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2011年5月 5日 (木)

歓待

Photo 下町の印刷屋にある日ふらっと現れた男がいた。この男のおかげで一家の平凡な日常が打ち破られてゆく様子を描いたコメディードラマだ。第23回東京国際映画祭日本映画・ある視点部門作品賞受賞作。監督は新進気鋭の深田晃司。出演は山内健司、杉野希妃、古舘寛治といった個性派が揃う。
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それでも変わらぬ人間の心地良さよ

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『歓待』って何が歓待なんだ?そんなことを思いつつ見て観ましたが、ラストに到ってなるほど納得。とはいえ何とも風変わりな家族のコメディドラマでした。舞台となっているのはもう見たマンマ東京の下町。そこで小林印刷という印刷屋をやっている一家が居るワケです。父親から店を継いだ小林幹夫(山内健司)は冴えないけれど人の良い中年のオッサン、一人娘のエリコを残して嫁には逃げられ、今はどう観ても20代の美人の後妻・夏希(杉野希妃)を迎え、更に家には出戻りの妹・清子(兵藤公美)も同居していると言った具合。それにしても北川景子と白石美保を足して二で割ったような美人の夏希がどうしてこんなオッサンと結婚したのか、まず最初の疑問はそこでした。もっともそれは物語のテーマではないので答えはないのですが…(苦笑)

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一見普通に見えるこの家族ですが、見ているうちにちょっと普通ではない…具体的には夏希を中心にいま一つギクシャクしたような部分がチラホラ見え隠れします。というより夏希の視点で夏希が感じる違和感を観ている私たちも感じてしまうと言っていいでしょう。それは言い換えると“非日常”ともいえるかもしれません。出戻りの義姉に「この家で暇なのは私ぐらいだモノね!」なんて軽い嫌味を飛ばされたり、町内会の会合に出席させられたり、近所のオバチャンに話を合わせたり。昔であれば当たり前にあった“日常”ですが、モロ今の若者である夏希にとっては“何故こんなことを?”という“非日常”なワケです。ところが、本作の面白いのはそんな夏希の想いを丸ごと飲み込む巨大な“非日常”が一家を襲うところ。ある日突然小林印刷を一人の男が訪れます。

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彼の名前は加川花太郎(古舘寛治)。これがまあ見るからに怪しさ150%なのだけれど、何故か言葉巧みに幹夫に取り入り、その日の内に住み込みで働くことになります。客観的に観ると気が弱くてお人好しの幹夫がいいように言いくるめられているだけなのだけれど、本人的には何の疑問も抱いていない…。私たちの視点でおかしいと感じていると言うことは、夏希も当然変だと感じているのだけれど、確たる証拠もない上にその違和感と普段から感じている違和感を同一線上で考えてしまうことで、これまた何となく自分をごまかしてしまうワケです。ところが!そんなお人好しの幹夫ですら流石にちょっと…と感じる出来事が。それが自称加川の妻・アナベル(ブライアリー・ロング)の登場でした。妻だからと平然と一緒に住み、しかも夜はアハンウフンとお盛んな声が壁を通して丸聞こえ。

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“日常”を破られ“非日常”へと足を踏み入れてしまった幹夫と夏希の反応は人事と思ってみる分には面白くて仕方ありません。ただし、夏希にしてみれば先に書いた通り下町の“日常”が既に“非日常”なワケで、フラストレーションはたまる一方。エリコに教えていた英語も、ネイティブな外国人の存在の前ではあまりに無力、というより、自分の英語力がその夫の加川よりも低いという事実の前に愕然とするのでした。挙句の果てに、イラつく夏希との間の欲求不満を解消するかのように何と幹夫がアナベルと出来てしまいます。もっともこれとて客観的に観る分には上手く嵌められているワケですが、浮気は浮気。今度はお人好し云々に関わらず、弱みを握られた幹夫は加川の言いなり状態です。すると今度はあちこちから怪しげな外国人が大挙して家に押しかけてくるのでした。

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もはや印刷屋そのものが殆ど乗っ取られてしまったかのよう。ここまでの転落振りときたら正にアレヨアレヨという間の出来事で、さっきまで“非日常”に戸惑う幹夫と夏希を笑っていたのが、もはや呆然といった感じ。で、何度も繰り返しますが、観ている私たちがそうならば夏希も当然同じ状態です。ところが!ここからのシークエンスがまた面白い。そして同時にタイトル『歓待』の意味するところが解ります。人間極限を越えるとその状態に適合してしまうのでしょうか、大勢の外国人が夏希の誕生パーティーを開いてくれると、最初は戸惑いながらもいつの間にか彼らに同化してゆくのでした。肩に手をやりムカデ状態で掛け声をかけながら踊り狂う一団にはもはや何の垣根もなく、自ら“非日常”に飛び込んだ幹夫と夏希は、少なくともその時間だけはそれが“日常”と化しています。

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何故か異様な高揚感を感じながら今後の成り行きを気にする自分。そしてそれは唐突にやってきました。近所のオバチャンが警察に通報したのです。不法滞在の外国人たちはクモの子を散らすように逃亡…。こうして幹夫たちは平凡な日常へと回帰してゆくのでした。オバチャンが外国人の悪口を言うのに「友達の悪口はやめてくれ」と反論する幹夫は相変わらずのお人好しに見えますが、、周りがどうあろうと彼が彼であり続ける、つまり昔ながらの生き方や存在がそこにあり続けることの心地良さを彼の中に見ることができました。そして夏希の表情を見れば、きっと彼女もそう感じたのだと思えます。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:杉野希妃さん…綺麗です…
総合評価:71点

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