« キッズ・オールライト/The Kids Are All Right | トップページ | スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団/Scott Pilgrim vs. the World »

2011年5月 3日 (火)

鬼神伝

Photo_2 平安時代にタイムスリップした中学生の少年が鬼と人間の戦いに巻き込まれていく姿を描いた歴史アニメーション。監督は『劇場版 NARUTO-ナルト- 大激突!幻の地底遺跡だってばよ』の川崎博嗣。主人公・天童純の声を『ハリー・ポッター』シリーズのハリーの声を担当する小野賢章、鬼の少女・水葉の声を石原さとみが担当した。大友克洋がコンセプトデザインを手掛けたオロチ(龍)に注目だ。
>>公式サイト

設定したことをしっかり描いて欲しい

 あらすじ・作品情報へ 

にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへみなさんの応援クリックに感謝デス

01_2

“きしんでん”ではなく“おにがみでん”と読みます。ヒロインの声を石原さとみが、そして何よりヤマタノオロチのコンセプトデザインを大友克洋がやるということで鑑賞してきました。鬼と人との対決を描く、しかも大僧正・源雲(声:中村獅童)はじめ強力な霊力で戦うというコンセプトは非常に好みで、そこにどうヤマタノオロチが関わってくるのかが楽しみだったのですが、結論から言うと微妙な作品でした。主人公の天童純(声:小野賢章)は京都の中学生、彼がひょんなことから平安時代にタイムスリップするところから物語は動き始めます。当時の平安京では鬼対人間の戦いが繰り広げられていたのでした。純は人間側の“救いの御子”として大僧正・源雲に迎えられます。

02_2 03_2

何でも“救いの御子”だけがオロチを甦らせて戦いを終わらせることが出来るらしい。源雲の部下として源頼光という少年がいる辺り、鬼退治を意識したネーミングなのが中々楽しい。もっとも鬼のグラフィックデザインはちょっと古臭く、『幻魔大戦』(1983年)当時の魔のグラフィックに良く似ています。というより、そもそもキャラクターデザイン自体がどうも今ひとつに感じますが、担当の西尾鉄也は「劇場版 NARUTO-ナルト-」や「攻殻機動隊 S.A.C.」のキャラデザインも手がけているので今時はこういうものなんでしょうか。妙に頭でっかちでバランスの取れないデザインのキャラクターには結局最後まで愛着が湧くことはありませんでした。

04_2 05_2

挙句に鬼との戦いを嫌いウダウダといつまでも思い切りの悪い純はとにかく観ていて苛立ちが募るばかり。ところが、途中から状況が変わってきます。何と鬼だと思っていたのは人間でした。ちょっとこの設定には驚きだったのですが、要するに源雲たち貴族と彼らの間に自然を巡る考え方の違いがあり、極簡単に言えば自然保護派が鬼と呼ばれる人々だったと言う事のようです。ようですというのは、この辺りがどうもちょっと曖昧だから。物語のラスト近くで源雲はどうやらオロチの力を自分のものとしたいらしいことが解るのだけれど、じゃあ鬼の一族との対立軸が何だったのか…今ひとつハッキリしないままに話は進んで行きます。ヒロイン水葉はそんな鬼の一族の1人。

06_2 07_2

彼女の手引きで純は鬼の一族がどんな人々なのかを知り、何とか戦わずに済ませられないかと考え始めるのです、一方で頼光とその仲間の四天王の人の良さを知る純。そしてまたぞろウダウダと悩み始める純がいい加減ウザイ。少年の葛藤を描こうにもそもそも対立軸が今ひとつハッキリしていない中では説得力そのものが感じられないのです。で、結果的にどうなったのかといえば、純vs源雲の構図になってしまうのだから何をかいわんや…。大友克洋のコンセプトデザインによるオロチは流石に良く出来ているのだけれど、それこそ彼が手がけた『幻魔大戦』で登場するマグマの龍とほぼ同じなのは仕方ないことなのでしょう。個人的には妙に懐かしさで一杯になったのでした(苦笑)

08_2 09_3

総じて言うとコンセプトは面白そうなのだけれど、なにやらお手軽に作ってしまったようで実にもったいない。細かい設定とその描写を手抜きせずにキッチリ描けばもっと面白くなったと思うのです。実際かなり力を入れたであろうクライマックスの描写は流石に迫力を感じたので。

個人的おススメ度2.5
今日の一言:音楽が宇崎竜童…気付かなかった
総合評価:55点

にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへ
↑いつも応援して頂き感謝です!
今後ともポチッとご協力頂けると嬉しいです♪

|

« キッズ・オールライト/The Kids Are All Right | トップページ | スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団/Scott Pilgrim vs. the World »

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 鬼神伝:

