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2011年4月29日 (金)

真夜中のカーボーイ

Photo 1969年のアカデミー賞で6部門ノミネートし、作品賞と監督賞・脚色賞の三冠を獲得したアメリカン・ニューシネマの代表作。テキサスの田舎からニューヨークに出てきた男と片足を引きずった小男の奇妙な友情と、2人が底辺から這い上がろうともがく姿を描く。主演はダスティン・ホフマンとジョン・ヴォイト。監督はジョン・シュレシンジャー。
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ナルシーカウボーイNYへ行く

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ニューヨークを舞台に底辺から這い上がろうともがく若者2人を描いた作品。しかもその方法が男娼、場合によってはゲイの相手もしてしまうというのだから、いかにも既存のハリウッド映画とは一線を画したアメリカン・ニューシネマのイメージそのままの作品です。1969年のアカデミー賞作品賞と監督賞、脚色賞の三冠を獲得しているのだけれど、同じ年の主演男優賞を獲得したのが今回公開された『トゥルー・グリット』のオリジナルである『勇気ある追跡』のジョン・ウェイン。更に本作同様にアメリカン・ニューシネマの代表作として知られる『明日に向かって撃て!』が脚本賞を獲得しているのだから、やはり主要5部門獲得作品と言うのは後世にまで残るということでしょうか。これだけ見ると何だかやけにカウボーイ系が多いようにも見えますね。

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しかし、本作の主人公ジョー(ジョン・ヴォイト)はテキサスから出て来たものの本職はカウボーイではなく、あくまでお洒落としてカウボーイの格好をしているだけ。余談ですが、てっきり古い作品だから昔風に「カーボーイ」とついているのかと思いきや、調べてみると何と名付け親はあの水野晴郎さんなんだそうな。詳しく知りたい方はこちらをご参照あれ。それにしてもこの作品、序盤から中盤にかけては結構可笑しくてコメディ作品なのかと思ったほど。テキサスの田舎者ジョーがメチャクチャナルシストで、自分がニューヨークに行けば、女の引く手あまただと勘違いしているところからして笑えます。それにしても大都会ニューヨークでカウボーイの格好にラジオ片手で歩く姿が超浮きまくってるんですが、本人は全く意に介していない。どころかいきなりナンパ。

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最初の相手のキャス役シルヴィア・マイルズは『ウォール・ストリート』に出ていたらしいけど覚えてません…。何とキャスは高級娼婦だったというオチで金を貰うはずが逆に取られているのだから世話がない。どうでも良いけどなんでそんなに年増のオバハンに声かけるのか…。すっかり落ち込みバーで飲んでいるところでラッツォ(ダスティン・ホフマン)と出会うのでした。ジョーはラッツォから10ドルで仲介人オダニエル(ジョン・マクギバー)を紹介されるものの、オダニエルはゲイ専門の仲介人。最初は話が噛み合っているものの、だんだん話がおかしい事にジョーが気付き顔色が変わっていく様子には思わず大笑い。もちろんジョーは笑い事じゃなく怒り狂ってラッツォを探すのですけど。(笑)ところが彼は持ち金が底を付き、ホテルを追い出されて行く場所がなくなります。

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偶然にも街の酒場でラッツォを見つけて怒りをぶつけるジョー。彼の窮状を知ったラッツォは、罪滅ぼしのためか自分の家にジョーを呼ぶのでした。ここからこの2人の妙な友情が育まれて行きます。前半の滑稽な描写は影を潜め、極貧生活の中から何とか抜け出そうとする2人。ラッツォの夢はフロリダに行くことでしたが、暖房も無い冬のニューヨークの廃ビルの寒さは想像するに難くありません。ドアにはってある常夏のフロリダのポスターが夢と現実との乖離を象徴していました。とあるドラッグパーティーに呼ばれ、そこで初めて客を掴んだジョー。通常マリファナは何人かで回しながら吸うけれど、タバコだと思っているジョーは自分ひとりでラリってる。やっぱりこのあたりはテキサスの田舎者丸出しで面白かったりします。

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ただ、そんなユニークな一面を持つジョーの裏側が垣間見えるのは、時折挿入される回想シーンらしき映像から。どうやら恋人と愛し合っている時に集団レイプにあったようで、しかももしかしたら彼女だけでなく彼もレイプされたようにも見える…。彼がそもそもニューヨークで男娼をやろうと決めた理由はこのあたりにあるのかもしれません。この辺りからラッツォの病気が酷くなってゆくのですが、皮肉にも彼はお金のためにゲイの相手をしたりします。ゲイのサラリーマンを叩きのめして金を奪ったりする様子を観ても、このパーティーからの一連は正に典型的なセックス・ドラッグ・バイオレンスの三拍子。しかし所謂ロック的な三拍子ではなく、ジョーの心にあるのはただ一つ「病気の親友をフロリダに連れて行くための金が必要」ということだけ。

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想いの尊さが反社会的な行為に説得力を持たせていました。フロリダへ向かう夜行バスにラッツォを乗せるジョー。2人は夢のフロリダに何を見ていたのか。息も絶え絶えなラッツォとジョーの間の会話が面白くも哀しくて心に響きます。この時のダスティン・ホフマンの名演技、これがまた素晴らしい。体の苦しみはあれども、解放されつつある心、微妙なバランスを保った表情が我々の目を釘付けにします。あと数分でマイアミに到着するというその時、ジョーがラッツォを見ると彼は既に息を引き取っています。余りに無情なラストにはしばし呆然とするしかなかったのでした…。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:シルヴィア・マイルズは37歳に見えん…
総合評価:72点

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2010年6月18日(金) 録画再生(BS h 6月14日15:00放送) 真夜中のカーボーイ (2枚組特別編) [DVD]出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパンメディア: DVD 1970年頃のアメリカン・ニューシネマの1本。何故か少年の頃にテレビの吹替えで観ている。ゲイな感じの貧乏臭い話という記憶しかない。 アンジェリーナ・ジョリーの父ことジョン・ヴォイトは、テキサスの田舎者。カウボーイスタイルを愛する好漢だが、テキサスの町には悪夢に見るほどの嫌な... [続きを読む]

受信: 2011年5月16日 (月) 02時24分

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