星を追う子ども
『ほしのこえ』、『秒速5センチメートル』新海誠監督最新作。父親を亡くした孤独な少女が、ひょんなことから足を踏み入れることになった地下世界・アガルタを冒険するファンタジー・アドベンチャーだ。美しいアガルタの世界とと神話的なキャラクターが壮大な世界観を醸しだす。>>公式サイト
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新海監督作品は初見。どうもファンの間では酷評されているようだけれど、予備知識のない一般的な人間から見たら中々の作品だと思う。もっとも始まった瞬間主人公のアスナやアガルタ人のシュンのキャラクターデザインを見た瞬間「何だか某有名アニメスタジオっぽい絵だな」とは思いましたし、地底世界の門番ケツァトルの造形を見た瞬間「もののけ姫?」と思ったりもしたのですが。ただそれは別にマイナスに作用はしません。ろくでもないアニメに似ているならともかく、ジブリ作品に似ているならそれはそれで結構なことですし。っと思ったら、監督自らもインタビューでそれを認める発言をしていました。もっと言うと『世界名作劇場』のイメージなんだそうです。
ともあれ、本作では父を亡くした孤独な少女アスナ(声:金元寿子)が、ひょんなことから地底世界アガルタに入り込み旅をする中で、大切な何かに気付くというお話です。アスナはアガルタから来た少年シュン(声:入野自由)に淡い恋心を抱くも、アガルタ人は地上では長く生きられず死んでしまう。そしてそのタイミングでアスナの学校の担任にモリサキ先生(声:井上和彦)が赴任してくるのだけれど、この教師はとある理由からアガルタへの扉をずっと探していたのでした。アスナはシュンが死ぬ前にクラヴィスという石のペンダントを受け取り、それを探して地上にシュンの弟シン(声:入野自由)が登場。この3人が話しの主だった登場人物となります。
アガルタの世界の設定はこれまたどこかで聞いたことがあるような気もしますが、そんな設定も嫌いじゃない。地上人よりも優れた英知を持ち、例えばケツァトルという単語がアステカ神の名前に似ていたりとどこか神話的な要素も秘めています。例えばモリサキは10年前に死んだ妻を甦らせるためにアガルタにやってきたのですが、その甦りの伝説は古事記にあるイザナギ・イザナミ的なものでした。ちなみにアスナの目的も一応は亡くなったお父さんともう一度会いたいというものでしたが、こちらはモリサキほど強力な想いで出はないように見えます。何故ならストーリーライン上に出てくるのは父親の話よりシュンの話ばかりで、もしかしたら彼女はシュンを甦らせたかったのか?なんて感じたりも。
本作のテーマは「大切な人を失った喪失感にどう相対するのか」ということですが、モリサキが旅を通しても頑なに妻の死を受け入れないのに対し、アスナはある意味それを受け入れて行くように見えました。というより、死んでしまったシュンに変わり自分を助けてくれるシンの存在を通して徐々に、いや、知らないうちに変化していく心情をが終盤になって一気に出てくるとでもいうか。シンは「死んだ人間より、生きている人間の方が大事だ!」というセリフとともに、地上人である彼女の為に闘うのですが、そこにはゆったりと滅びの時を待つアガルタ人への批判を含め、死を受け入れることを肯定的に、ポジティブに捉え、前に進むエネルギーとするべきだというような強い主張を感じます。
とはいえ、シンとアスナが2人ともシュンを思い出して子どもらしく泣く姿からは、それが当然の気持ちだと思うのと、そこまで子供の癖にやたらと我慢しているように見えた2人が始めて自分の心を素直にさらけ出したようで、安心しつつも貰い泣きしてしまったのでした。最終目的地、妻を生き返らせる際に魂の器たる“肉”が必要で、それをアスナに求めるモリサキ。それどころかそれでは足りずに彼の視力までも奪われる。なにやら『鋼の錬金術師』の禁断の人体練成のように見えなくもなかったり…。しかしながらシンの妨害で間一髪救われるアスナ。彼は果たして妻の死を受け入れることが出来たのか…。脚本全体に少し抜けというか粗が多いので、全てにおいて説得力があるかというと疑問ですが、テーマの芯の部分は伝わったように思います。
個人的おススメ度3.0 今日の一言:新海監督の過去作品を観てみますかね 総合評価:65点
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» 星を追う子ども [だらだら無気力ブログ]
『ほしのこえ』『秒速5センチメートル』の新海誠監督が描く、地上に 暮らす少女と地下世界に暮らす少年の出会いと成長を描いたジュブナイル・ アニメーション。 地下世界・アガルタに足を踏み入れた少女・アスナと、失った妻を蘇らせ たいと願う教師・森崎が、未知の世界…... [続きを読む]
受信: 2011年5月13日 (金) 01時15分
» 劇場鑑賞「星を追う子ども」 [日々“是”精進! ver.A]
生きていかなきゃいけないんですよね・・・
詳細レビューはφ(.. )
http://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201105130005/
劇場アニメーション 星を追う子ども Original SoundTrack
