ガリバー旅行記／Gulliver's Travels

恐らく知らない人はいないであろう人気物語、ジョナサン・スウィフトの「ガリバー旅行記」を『僕らのミライへ逆回転』のジャック・ブラックが主演で映画化したファンタジームービーだ。小人の国でガリバーが大活躍する様子は原作に忠実でありつつ現代風にアレンジされている。共演に『ヴィクトリア女王 世紀の愛』のエミリー・ブラント。監督は『モンスターＶＳエイリアン』のロブ・レターマン。
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よもや「ガリバー旅行記」を知らない人はいないと思うが、本作のガリバーはＴシャツにハーフパンツというすっかり今風のいでたち。しかし演じているのがジャック・ブラックときたらこれはもう観ているだけでコミカルなのでした。おっと、最初に書いておくと３Ｄ吹替え版での鑑賞でしたが３Ｄは全くどうでも良いレベル、というか観ていて３Ｄであることをすっかり忘れていたレベルです。お話の流れは基本的に同じ。ガリバーが小人の国に出かけて様々な活躍をする様子を描いたものですが、今回は現代風にアレンジされていました。本来はどちらかといえばアドベンチャー要素が強いお話ですが、あまりその部分を感じさせず、登場人物同士の人対人の関わりに重点を置いているようです。

ニューヨークの新聞社でメール係をしているガリバーは小心者で密かに好きなダーシーにもその気持ちを伝えられません。序盤はそんなうじうじガリバーが描かれますが、要はそれは小人の国・リリパット王国に行った時の彼との対比のため。それにしてもバミューダ・トライアングルからリリパット王国に行けてしまうという持って行き方は少し安易かなとも思います。もっとも本作全般に言えることだけれど、子供が喜びそうな至極単純なお話なんですね。映像的な面白さはあるけれどストーリー全般は捻りは殆どないといっていいです。さて、原作さながらに難破したガリバーが目覚めると、小人たちにがんじがらめにされているのがちょっと嬉しいところ。やっぱりこれがなくちゃ「ガリバー旅行記」になりません。

最初は“野獣”と呼ばれて牢に繋がれてしまうガリバーですが、宮殿の火事をなんとオシッコで消してセオドア王を助けたことで一気にヒーローに。しかも自分は大統領だと嘘をついて、王たちの信頼を勝ち得るのでした。リリパット王国は中世さながらの世界なのですが、そこに現代ニューヨークを持ち込むガリバー。暫くの間はそんな彼の様子が描かれ続けます。『タイタニック』や『スター・ウォーズ』のパロディが登場したり、街をニューヨーク風にしたり、するのは大爆笑する程じゃないけれど面白いといえば面白い。だけど、そもそもそれだったら相手が小人じゃなくても良くないか？と思ったりもします。他にも王女メアリー（エミリー・ブラント）とホレイショ（ジェイソン・シーゲル）の恋愛もそう。

ガリバーはホレイショを応援し、メアリー王女を口説くテクニックを伝授するのだけれど、別にそれも小人とか巨人とかまるで関係ないですし。つまり本作の面白さというのはお話としそのものから来るのではなくて、ガリバーそのもののキャラクター、もっと言えばそれを演じているジャックの存在感から来るものではないかと思うのです。それが１番顕著に出ていたのが、敵国の軍艦をガリバーがやっつけるという、予告編でも使われているシーン。ぶよんぶよんのお腹で大砲の弾を全部跳ね返してやっつけてしまうなんていうのは、ジャックでなきゃできません。ただ、このあたりは巨人であることの有利さが出ていて「ガリバー旅行記」らしい楽しさでした。

終盤では意外な敵「モビルスーツ＋アイアンマン」のような相手も登場し、ガリバーは一度は負けてしまいます。当然ながら最終的には勝利を納めるという流れはまあ問題ないとはいえ、中途半端にガリバーが小人の国ならぬ巨人の国に流されてしまったりと、８５分しかない割りに終盤に来て詰め込みすぎな感は否めません。別にもうちょっと長くしても良いと思うのだけど…。最後のジャックのダンスシーンは好みの差があるかもしれませんが、観ていて感じたのは字幕か吹替えかでも感じ方が変わりそうだということ。正直日本語でのダンスシーンは微妙でしたから、ここだけでもジャックの地声にして欲しかったところではあります。ともあれ、気楽なファミリー映画としては楽しい作品でしょう。

個人的おススメ度3.0
今日の一言：想像してたより大人しかった
総合評価：65点

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