» 鬼神伝 [だらだら無気力ブログ]
高田崇史の同名ノベルスを「劇場版 NARUTO-ナルト- 大激突!幻の地底 遺跡だってばよ」の川崎博嗣監督で長編アニメ化した伝奇ファンタジー・ アクション。 ひょんなことから平安時代にタイムスリップした中学生の少年が、そこで 繰り広げられる鬼と人との対立に巻き込ま…... [続きを読む]

受信: 2011年5月 3日 (火) 02時20分

» 鬼神伝/小野賢章、石原さとみ、中村獅童 [カノンな日々]
映画ポスターを目にしてとりあえず一度予告編を観たいなと思っていたのですが、観に行く映画と客層が合わないのか一度もかかってくれませんでした。そうなるとかえって気になりだ ... [続きを読む]

受信: 2011年5月 3日 (火) 08時54分

» 鬼神伝 [象のロケット]
京都に住む15歳の男子中学生・天童純は、古寺で源信という僧侶と出会い、1200年前の京都・平安京の貴族たちの元へ連れて行かれてしまう。 都の人々は、妖術を使い自然を操る“鬼”たちの襲撃に脅かされており、純こそが幻のオロチを目覚めさせ鬼を退治できる“救いの御子(みこ)”であると言うのだ。 純は戦いの中で、“鬼”の正体を知ることになるのだが…。 歴史冒険アニメ。 ... [続きを読む]

受信: 2011年5月 3日 (火) 17時38分

» 『鬼神伝』をユナイテッドシネマス豊洲11で観て、真面目が必ずしもいい訳ではないのだなふじき☆☆ [ふじき78の死屍累々映画日記]
五つ星評価で【☆☆一生懸命作ったのは分かるが後半冗長】 萌えない。 いや、それは一番大事な要素ではないけれど、 そこそこ大事な要素なのだ。 つまり、キャラクターに没頭 ... [続きを読む]

受信: 2011年5月 4日 (水) 09時38分

» 「鬼神伝」 [みんなシネマいいのに!]
 2011年のゴールデンウィークのがっかり映画は間違いなく「豆富小僧」なのだが、 [続きを読む]

受信: 2011年5月 5日 (木) 14時51分

» 鬼神伝 [佐藤秀の徒然幻視録]
公式サイト。高田崇史原作、川崎博嗣監督。(声) 野賢章、石原さとみ、中村獅童、近藤隆、森久保祥太郎、伊藤健太郎、加瀬康之、小森創介、咲野俊介、東條加那子、相ヶ瀬龍史、野島 ... [続きを読む]

受信: 2011年5月 6日 (金) 20時36分

» ■映画『鬼神伝』 [Viva La Vida! <ライターCheese の映画やもろもろ>]
「こういうのこそが“ジャパニメーション”と呼ぶにピッタリ!」と思える伝奇アニメ『鬼神伝』。 実は、あまり期待せずになんとなく観に行ったのですが…、かなり楽しめました。 特に、“鬼”の造形がかなり面白い! 平安時代の絵巻「百鬼夜行」をそのままアニメに再現して... [続きを読む]

受信: 2011年5月13日 (金) 12時54分

» 「鬼神伝」感想 [新・狂人ブログ~暁は燃えているか!~]
 「QED」シリーズで知られる高田崇史原作の児童向け小説を、スタジオぴえろ制作、「NARUTO -ナルト-」シリーズの川崎博嗣監督でアニメ映画化。  ふざけんなボケナス。  今のところ、本作を観終えた小生を心境を、諸兄姉にもっとも分かりやすく、且つダイレクトに... [続きを読む]

受信: 2011年5月13日 (金) 22時41分

» 鬼神伝 [ケントのたそがれ劇場]
★★★  平安時代には鬼と人間が戦っていたという。鬼たちは妖怪達を味方につけているため、人間たちのほうが旗色が悪い。そこで超能力を駆使する密教僧・源雲は現代より、スサノオの子孫でやまとのおろちを操れる天童純をタイムスリップさせる。  前半はなかなか興味深い... [続きを読む]

受信: 2011年5月21日 (土) 20時15分

» 鬼神伝 [とりあえず、コメントです]
高田崇史著の「鬼神伝」シリーズをアニメで映像化した作品です。 何となく気になっていたのでチャレンジしてみました。 途中までの何とも言えない展開と、ラストの爽やさが印象に残った作品でした。 ... [続きを読む]

受信: 2011年5月21日 (土) 22時58分

» 鬼神伝 [銀幕大帝α]
10年/日本/98分/ファンタジー・アクション・アドベンチャー/劇場公開 監督:川崎博嗣 デザイン:大友克洋 音楽:宇崎竜童 主題歌:福原美穂『STARLIGHT』 声の出演:小野賢章、石原さとみ、中村獅童 <ストーリー> ある日突然謎の魔物に追われ、1200年前の平安...... [続きを読む]

受信: 2011年10月 1日 (土) 14時34分

« キッズ・オールライト/The Kids Are All Right | トップページ | スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団/Scott Pilgrim vs. the World »