引き裂かれた女
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美人お天気お姉さんガブリエルがイイ |
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お目当てはリュディヴィーヌ・サニエ。彼女の作品をそれほど観ている訳ではないけれど、『スイミング・プール』、『モリエール 恋こそ喜劇』そして『ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part2 ルージュ編』でその素敵な可愛らしさがすっかり気に入ったのでした。本作はどうやらその彼女が中年のおっさんと若手イケメンの2人の間で揺れ動くらしい。シチュエーション的には別に珍しくはないものの、フランス映画だけにどこか背徳的で毒を含んだ恋愛模様を期待してしまいます。ちなみに彼女が演じているのはローカルテレビ局のお天気キャスターガブリエル。これがまたすこぶるキュートで、いわゆる日本で言う所の“美人お天気お姉さん”。


彼女はテレビ局で新作のインタビューを受けに来ていたシャルル・サン・ドニと偶然出会います。このシャルルというのが中年のおっさん。『トランスポーター』シリーズで日本でも有名なフランソワ・ベルレアン演じるところの人気作家という設定で、それがシックリくる知的な面持ちと年齢から来る落ち着きは確かにナイスミドル(死語?)を醸し出していました。ただし彼は既婚者です。ガブリエルの母のやっている書店のサイン会で再会を果たした2人はあっという間に恋に堕ちるのだけれど、おっさんシャルルはともかく、若くて美しいガブリエルがいきなり好きになるとは。どんな男を好きになっても構わないけれど、彼のどのあたりに惹かれたのかが今ひとつ良く伝わってこなかったのでした。


一方若手イケメン、ポール・ゴダンスを演じるのはブノワ・マジメル。確かに元々ハンサムガイなのだけれど、ポールの微妙なヘアスタイルとぼっちゃんぼっちゃんした言動が、いかにも金持ちの御曹司そのもので観ているだけで実に滑稽。「チョットだけでもボクの事を好きになって」なんて笑っちゃう言葉を平気で吐けるのだけれど、ガブリエルもそれに乗って「好きよ」なんて言ってしまうのだかこの子ちょっと頭悪いのじゃないかと思ってしまう…。ただ物語上では彼女が一途に愛しているのはシャルル。ところが、最初のうちは可愛がっていたシャルルが少しづつ変わってくるのです。というより、元々彼は妻を愛しているし、離婚するつもりなどないことは観ていれば明白。


簡単に言えばシャルルにとってガブリエルはあくまで女遊びの一人でしかない訳です。しかしガブリエルはそんなことは知る由もなく…。ただのセックスに飽きたシャルルは彼女を行きつけの社交場に連れて行くのですが、どうやら彼女を他の男に抱かせてそれを観ていたらしい。らしいというのは、この作品、露骨な性描写が全くないのです。乱交どころか愛し合う2人のベッドシーンすらありません。もっともだからこそ想像力が刺激されるというものですが。結局彼は、彼女から逃げるかのように出張と偽って姿を消してしまうのでした。ショックで寝込んでしまったガブリエルの救いになったのがポール。彼が彼女を旅行に連れて行きプロポーズするとなんとOKが…。


正直言ってリュディヴィーヌ・サニエでなかったらフザケンナってなもんですが、あの笑顔を見せられたら許せてしまう…。ただそもそもシャルルがダメだったからポールなんて結婚が上手く行く訳がないですよね。この時点ではガブリエルの余りに身勝手な態度に若干イラツキも覚えていたのは事実。しかし、いつまでたっても彼女の心の中にシャルルがいることに怒ったポールの一言を聞いた瞬間彼女に同情を覚えたのでした。「体が目当てだったんだよ!」もちろん怒りに任せた感情的な言葉とも受け取れますが、結局散々繰り広げられていた恋愛ゲームは単純に2人の男たちがガブリエルとヤリたかっただけということなのか?もしかして美人は3日で飽きるとはこのことを言うのかも。(3日じゃないけど。)


ラストシークエンス、シャルルが招かれたパーティーに夫婦で訪れる2人。既にその時のポールの表情を観ていれば彼が何をしようとしているかはほぼ想像がつきます。従ってこれ自体は驚きの結末!というほどの事はありません。問題は本当のラスト。これは何と説明したらよいのか…。文字通り『引き裂かれた女』を表現したラストシーンは当然ながら彼女の恋の結末のメタファーなのだけど、いずれにしたところで引き裂かれることを自ら選択してしまうのがガブリエルという女性なのか…。
個人的おススメ度3.5
今日の一言:リュディヴィーヌに★0.5
総合評価:70点
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