素晴らしい一日/멋진 하루
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憎めない男っているよね! |
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何ともゆったりとしたロードムービーでした。チョン・ドヨンとハ・ジョンウの自然体の演技で知らず知らずのうちに彼らと共に一日を過ごしている自分がいたようにも思います。物語の始まりは競馬場から。まなじりを吊り上げて誰かを探していたのはヒス(チョン・ドヨン)。彼女が探していたのは1年前に別れた元彼ビョンウン(ハ・ジョンウ)でした。彼を見つけるなり放った第一声が「一年前に貸した350万ウォンを返して」。一瞬、そんな大金!と思ったものの、そう言えばウォンは10で割れば大体日本円と以前教えてもらったことがある、ってことは円に直したら約35万円?記事執筆時点で調べたら約27万円だったけれど、いずれにしてもその程度の額でと思わずにいられません。


もちろんお金の価値観は人それぞれですが、1年間ほったらかしで急にどうしたというのか…。っと赤の他人の私がそう思うのに、当事者のビョンウンはいたって冷静かつのほほ~んとしているのだから面白い。結局本作は全編を通してこのビョンウンの良く言えば大らかな、悪く言えばテキトウな空気感が支配するのです。「今は金がない」というビョンウン。しかし今じゃなくてずっとないであろうことは明白。(笑)そこで彼とヒスは彼がお金を借りる友達の元を巡る一日をスタートさせるのでした。これ350万元というところが絶妙です。これ以上多かったら多分1日では無理だし、少なかったら説得力がない。車の中でも全く口を利いてくれないヒスと対照的にビョンウンは携帯電話で話しまくり。


面白いのは彼が頼るのが全員女性だということ。女社長、大学の後輩、幼なじみのシングルマザー、ホステス、スキー教室の生徒の女の子…。最初の女社長を尋ねた段階で、ヒスは社長と寝てるのかと問いただすのだけれど、恐らく観客は皆彼女と同じように思うのじゃないでしょうか。俗に言うジゴロというやつですね。ところが、彼曰く「社長は金に厳しい。男女関係で貸してくれるほど甘くない。」ときます。この言葉の信憑性は、時間の経過と共に証明されてゆくことになるのですが、要はヒスがそれを納得していく過程は、私たちにも全く同じことが言えるのでした。このヒスと私たちの心情のシンクロ具合がなんとも心地良いのです。


それにしても、ビョンウンにお金を貸す女性たちは皆一様ににこやか。渋々貸すのではなくて喜んで貸している。まるでビョンウンの役に立てることが嬉しいとでも言うように…。彼の言動を聞いていると、はっきり言ってヘコヘコしているし、調子のいいことしか言ってないのです。そして言われている方も当然そんなことは解ってる。ただ言えるのは決して卑屈にはなっていないこと。そして、それぞれの女性に感謝する時の笑顔は、本当に心から感謝しているのが解る笑顔だということです。このあたりのハ・ジョンウの微妙な演技が素晴らしい。わざとらしくなるギリギリで、全く嫌味を感じさせないのです。むしろお金を貸している側のヒスが嫌な奴に見えるほど。


もっとも嫌な奴に見えるように演じているチョン・ドヨンもまた上手いのですが、彼女の真骨頂は最終的にビョンウンの存在感の心地良さに同化していくまでの微妙な心情の変化とそれに伴う表情の変化を的確に表現していること。実はヒスはヒスで恋人も仕事もお金も失ったどん底の状態だったことが終盤明かされますが、要するに彼女は無意識のうちに彼の支えを必要としていたのでしょう。彼は彼で全ての女性に対するのと同じように、お金を返すのに様々な人に借金を重ねるというその行為そのもので、彼女の為に全力で尽くしていることになっている、それが本作で描いてきた全てなのだと思うのです。日本人の原作なのに、日本人監督が映画化しないのがちょっと寂しく感じました。
個人的おススメ度3.5
今日の一言:韓国の普通の街並みが見えるのもイイ
総合評価:72点
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