと、その時その場で伏線には気付きにくいということ。ともあれヘウォンは、ボンナムの招きに応じ、子供の頃に済んでいた無島で休暇を過ごすことにします。島で久々の再会を喜ぶまもなく姑からののしられるシーンに嫌らしさを感じますが、まあそれだけなら別に良くある嫁姑問題でしかありません。何かがおかしい…普通じゃない…と感じるのは、夫と娘のヨニが夜釣りに出かけている間にボンナムが義弟に犯される辺りから。しかも帰宅した夫は妻が抱かれていたことに恐らく気付いているのです。姑の傍にいつもいる3人の年寄りたち、更には娘ヨニの言葉も含め、この島の住人たちの異常さが徐々に浮き彫りにされてゆくのでした。

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なるほど、こうして狂気の物語が始まるのか?!と思いきやこれがそうならない。例えば夫が本土から売春婦を呼んでヤッている傍で飯をがっつくボンナム。普通に考えたらもうそれ自体おかしい。すると姑が「自分の旦那が他の女に咥えられてるのによく喉を通るね!」などと至極真っ当な嫌味を飛ばしたりする。一瞬あれ?案外まとも?なんて惑わされてしまうのです。しかし後から考えると、この時既にボンナムの心は悪魔に蝕まれ始めていたのでしょう。ヘウォンが島を去ってから彼女に一体何があったのか…。2人で水浴びをするとボンナムはしきりにヘウォンの肌の美しさを羨み、その胸を鷲掴みに…。実はそれは子供の頃の彼女が受けた鮮烈な体験から来ていました。

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それはボンナムにとってヘウォンを心から信頼する拠り所の一つであり、このシーンはそれが大人になった今も変わらず続いていることを象徴していたのです。そうこうするうちに、どうやら夫が娘ヨニを性的虐待していることに気付くボンナム。思い余った彼女はヘウォンにこう頼みます。「私とヨニをソウルに連れて行って。」しかしここでヘウォンはそれをピシッとはねつけてしまうのでした。そう、オープニングと同じく自分は面倒に巻き込まれたくないと言うように。已む無く夫が寝ている間に金を盗み娘と共に逃げるも捕まり、挙句にヨニは夫に殺されてしまいます。調べに来た役人は、夫が犯人だというボンナムの主張に関して、それを目撃していたかヘウォンに確認します。

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しかし、ここでも彼女は観ていないとキッパリ。この瞬間彼女の心の中で最後の拠り所が木っ端微塵に砕け散ったのでした…。奴隷のような日々の生活、村の男たちには犯されまくり、しかしそんな中でもヨニが心の支えであり、また幼き頃に親友ヘウォンが自分をソウルに連れて行ってくれると言った言葉が支えだった…。しかし彼女の言葉はボンナムの全ての希望を打ち砕いたのです。人間これでは生きていくことができません。哀しみを通り越えた先にあるのは真の絶望。ボンナムの瞳はそれを湛えていました。あの『チェイサー』で凄惨な殺され方をしたソ・ヨンヒが、ここからは完全に悪魔になりきる迫真の演技。ただ無表情に姑や中年女たちを殺しまくる姿は凄惨ではあるけれど、狂気に支配されたというよりは、あまりに哀しい人としての末路にも見えます。

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空っぽになってしまった彼女の心に唯一残ったのは“恨(ハン)”だったのではないか。韓国における“恨”は日本語で言う所の“恨み”の意味だけでなく、悲哀や怒り、そしてどうしようもない事態を引き起こしてしまった自分を悔やむ心だと聞きます。だとすれば彼女は正に“恨”を体現していたのかもしれません。ラストの展開に意外性を覚えつつも、最終的にはヘウォンはボンナムの心を救うことが出来たように思えます。ただしそれはとても苦い救いでした…。

個人的おススメ度4.5
今日の一言:伏線の張り方が実に上手い
総合評価:87点

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