パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉／Pirates of the Caribbean: On Stranger Tides

大人気「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの第４弾。今回はキャプテン・ジャック・スパロウが永遠の生命をもたらす泉を求めて新たな冒険を繰り広げる。おなじみジョニー・デップ、ジェフリー・ラッシュといったレギュラーメンバーに加え、新に女海賊役でペネロペ・クルスが参加。更に監督が前３作と変わり『シカゴ』のロブ・マーシャルに。製作は当然ジェリー・ブラッカイマーが変わらず務める。
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それでもジャック・スパロウが好きだ！

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久々のキャプテン・ジャック・スパロウはやっぱり面白い。いや、正確に言うと映画自体はそこまで絶賛できるほどのデキではないと思うのだけれど、ジョニー・デップ扮するこの海賊キャラクターは観ているだけで何をしでかしてくれるんだ？！とワクワクした気持ちにさせてくれるのです。作品は前作までで３部作が終了し、言うなれば今回からは新章突入。ウィル役のオーランド・ブルームやエリザベス役のキーラ・ナイトレイといった人気俳優が外れるとともに、新に加わったのがペネロペ・クルスとイアン・マクシェーンです。イアンは新たな敵・黒ひげ、ペネロペはその娘にして、元ジャックの恋人アンジェリカという役どころ。もちろんレギュラーメンバーのキャプテン・バルボッサ（ジェフリー・ラッシュ）や航海士ギブス（ケヴィン・Ｒ・マクナリー）も出演してました。

序盤、意外なほどに登場してこないジャックでしたが、何といきなりキャプテンではなく裁判長として登場して来たのには意表を突かれます。何のことはない、囚われの身になった相棒ギブスを救うために、裁判官を買収しただけなのですが、相変わらずやることが子供っぽい。法廷での小芝居はいかにも彼らしく、飄々とした面白さに、久方ぶりに見るジャック・スパロウを感じることが出来ました。この後、見事に作戦失敗で英国王の前に引き出されるも脱出するジャック。部屋の中を正に縦横無尽に飛び交い、馬車の天井を乗りうつったりと派手なアクションは序盤の見せ場です。ただ個人的にはやっぱりパイレーツであるからにはアクションは陸地ではなく海上にして欲しかったかも。緊迫感だけでなくコミカルさを交えた脱出劇はジャックならではなんですけどね。

脱出劇の最中に彼はアンジェリカと再会することになります。今回はサブタイトルにあるとおり、永遠の生命をもたらすという“生命の泉”が最終ターゲット。死が近いと予言された黒ひげの為に泉を目指すアンジェリカはその場所を知るジャックを無理矢理協力させて旅立つのでした。まあアンジェリカにというよりも、海賊の王・黒ひげに言われたら逆らえないというのが本当のところ。おまけに呪いの藁人形ならぬ呪いのジャック人形まで登場して痛い目に合わされると、そのてにはてんで弱い彼としてはアッサリ協力というワケ。相変わらず面白いヤツです（笑）もちろん腹の底で色々考えているのは顔を見れば解るので、期待値は高いのですが。ちなみにこの呪いのジャック人形くん、さりげなく重要アイテムらしい…。それは本作を“最後まで”観れば解ります。

ジャックたちと時を同じくして、スペインとイギリスの海軍も同様に泉を目指すのですが、イギリス海軍を率いるのはジャックの宿敵バルボッサ。実は序盤にジャックが英国王に囚われた時、何とバルボッサは王に忠誠を近い“海賊”ではなく“公賊”になったなどとワケの解らんことを言っていたのだけれど、それがこういうことだったとは…。大きく分けるとこの３大勢力の競争ですが、話はそう単純じゃない。ジャック、アンジェリカ、黒ひげ、バルボッサとそれぞれにそれぞれの思惑があり、己の利害関係のみに従って協力したり敵対したりしているからちとこれがややこしいのです。更にここに若き宣教師のフィリップと人魚シレーナの恋のエピソードまで入ってくる…。ある意味１番影の薄いスペイン軍が国の方針として動いている分解りやすい行動理由だったように思います。

永遠の生命を得る儀式には２つの聖杯と人魚の涙が必要らしい。そしてこの人魚の涙をゲットするには人魚を生け捕って泣かす必要がある。このシーンが今回唯一の海絡みのシーンでした。ここで生け捕りにされる人魚シレーナ役のアストリッド・ベルジュ＝フリスベはドコとなく幼さの残る美人ですが２５歳、モデルさんでもあるそうです。ただフィリップが人魚と恋に落ちて行くシーンはどうもとってつけたような感が否めません。例えばもう一つの聖杯をゲットする方のエピソードでは、以前からの登場人物であるバルボッサとジャックの協力関係という、シリーズを観てきた人間からするとちょっと心湧くシーンが観られるのですが、残念ながらシレーナとフィリップにはそこまでの感情移入も、親近感もなく、位置付け的には人魚の涙をゲットするための１エピソードでしかないので。

生命の泉を前にしても、何ら動揺することがないジャックを傍目に、黒ひげやバルボッサ、スペイン海軍入り乱れての大乱闘は一応クライマックスだとは思いますが、どうもイマイチスケールが小さいというか…。要するにジャック本人に直接的な利害関係がない闘いがクライマックスになっているから盛り上がりに欠けてしまうのだと思うのです。そもそも永遠の生命なんてジャック・スパロウらしくないワケですが、全てが終わった後、彼の狙いは最初からブラック・パール号を取り戻すことだったことが解ります。自分の船に対する想いの強さはさすがキャプテンということですね。いずれにしても、本作でいよいよジャックがブラック・パール号を取り戻しました。エンディングの後を見ると、どうやら続編がありそうなんで、今度はまた海に戻ることになるのではないかと期待しています。

個人的おススメ度3.0
今日の一言：言語療法士より海賊が似合う？！
総合評価：64点

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