« 高校デビュー | トップページ | ミス・ギャングスター/육혈포강도단 »

2011年4月12日 (火)

ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路/Nannerl, la soeur de Mozart

Photo 天才音楽家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの姉、ナンネルにスポットを当てた人間ドラマ。素晴らしい才能に恵まれながらも、女性だったが故にで歴史の影に埋もれるしかなかった女性の姿を描き出す。主演は監督を務めたルネ・フェレの娘であるマリー・フェレ。共演に『ランジェ公爵夫人』のマルク・バルベ。美しいクラッシック音楽の裏にある哀しき想いが切ない。
>>公式サイト

2人のモーツァルトになっていたかも

book あらすじ・作品情報へ book

にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへみなさんの応援クリックに感謝デスsunshine

01

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトを扱った作品はこれまでも多々ありましたが、今回は3つ年上の姉マリア・アンナ・モーツァルト通称ナンネルを描いた作品です。「一般的にモーツァルトといえばヴォルフガングの事だけど、今回はそれだと家族全員モーツァルトだな…」なんてバカなことを考えながらも、天才の姉が一体どういう人物なのかはとても興味深かったりするのでした。主人公ナンネルを演じるのはルネ・フェレ監督の娘アリー・フェレ。1995年生まれの16歳です。劇中のナンネルは14歳ということでほぼ同じなのですが、スクリーンから受ける印象はもっとずっと年上に感じます。別に老け顔だという訳ではないのですが…。昔の沢口靖子に似ている色白な美人で、本作の為に1年間ヴァイオリンを習ったんだとか。

02 03

この時ヴォルフガング(ダヴィド・モロー)は既に神童と呼ばれ、11歳にしてヨーロッパ各地を演奏旅行でまわるほど。作曲もバリバリこなす彼の事を父レオポルト(マルク・バルベ)は溺愛していました。もちろん娘としてのナンネルに注ぐ愛情はレオポルトとて普通の親と変わりません。しかし、ナンネルは自分も弟と同じくその音楽の才能を認めて欲しかったのでした。…と書くといかにもレオポルトが酷い人間に聞こえるかもしれませんがそんなことはないですし、恐らくそれは何もレオポルトに限った話ではないのです。この時代のヨーロッパとしては当然でもある男尊女卑の考え方は音楽界にもあって、それは即ち「女性は作曲家にはなれない」というもの。頭の中には美しい音色が浮かんでくるものの、それを譜面に書き留める術を持たないナンネル。

04 05_2

即ち楽器がいくら上手かろうと、素晴らしい歌声を持っていようと、それと作曲するということは別の話だということです。レオポルトはその作曲法は女には難しすぎるとしか言いませんが、後々彼女は自ら努力して作曲法を勉強し、王太子に認められるまでの曲を書き上げるのですから、いかにその常識が根拠がないことなのかということが解りますね。ヴァイオリンを持つことすら禁じられたナンネルにある日転機が訪れるのでした。ひょんなことから国王ルイ15世の娘ルイーズ(リサ・フェレ)と友達になるのです。ちなみにこのリサも監督の娘で、劇中でも実際でもマリーの妹。しかし年齢は1歳しか違わないのですが、どう観てもそうは見えなかったり…。この時期の女の子の1年は大きいのかもしれないですが、あまりにリサが幼く見えてどうもギャップが気になりました。

06 07

彼女をきっかけにナンネルは王太子と知り合うことになります。初対面の女性には会わない王太子、従ってナンネルは男装した上でお目見えすることに。余談ですが、いくら当時の男性がカツラと化粧をするのが正装とはいえ、これで女性と見破れないのは無理すぎでしょう。仕方のないこととは言え、若干気持ちが引いてしまうのでした…。この後は先に書いたとおりナンネルの曲が認められるのですが、女性であることを告白しても王太子の彼女に対する評価が変わらないというのがミソ。父には認められなかった音楽の才能を、こともあろうに王太子に認められ、更に2人は恋に堕ちてゆくのでした。思えばこの時期が彼女の絶頂期。家族から離れパリで一人暮らしを始めたのも、全ては王太子との恋のためであり、思う存分作曲をするためです。