posted with amazlet
at 11.05.05
サントラ 熊木杏里
マリ... [続きを読む]
受信: 2011年5月13日 (金) 15時30分
» 『星を追う子ども』 [こねたみっくす]
“さよなら”を言うための旅。それは役目を終えた大切な存在に“ありがとう”を言うための旅。
多くの熱狂的ファンを持つ『秒速5センチメートル』などでお馴染みの新海誠監督の ... [続きを読む]
受信: 2011年5月14日 (土) 08時20分
» 星を追う子ども [とりあえず、コメントです]
『秒速5センチメートル』の新海誠監督の最新アニメーションです。 予告編を観ながら、タイトルの“星を追う子ども”とはどんな意味だろうかと気になっていました。 観始めてすぐに、ちょっと懐かしいような雰囲気の独特の世界に引き込まれていきました。 ... [続きを読む]
受信: 2011年5月14日 (土) 22時41分
» 星を追う子ども [シネマDVD・映画情報館]
星を追う子ども
監督・脚本・原作:新海誠
声の出演:金元寿子/入野自由/井上和彦/島本須美/日高里菜/竹内順子/折笠富美子
内容:ある日、父の形見の鉱石ラジオから聞こえてきた不思議な音楽。その遠い声がアスナの日常を冒険に変えてゆく。喪失をまだそれと分からぬ少女。喪失を決して受け入れぬ大人。居場所を失った異国の少年。出会いと別れの旅の果てに、世界の深部で彼らはなにを見つけるのか。...... [続きを読む]
受信: 2011年5月15日 (日) 15時12分
» 「星を追う子ども」 [みんなシネマいいのに!]
「ほしのこえ」、「雲のむこう、約束の場所」、「秒速5センチメートル」の新海誠監 [続きを読む]
受信: 2011年5月15日 (日) 19時09分
» ジブリケチャップを使うにはもったいない繊細さ ─ 星を追う子ども ─ [Prototypeシネマレビュー]
─ 星を追う子ども ─
「秒速5センチメートル」の新海誠監督の最新作「星を追う子ども」を観てきました。思春期の少女と妻を亡くした男が、地下世界アガルタで自分の求めるモノを ... [続きを読む]
受信: 2011年5月18日 (水) 01時32分
» 星を追う子ども [佐藤秀の徒然幻視録]
本当は怖いほど悲しい別れの物語?
公式サイト。英題:Children who Chase Lost Voices from Deep Below。新海誠監督、(声)金元寿子、入野自由、井上和彦。父親をなくし母子家庭の主人公の少女アスナ ... [続きを読む]
受信: 2011年5月22日 (日) 20時19分
» ■映画『星を追う子ども』 [Viva La Vida! <ライターCheese の映画やもろもろ>]
『ほしのこえ』、『秒速5センチメートル』の新海誠監督が描くジュブナイル・アニメーション『星を追う子ども』。
観終わった後、「うーん、これがセカイ系というやつか…」と、しみじみしました。
せっかくこれだけの世界観を作り上げたのであれば、もっと大きなテーマを描... [続きを読む]
受信: 2011年5月23日 (月) 14時20分
» 『星を追う子ども』 [beatitude]
山間で育った少女アスナ(声:金元寿子)は、母と2人暮らし。ある日、父の形見の鉱石ラジオから聴こえてきた不思議な唄を耳にしたアスナは、その曲が忘れられなくなる。そんな時、彼女はldquo;アガルタrdquo;と呼ばれる地下世界から来た少年シュン(声:入野自...... [続きを読む]
受信: 2011年5月27日 (金) 22時51分
» 星を追う子ども [5125年映画の旅]
ラジオから流れる不思議なメロディーに惹かれる少女・アスナは、ある日謎の怪物に襲われる。アスナは謎の少年・シュンに助けられ二人は友達になるが、あくる日シュンが遺体になっ ... [続きを読む]
受信: 2011年6月 7日 (火) 22時30分
» 星を追う子ども [メルブロ]
星を追う子ども 360本目 2011-20
上映時間 1時間56分
監督 新海誠
出演(声) 入野自由(シュン/シン) 、 井上和彦(モリサキ(森崎 竜司))
島本須美(リサ ... [続きを読む]
受信: 2011年6月12日 (日) 00時11分
» 【映画】 星を追う子ども [ハンティントンのブログ]
星を追う子ども 観ました。
映画の半券見て見ると
初夏の頃なんですねえ
観たの
で
印象ですが
なんだかどこかで
見たような
キャラクターの
オンパレードで... [続きを読む]
受信: 2011年11月 8日 (火) 23時48分
» 星を追うキッズ [Akira's VOICE]
「キッズ・オールライト」
「星を追う子ども」 [続きを読む]
受信: 2011年12月 7日 (水) 15時35分
» 映画評「星を追う子ども」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆★(5点/10点満点中)
2011年日本映画 監督・新海誠
ネタバレあり [続きを読む]
受信: 2012年5月12日 (土) 15時43分
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