アンノウン／Unknown

『９６時間』のリーアム・ニーソン主演最新作。交通事故から目が覚めると妻は自分の事を忘れ、誰かが自分になっていた…。失われた自分を探すと同時に謎の真相にせまる主人公の姿をスリリングに描いたアクションサスペンスだ。監督は『エスター』のジャウマ・コレット＝セラ。共演に『イングロリアス・バスターズ』のダイアン・クルーガー、『フロスト×ニクソン』のフランク・ランジェラが出演している。
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何故マーティンは？そこ重要でしょ。

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リーアム・ニーソン期待の最新作。今回の彼は柄にもなく？植物学者のマーティン・ハリス博士という役どころです。マーティンは学会の為に訪れたベルリンで事故に遭い、九死に一生を得るも、気がついたときには愛する妻は自分の事を忘れ、しかも自分に成りすました男がその妻に寄り添っている…といった状況。さーここからどうする？というのだから実にそそられる設定です。正確には妻はマーティンを忘れたのではなく、自分以外にもう一人マーティン・ハリスが現れ、自分という存在に取って代わられてしまったと言ったほうが良いかも。話は大きく２つに分けられます。それはマーティンが自分を失ってしまった謎が判明する前と後。結論から言うと、謎の真相自体にちょっとガッカリしてしまったため、作品全体の印象としてはまあまあというところでした。

という訳で、謎の真相が判明する前と後に分けて書いてみたいと思います。まず気に入ったのはマーティン・ハリス博士の妻役エリザベス・ハリスを演じるジャニュアリー・ジョーンズ。映画よりもＴＶドラマで活躍しているようですが『パイレーツ・ロック』にも出ていたらしい。余りに端役で全く記憶にありませんが…。清楚な美人で、少女のような可愛らしさも併せ持った彼女は好感度大なのでした。空港からホテルに到着したマーティンとエリザベスでしたが、空港に忘れたバッグを取りに行くためにマーティンだけがタクシーで引き返します。そのタクシーの運転手がジーナ（ダイアン・クルーガー）でした。事故の後、意識を取り戻したマーティンを助けは謎に立ち向かうことになります。余談ですが、この２人のタクシーが川に転落する様子は『インセプション』…。

さて、自分の代わりにマーティン・ハリスをしている男（エイダン・クイン）に歯噛みする想いのマーティン。しかし空港に忘れたカバンの中に身分証やらパスポートを全て入れっぱなしの彼は、自分が誰だか証明する術をもちません。しかもご丁寧に事故のショックでそのカバンの記憶すら忘れているという…。もしかして自分は本当はマーティンではないのではないか…と思い始めてしまう彼を観ていると、私たちは当然ながら彼がマーティンであることを解っているだけに非常に歯がゆさを覚えるのでした。謎解きが始まるまでの苦悩する彼の姿はここ最近のリーアムでは見かけない弱さが感じられますし、演技としては上手いのですが、個人的には「そんなリーアム観たくないぞ！」という感じ（笑）そのうちに怪しげな連中が彼の命を狙ってきます。すわ！何かの陰謀か？！

マーティンはユルゲン（ブルーノ・ガンツ）という元東ドイツ秘密警察の男にも協力を得て一体自分に何が起こっているのかを調べ始めるのでした。ところが、これがまた実にアッサリと謎の組織に辿り着いてしまうのが拍子抜け。元東ドイツのスパイだかなんだか知りませんが、まるで最初から相手が解っていたかの如く一直線なのは頂けない。更にマーティンはエリザベスに逢いに行き、彼女から身分証の入ったカバンの事を教えられます。成程エリザベスは本当にマーティンを忘れた訳ではなかった…少なくともこの時点でパラレルワールドといったファンタジックな展開である可能性はなくなります。ジーナと共に空港でカバンを取り戻すマーティン。そして自分が確かにマーティンであることを確認します。さて、ここから先は謎の真相が判明した後に関して書きます。

（ここから核心ネタバレあり）
そのものズバリ書くと、マーティンとエリザベスは第二次世界大戦当時から存在する伝説の暗殺集団の一員でした。で、学会で画期的な発表をする予定だったブレスラー教授の研究データを奪い暗殺する目的でベルリンに来たのです。ただその手段として、教授のパトロンであるアラブの王子様暗殺の巻き添えを食ったという形をお膳立てしようと計画していたのでした。しかし、“突然任務を忘れてしまった”マーティンを排除し、代理の人間を立てて計画を遂行しようとしたというのが今回の謎の真相。しかし伝説の暗殺集団を謳う割には余りにもショボイ。元スパイのユルゲンが、その組織ににらまれたら助からないと諦めて自ら命を断っている程の相手なハズなのに、いざマーティンを襲っておきながら、助けに来たジーナが車で突撃するとアッサリやられるって…。

そもそもマーティンが何故任務を忘れてしまったのかが解らないと成立しない話なのに、それらしき描写が最後まで何一つない。彼は３ヶ月前に同じホテルに泊まって爆弾を仕掛けているのだけれど、そこから今までに一体何があったのか。計画を知ったマーティンは、ホテルに乗り込み教授と王子を助けます。計画が失敗したため爆弾解除に向かったエリザベスは時間切れで爆死、偽マーティンは闘いの最中に記憶を取り戻したマーティンに殺され、結局彼はジーナと共に高飛びしてメデタシメデタシというエンディング。相手が殺し屋でも逃げられるなら誰でもいいのかジーナ？伝説の暗殺集団なのに裏切り者をこんなにアッサリ逃がしていいのか？余りに期待はずれの真相にはホントがっかり。途中のカーチェイスや最後の最後で見せてくれたリーアムの鬼神の強さには興奮しただけに何だかもったいない作品でした。

個人的おススメ度3.0
今日の一言：ジャニュアリー・ジョーンズ可愛いなぁ♪
総合評価：66点

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