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2011年4月 8日 (金)

紙風船

Photo_19 有名な劇作家、岸田國士の原作を基に東京芸術大学の映画専攻の学生たちが制作したオムニバス映画だ。江ノ島を舞台に繰り広げられる淡い恋物語、とある夫婦の憂鬱な日曜日を描いた物語など、4本の短編それぞれで絶妙な会話劇が繰り広げられる。出演は大後寿々花、佐津川愛美、仲村トオル、光石研など実力派が顔を揃えた。
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俳優の良さに助けられた監督たち

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企画プロデュースや撮影、配給など全てを東京藝術大学の学生が手がけた作品です。同校では2009年6月に伊坂幸太郎原作の『ラッシュライフ』を同じように全てを手がける形で映画化していますが、私が見るのはコレが2作品目でした。短編映画の世界でも最近同校の躍進は著しいようですが、本作ではその得意の短編4本のオムニバス仕立て。全体的に言えることは、登場人物の心情をはっきりと見せるのではなく、観客が想いをめぐらしながら鑑賞するような形に仕上げてありました。ともあれ、それぞれの作品に関してレビューして見たいと思います。

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『あの星はいつ現はれるか』
出演:大後寿々花、森岡龍)、光石研、富田靖子
監督:廣原 暁

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雨宮絵ノ葉(大後寿々花)と大隈(森岡龍)は幼馴染で親も知る仲。この作品、何が面白いと言って、絵ノ葉が大隈に抱いている淡い恋心の解釈。絵ノ葉の父・透(光石研)と、母・果歩(富田靖子)の言っていることが正反対なのだけれど、それは娘の気持ちを理解しているからというより、娘を持つ父親や母親の願望だったりするのでした。いずれにしても、そのおかげで絵ノ葉自身まで自分の気持ちに混乱してしまうのです。『女の子ものがたり』の大後寿々花はリアル高校生だけあってこの役は演じやすかったのでしょう、観ている側にもリアルな女子高生の気持ちとして伝わってきました。“好き”の気持ちが“仲良し”から“恋愛”に変わる瞬間と言うのはいつ訪れるのか。ラストシーンの捉え方はどちらにも見えるのだけれど、なにやら甘酸っぱくて悪い気持ちではないのでした。

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『命を弄ぶ男ふたり』
出演:水橋研二、石田法嗣、佐津川愛美
監督:眞田康平

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遊びに来たかつての教え子・村上要(石田法嗣)、国富遥(佐津川愛美)と再会する島田雅人(水橋研二)。3人は学校の屋上で宴会をするのだけれど、いきなり遥が屋上から飛び降りてしまう…。何故か下にあるプールに落ちていて死んでないというのがちと無理がありすぎると思うのだけれど、まあそこは目を瞑ろう。問題はこの先。そのものズバリのタイトル通りで、雅人と要はまだ辛うじて息のある遥を前にしてまるで緊張感のない会話を繰り返すのです。「もう帰ろう」だの、「実は殺してやりたかった」だの、「遥が好きだった」だの、瀕死の遥のことなどお構いナシに彼らは自らの事だけを話し続けます。遥の死を自殺に見せかけるための工作にかかる2人。しかしラストシークエンスは余りにも抽象的過ぎて何を伝えたいのかが解りません。ちょっと自分の演出に酔っているかな…。

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『秘密の代償』
出演:高橋真唯、吉行由実、清水大敬、林剛史
監督:吉川 諒

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4作品の中で1番意味不明な物語。家政婦の美和(高橋真唯)が勤め先の生田家の家族を混乱に陥れる物語なのだけれど、何が『秘密の代償』なのかサッパリ。観ていると、夫・宏(清水大敬)と息子・守(林剛史)に何かをされたかのような態度を妻の生田数子(吉行由実)に見せ、数子が疑心暗鬼に陥るという展開。しかしそんなことを見せたいのか、それをカモフラージュにして何か別の目的があるのかがまるで見えてこないのでした。しかも突っ込み所は満載。何の感情移入も出来ないどころか話として面白くも何ともないけれど、高橋真唯が可愛いのだけは事実。見所はそこだけでした。

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『紙風船』
出演:仲村トオル、緒川たまき
監督:秋野翔一

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夫(仲村トオル)と妻(緒川たまき)の絶妙な会話劇が素晴らしい。4作品の中では最も完成度が高く、しかし逆に言えば俳優の力量が必要とされる作品だったと思います。物語は日曜日を過ごすある夫婦の姿を描いただけで、しかも全て家の中というほぼワンシチュエーション。愛し合っている2人だけれど、結婚して1年経つと色々負の部分も見えてくる、しかもどうやら夫は久しぶりに日曜日に休みが取れたよう。これで単に仲違いなら面白くも何ともないのだけれど、すれ違った気持ちをお互いに修復しようとする2人の姿についつい引き込まれるのです。不意に始まる2人の空想鎌倉旅行はまるで本当に旅をしているかのように楽しい気持ちが伝わってくるし、お互いがお互いを心から愛しているのが解ってなにやら見守ってあげたい気持ちにさせられます。ミドルエイジの甘酸っぱさに、照れくさくもあり、楽しくもありなのでした、

個人的おススメ度3.0
今日の一言:今回はバルト9じゃないのね…
総合評価:68点

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受信: 2011年4月 8日 (金) 03時18分

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紙風船 監督:秋野翔一/廣原暁/眞田康平/吉川諒 出演:仲村トオル/緒川たまき/大後寿々花/森岡龍/水橋研二/石田法嗣/高橋真唯/林剛史 内容:大正から昭和にかけて活躍した劇作家・演出家、岸田國士。演劇界では小劇団から商業演劇まで数多く上演され続け、1956年に巨匠成瀬巳喜男が氏の原作を映画化している。本作は、東京芸大生が氏の描く今も変わらぬリアルに共感し映画化したもの。鎌倉・江ノ島の美しい情景を舞台に、それぞれの運命が今幕を開ける!江ノ島を舞台に繰り広げられる、淡... [続きを読む]

受信: 2011年4月 8日 (金) 08時07分

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