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2011年5月12日 (木)

星を追う子ども

Photo 『ほしのこえ』、『秒速5センチメートル』新海誠監督最新作。父親を亡くした孤独な少女が、ひょんなことから足を踏み入れることになった地下世界・アガルタを冒険するファンタジー・アドベンチャーだ。美しいアガルタの世界とと神話的なキャラクターが壮大な世界観を醸しだす。
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全体の説得力は疑問、でもテーマは伝わる

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新海監督作品は初見。どうもファンの間では酷評されているようだけれど、予備知識のない一般的な人間から見たら中々の作品だと思う。もっとも始まった瞬間主人公のアスナやアガルタ人のシュンのキャラクターデザインを見た瞬間「何だか某有名アニメスタジオっぽい絵だな」とは思いましたし、地底世界の門番ケツァトルの造形を見た瞬間「もののけ姫?」と思ったりもしたのですが。ただそれは別にマイナスに作用はしません。ろくでもないアニメに似ているならともかく、ジブリ作品に似ているならそれはそれで結構なことですし。っと思ったら、監督自らもインタビューでそれを認める発言をしていました。もっと言うと『世界名作劇場』のイメージなんだそうです。

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ともあれ、本作では父を亡くした孤独な少女アスナ(声:金元寿子)が、ひょんなことから地底世界アガルタに入り込み旅をする中で、大切な何かに気付くというお話です。アスナはアガルタから来た少年シュン(声:入野自由)に淡い恋心を抱くも、アガルタ人は地上では長く生きられず死んでしまう。そしてそのタイミングでアスナの学校の担任にモリサキ先生(声:井上和彦)が赴任してくるのだけれど、この教師はとある理由からアガルタへの扉をずっと探していたのでした。アスナはシュンが死ぬ前にクラヴィスという石のペンダントを受け取り、それを探して地上にシュンの弟シン(声:入野自由)が登場。この3人が話しの主だった登場人物となります。

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アガルタの世界の設定はこれまたどこかで聞いたことがあるような気もしますが、そんな設定も嫌いじゃない。地上人よりも優れた英知を持ち、例えばケツァトルという単語がアステカ神の名前に似ていたりとどこか神話的な要素も秘めています。例えばモリサキは10年前に死んだ妻を甦らせるためにアガルタにやってきたのですが、その甦りの伝説は古事記にあるイザナギ・イザナミ的なものでした。ちなみにアスナの目的も一応は亡くなったお父さんともう一度会いたいというものでしたが、こちらはモリサキほど強力な想いで出はないように見えます。何故ならストーリーライン上に出てくるのは父親の話よりシュンの話ばかりで、もしかしたら彼女はシュンを甦らせたかったのか?なんて感じたりも。

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本作のテーマは「大切な人を失った喪失感にどう相対するのか」ということですが、モリサキが旅を通しても頑なに妻の死を受け入れないのに対し、アスナはある意味それを受け入れて行くように見えました。というより、死んでしまったシュンに変わり自分を助けてくれるシンの存在を通して徐々に、いや、知らないうちに変化していく心情をが終盤になって一気に出てくるとでもいうか。シンは「死んだ人間より、生きている人間の方が大事だ!」というセリフとともに、地上人である彼女の為に闘うのですが、そこにはゆったりと滅びの時を待つアガルタ人への批判を含め、死を受け入れることを肯定的に、ポジティブに捉え、前に進むエネルギーとするべきだというような強い主張を感じます。

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とはいえ、シンとアスナが2人ともシュンを思い出して子どもらしく泣く姿からは、それが当然の気持ちだと思うのと、そこまで子供の癖にやたらと我慢しているように見えた2人が始めて自分の心を素直にさらけ出したようで、安心しつつも貰い泣きしてしまったのでした。最終目的地、妻を生き返らせる際に魂の器たる“肉”が必要で、それをアスナに求めるモリサキ。それどころかそれでは足りずに彼の視力までも奪われる。なにやら『鋼の錬金術師』の禁断の人体練成のように見えなくもなかったり…。しかしながらシンの妨害で間一髪救われるアスナ。彼は果たして妻の死を受け入れることが出来たのか…。脚本全体に少し抜けというか粗が多いので、全てにおいて説得力があるかというと疑問ですが、テーマの芯の部分は伝わったように思います。

個人的おススメ度3.0
今日の一言:新海監督の過去作品を観てみますかね
総合評価:65点

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受信: 2012年5月12日 (土) 15時43分

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