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2011年6月20日 (月)

ロスト・アイズ/Los ojos de Julia

Photo 『パンズ・ラビリンス』のギルレモ・デル・トロが製作を務めたサスペンスホラーだ。姉の死の真相を解明していく過程で、病気で徐々に視力を失ってゆく恐怖と犯人に対する恐怖に晒される女性を描いている。主演は『永遠のこどもたち』のベレン・ルエダ。共演に『抱擁のかけら』のルイス・オマール。監督はこれが長編2作目となる若手監督ギリェム・モラレスが務めた。
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世にも恐怖なラブストーリー?

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監督が長編2作目のギリェム・モラレスということもあるのでしょう、ギレルモ・デル・トロは製作でありながら作品のテイストは正に御大のものでした。オープニングからいきなりショッキングなシーンが飛び込んできます。全盲の女性が何かに恐れおののき、首吊り用の縄に首を通すと何者かが乗っていた椅子を蹴飛ばす…。明らかに殺人なのだけれど見た目は自殺ということで処理をされてしまったこの女性は主人公フリア(ベレン・ルエダ)の双子の姉サラでした。2人は徐々に視力を失ってゆく病にかかっており、姉は一足先に手術をするも、どうやら手術は失敗してしまった模様。もっともそれも含めてサラの自殺に疑問を感じたフリアは、サラの影に潜む謎の男の存在に気付き、真相の解明へと乗り出すというのが本作の流れです。

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それにしても物語の舞台装置の一つでもあるサラの家や、その隣家の老女の家など、これが実にダークな雰囲気を醸し出し、特に霊的な要素などないものの、なにやら言い知れぬ不気味さを感じさせてくれます。主演がベレン・ルエダということもあって嫌でも『永遠のこどもたち』を思い出してしまうのも、より物語のダークさに拍車をかけていました。謎の男の行方を追うフリア。実は意外に簡単にこの男は登場するのだけれど、決してその全体像を露出させない演出が上手い。それは単に見せないといった安易なものではありません。例えば目の前を走っているにも関わらず、ある時は光と闇の加減でチラチラ見えたり、ある時はフリアの視力低下に伴う視野の狭窄で出来た闇の部分に潜んでみたり。

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観ている側の恐怖心の煽りかたが自然で絶妙でした。調査を続けるうちにどんどんと進行する病状。最初はフリアが謎の男を追い詰めていたはずが、気が付くとフリアが逆に失明の恐怖に追い詰められているこの事実。更にフリアの夫イサク(ルイス・オマール)が謎の自殺を遂げたショックでいよいよ限界に達した彼女は遂に角膜移植手術を受けることに。手術後2週間は決して包帯を取ってはいけないと言われたフリアは介護士のイバン(パブロ・デルキ)の手を借りて、サラの住んでいた家で生活を始めるのでした。姉の死んだ家に戻ろうとするフリアの心境はちと解りかねますが、観ている側の心情としては嫌な予感がプンプン漂ってきます。

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上手いのは、彼女の目が見えていないこの状況では登場人物の顔をフレームアウトさせているという演出。従ってイバンや後に登場する重要人物の顔も最初は解りません。ところが、こちらの不安な気持ちを見事に裏切り、ここから暫くの間はやけに幸せな日々が続くのです。フリアはイバンに心を開き信頼し始め、キスを交わすまでに…。あれだけ前半で恐怖を煽ってきたのにこれは一体どういうことなのか?ただ結果的にこれは嵐の前の静けさでした。それにしてもデル・トロのテイストもさることながら、ギリェム・モラレス監督のシークエンス単位の緩急のつけ方や、大胆な演出には長編2作目とは思えない上手さを感じました。そしてとある人物が彼女の前に現れると物語は再び動き始めます。

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イバンに対して身の危険を感じたサラは、2週間にはあと4日あるものの包帯を取ってしまうのでした。回復した視力とともに目に飛び込んできたのはイバンの顔。そして自分とサラの写真が壁一杯に貼ってある光景…。もっとも、登場人物の数から考えれば、謎の男がイバンであると想像するのはそう難しくありません。しかし問題は何故彼がサラを殺したのか。その動機の根源的な部分が秀逸。実はイバンは目の前にいても空気のように無視される存在感のない男でした。secret信じられないほど影の薄い男が唯一その存在を認識してもらえるのが盲人だったのです。つまり視力を失うサラとフリアは彼にとって理想の女性であり、従って彼女たちには盲人でいてもらわなければならない…。secret

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最初に霊的な要素はないと書きましたが、その存在をスルーされてしまうというのはある意味霊的な要素に近いものがあるかもしれません。イバンは警察に捕まるまえに自殺し、フリアは生命の危機を脱しますが、4日早く包帯を取ったせいでもはや失明は避けられない状態に…。最後にイサクの顔を脳裏に焼き付けようと遺体を見るフリア、そしてそこですべてが判明するのです。サスペンスホラーとして観て来たにも関わらず、このラストシーンの感動はなんと言ったら良いのか。愛を与える男と愛を欲する男、献身的な愛と献身させる愛、本作はサスペンスホラーではなく、サスペンスホラーの形をとったラブストーリーだったのかもしれない、そんな風に思えました。

個人的おススメ度4.0
今日の一言:め、目にアレは痛い痛い痛い!
総合評価:81点

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受信: 2012年1月29日 (日) 11時45分

» 『ロスト・アイズ』 [cinema-days 映画な日々]
ロスト・アイズ 双子の姉が角膜移植手術の 失敗を苦に自殺!? 不審に思った妹が真相を探る... 【個人評価:★★☆ (2.5P)】 (自宅鑑賞) 原題:LOS OJOS DE JULIA [続きを読む]

受信: 2012年4月22日 (日) 01時30分

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☆☆☆(6点/10点満点中) 2010年スペイン映画 監督ギエルム・モラレス ネタバレあり [続きを読む]

受信: 2012年7月 8日 (日) 09時35分

» 「ロスト・アイズ」 [或る日の出来事]
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受信: 2012年7月28日 (土) 23時10分

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