08 09

さて、ナンネルがフランス王国の王妃になったという記録はないわけですから、要するにそれは彼女が失恋したことを意味しています。この辺のくだりが音楽的な話から離れたエピソードになってしまうのと、具体的に何がどうなったのかが描かれていないため、推測するしかないのがちょっと残念。ある日、王太子の個室に男装で呼び込まれたナンネルは、額と唇にキスをするように命じられるも、突然怒りだした彼に追い出されてしまいます。何ともいきなりで呆気ない恋の終わりに釈然としないものは残るのですが、結局これは王太子のナンネルへの最後の愛情だったのではないか。王太子はどうやらそのナンネルに対する発言から、父王ルイ15世がやたらと愛人を囲っているのを嫌っていたことが解ります。自分にその父の血が流れていることを忌み嫌っていたようにすら思えました。

10 11

つまり、既婚者とはいえ王太子の命令であればナンネルを愛人として囲うことは可能であるけれど、それは父王と同じである証にほかならなく、かといって彼女の想いに答えることも出来ない。彼女を悩ませるくらいなら、そしてその類稀な音楽の才能を埋もれさせてしまうぐらいなら、自分と別れた方がよい、そういう彼なりの結論だったのではないかと思うのです。自ら書いた楽譜を全て焼き払い、二度と作曲をしなかったナンネルは時代の犠牲者と言えるかもしれません。ちなみに女性音楽家で思い出したのが『クララ・シューマン 愛の協奏曲』で描かれたクララ・シューマン。彼女はナンネルの晩年に生まれていました。同じ才能豊かな女性でも、国と時代の違いがもたらした悲劇、彼女の才能があのまま受け入れられたら、モーツァルトは2人を指す名前になっていたかもしれません。

個人的おススメ度3.0
今日の一言:マリーは今後の作品に注目したいです
総合評価:69点

にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへ
↑いつも応援して頂き感謝です!
今後ともポチッとご協力頂けると嬉しいです♪

|

« 高校デビュー | トップページ | ミス・ギャングスター/육혈포강도단 »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/197507/39577749

この記事へのトラックバック一覧です: ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路/Nannerl, la soeur de Mozart:

» ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路 [象のロケット]
18世紀中頃。 3年間もヨーロッパ各地を巡り演奏旅行を続けているモーツァルト一家は、パリへ向かう途中で馬車が壊れ女子修道院に身を寄せた。 14歳の少女ナンネルは、隣家に幽閉されている王の娘ルイーズと友人になる。 一家はヴェルサイユ宮殿で演奏することになり、ナンネルはルイーズの兄で王太子のルイと言葉を交わすのだが…。 天才作曲家モーツァルトの姉の物語。 ... [続きを読む]

受信: 2011年4月12日 (火) 01時30分

» ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路 [シネマDVD・映画情報館]
ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路 監督・脚本:ルネ・フェレ 出演:マリー・フェレ/マルク・バルベ/ダヴィッド・モロー 内容:父レオポルド・モーツァルトの薫陶によって3歳から音楽を学び、たちまちその才能を開花させた14歳のナンネルことマリア・アンナには、11歳の弟ヴォルフガングがいた。3年半にも及ぶ長い演奏旅行の最中、父はヨーロッパ各地の演奏会で神童と絶賛を浴びるヴォルフガングを溺愛し、ナンネルにはヴァイオリンに触れることさえ禁じる。「女性は作曲家にはなれない」... [続きを読む]

受信: 2011年4月12日 (火) 23時20分

» ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路 [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評]
公式サイト天才音楽家モーツァルトは何度も映画に描かれてきたが、モーツァルトの姉を主人公にすえた作品は珍しい。しかも彼女は弟同様に音楽の才能に恵まれていたのに、時代がそ ... [続きを読む]

