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2011年4月 1日 (金)

俺たちに明日はない

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30年代アメリカを舞台に、実在した男女2人組の強盗ボニーとクライドの姿を描いた作品。1967年のアカデミー賞で9部門にノミネートされ、助演女優賞他2冠を獲得した。アメリカン・ニューシネマの先駆けとなった作品としても知られている。主演はウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイ。共演にマイケル・J・ポラード、ジーン・ハックマン。監督はアーサー・ペンが務める。
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歴史に残る傑作には理由がある

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原題は『BONNIE AND CLYDE』とそのままですが。ここは邦題『俺たちに明日はない』の秀逸さに軍配を上げたいところです。正に警察に追われて明日をも知れぬ中を、刹那的に刺激的に生きるボニー(フェイ・ダナウェイ)とクライド(ウォーレン・ベイティ)の姿が描かれていました。1968年公開でアメリカン・ニューシネマの先駆けとなる作品ですが、確かにアンチヒーロー、アンハッピーエンドを地で行っています。初っ端からドンと引き込まれる展開かと思いきや、刑務所を出たてのクライド(ウォーレン・ベイティ)がボニー(フェイ・ダナウェイ)の母の車を盗もうとしているところを彼女に見つかり、咎められるという地味な出逢いから始まるのでした。日々の生活に倦んでいたボニーはクライドのアウトローな部分に惹かれ始め、彼と行動をともにします。

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ここから2人で銀行強盗を繰り返しはじめるのだけれど、彼らには悪びれた様子など全くなく、むしろ見ているこちらが痛快に感じるほど。1930年代の恐慌時代に生きる彼らからすれば、貧乏人から搾取している資本家の象徴たる銀行を襲うことに何のためらいもなかったのでしょうし、ある意味この感情はリーマンショック以降の世界的な不景気の中で生きる現代の我々にも共通する部分があるように感じます。クライドはボニーとベッドを共にするもインポで彼女を抱くことができません。彼は自分は女嫌いだと取り繕うのですが、これも当時の社会における女性の社会進出の高まりと男の自信喪失の象徴のようにも思えます。やがてこの2人にC・W・モス(マイケル・J・ポラード)が加わるのですが、車に強いモスのおかげで彼らは自動車泥棒もしまくり。

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車といえば、本作では警察に追われると次々と車を盗んでは乗り換えて逃亡をはかるのですが、荒野を走り抜ける車は昔で言う所の馬の存在と同じで、西部劇の悪役が追われる様子の近代版のように見えるのが面白い。やがてクライドの兄バック(ジーン・ハックマン)とその妻ブランシュ(エステル・パーソンズ)が加わり、5人はバロウ一味として新聞に掲載され始めます。そんな新聞記事を無邪気に喜ぶ彼ら。実際この時期の5人は実に楽しそうで、個人的にバックが語る「牛飼いの親子」のブラックジョークはケッサクでした。逆にそんな楽しい時には全てが上手く回るもの。警察に追われてもサクッと逃げ切り、テキサス・レンジャーのヘイマーを逆に捕まえて屈辱を与えたりとやりたい放題。もっともコレがラストへの伏線になるとはこの時は知る由もありませんけれど。

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ところが転機となったのはボニーが年老いた母親に会いたがったことでした。そもそもクライドを愛してはいても、今では常に仲間と一緒で2人きりにもなれず、彼はインポで女としての歓びも与えてもらえない、しかもどこへ行っても追いかけてくる警察からの逃亡生活は彼女の心を著しく疲弊させていたのは想像に難くありません。母を前にして異様にはしゃぎまくり、ボニーを幸せにすると気安く口にするクライドの軽さと、真剣に母の傍に戻りたいと願うボニーの姿が対照的で印象深いのでした。彼女は言います。「初めのうちは、世界を征服したみたいだった」しかし、現実的にはその時の彼らには何もないのです。犯罪に手を染めると言うことは同時にリスクも背負い込むと言うこと。母が立ち去った後ボニーに残されたのはクライドだけでした。

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そして遂にアイオワでは保安官に囲まれてバックが重傷を負い死亡、目を怪我して視力を失ったブランシュは夫の傍を離れず逮捕されます。それにしても隠れ家を急襲する時の保安官たちが問答無用に拳銃をぶっ放しまくるのは驚き。賞金が懸かっていたり、コレまでの鬱憤が溜まっていたりと理由はあるにせよ、投降の呼びかけだとかは一切ありません。やむを得ずバックたちを置いたままクライドたち3人は包囲を突破し、モスの実家へと身を寄せるのでした。怪我を癒し束の間の平穏を得た2人。ボニーが2人の事を綴った詩が新聞に掲載され、「これが僕の一生だ、これで全部だ、それを君が書いてくれた、世間の語り草に」と狂喜するクライド。そして初めて結ばれる2人。この件はこの後来る映画史に残るラストと対になる美しくも儚い名シーンです。

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これまでの刺激的な幸せとは異なり心の平穏を得た2人から溢れ出る幸福感、しかしながら結果的にはそれすらも刹那的だというのが哀しい…。ブランシュがモスの本名をばらし、それによって居所がばれた彼ら、モスの父親は息子を助けることを条件にクライドとボニーを売ります。買い物のために家をでた2人が帰宅途中、パンクを偽るモスの父に騙され車を降りるクライド。藪に潜んでいた保安官たちから実に87発もの弾丸を全身に浴び、後に「死のダンス」と称されるほどの衝撃的なスローモーションシーンは、切なく哀しくそして美しい…。遺体を覗き込む保安官たちのショットで唐突に終わるこの作品、命が終わる瞬間とはこんなものなのかも知れないと思わされる締めでした。

個人的おススメ度4.5
今日の一言:『明日に向かって撃て』は本作の西部劇版?
総合評価:87点

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