受信: 2011年4月13日 (水) 08時41分

» ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路 [風に吹かれて]
才能があっても...公式サイト http://nannerl-mozart.com18世紀中頃、ヨーロッパの音楽界を震撼させた神童ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトには、4才年上の姉、マリア・ア [続きを読む]

受信: 2011年4月21日 (木) 09時54分

» *『ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路』* ※ネタバレ有 [〜青いそよ風が吹く街角〜]
2010年:フランス映画、ルネ・フェレ監督、マリー・フェレ、マルク・バルベ、デルフィーヌ・シュイヨー出演。 [続きを読む]

受信: 2011年4月28日 (木) 00時24分

» 「ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路」(2010・仏) [ほぼ映画感想、ときどき舞台レビュー]
モーツァルトの姉・ナンネルを主人公にした映画 「ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路」を観ました。 ルネ・フェレ監督が自らの高校生の娘マリー・フェレを 主演のナンネル役に据えて撮影した時代物映画。 そして、脇役として出てくるフランス王女役には やっぱり自分の中学生の娘リサ・フェレを起用。 という映画な訳ですが、 いや~観ている間はそんな事はちっとも気にならなかったな~。 というか、この二人が実の姉妹だってことに 映画を観ている間は気づかなかった訳ですが。 で、内容としては。 ナンネルの少女時... [続きを読む]

受信: 2011年5月 7日 (土) 09時52分

» 映画『ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路』を観て [kintyres Diary 新館]
11-29.ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路■原題:Nannerl,La Sceur De Mozart■製作年・国:2010年、フランス■上映時間:120分■字幕:松浦美奈■鑑賞日:4月23日、ル・シネマ(渋谷)■料金:1,800円□監督・脚本・製作:ルネ・フェレ□製作・編集:ファビエ...... [続きを読む]

受信: 2011年5月14日 (土) 13時54分

» ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路 [とりあえず、コメントです]
天才音楽家モーツァルトの4歳年上の姉ナンネルの少女時代を描いた作品です。 モーツァルトのお姉さんがどんな生涯を送ったのか気になっていました。 18世紀の世界観とナンネルが選ばざるを得なかった生き方に、切ない想いを感じる物語でした。 ... [続きを読む]

受信: 2011年5月15日 (日) 21時44分

» ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路 [C'est joli〜ここちいい毎日を〜]
ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路'10:フランス◆原題:NANNERL, LA SOEUR DE MOZART/MOZART'S SISTER◆監督:ルネ・フェレ◆出演:マリー・フェレ、マルク・バルベ、デルフィーヌ・シェイヨー、 ... [続きを読む]

受信: 2011年10月19日 (水) 14時23分

» 『ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路』 [千の天使がバスケットボールする]
モーツァルトが若くして亡くなった理由に、幼い頃から父レオポルドに連れられて、ヨーロッパ中を悪路にゆられて馬車で演奏旅行をした時の無理がたたったのだという説がある。 馬車の中でさえ凍りつくような冬の道、みすぼらしい宿屋、芸術を理解せず蔑すんだ視線で迎える...... [続きを読む]

受信: 2011年11月27日 (日) 15時08分

» 【ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路】偉大な音楽家の姉という呪縛 [映画@見取り八段]
ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路〜 NANNERL, LA SOEUR DE MOZART 〜 監督: ルネ・フェレ    出演: マリー・フェレ、マルク・バルベ、ダヴィッド・モロー、デルフィーヌ・シュイヨー、クロヴィ...... [続きを読む]

受信: 2012年2月 5日 (日) 15時52分

» ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路(DVD) [パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ]
モーツァルトの実姉ナンネルの知られざる真実と、フランス王太子との密かな恋の行方を描く。実際のヴェルサイユ宮殿でロケを敢行し、重厚なバロック音楽とともに絢爛な映像を創り ... [続きを読む]

受信: 2012年2月14日 (火) 10時53分

» 映画評「ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆★(5点/10点満点中) 2010年フランス映画 監督ルネ・フェレ ネタバレあり [続きを読む]

受信: 2012年3月13日 (火) 07時27分

« 高校デビュー | トップページ | ミス・ギャングスター/육혈포강도단 »