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2011年6月 7日 (火)

軽蔑

Photo 芥川賞作家・中上健次の遺作となった同名小説を映画化。資産家の息子で遊び人の男とポールダンサーの女の激しく切ない愛の行方を描いている。主演に『おにいちゃんのハナビ』の高良健吾と『吉祥天女』の鈴木杏。共演に大森南朋、忍成修吾、小林薫といった実力派が揃う。監督は『雷桜』『余命1ヶ月の花嫁』の廣木隆一。鈴木あんの大胆なヌードシーンが話題の一作だ。
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軽蔑される生き方を選んだ2人

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原作は未読。正直言って予告編からそんなに誘われるものはなかったのだけれど、鈴木杏が脱いでいるときたら見逃すワケにはいきません。ポカリスエットのCMで可愛らしい笑顔を見せてくれていたのは早10年前になるんですね。高良健吾との大胆なベッドシーンは全体として低調な本作の中で掛け値なしの見所。素晴らしい!ごまかし一切なし、小ぶりだけれど形の良いバストを惜しげもなく晒し、自ら男の上になって腰を振るなんて、ここ最近ここまで体当たりの熱演を見せてくれたのは吉高由里子ぐらいじゃないでしょうか。おかげでその熱演からは真知子(鈴木杏)のカズ(高良健吾)に対する真剣な想いが伝わってきます。登場人物個人同士の絆の深さと言う意味では価値あるシーンでした。

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カズは歌舞伎町のチンピラ。賭博で作った借金を清算するために、組に無断で賭場を開いているポールダンスバーを襲撃するように命じられます。襲撃の混乱に乗じて、カズはそのバーで働いていた真知子を連れ出し故郷へと向かうのでした。若い男女の先を考えない向こう見ずな行動は、それが故に若さを感じさせるものではあるのだけれど、意外だったのはカズの実家が資産家だったということ。何のことはない金持ちのボンボンなワケで、帰って来たらいきなり親のマンションを貸してもらえてしまったりするのです。カズは「金持ちなのは親だ」なんて言ってますが、それこそ金持ちのスネカジリバカ息子がよく言う台詞に他なりません。おまけに叔父さんの酒屋であっという間に仕事までみつかり、序盤の荒み具合が嘘のように小市民的幸せシーンがやってきます。

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歌舞伎町でのカズは心に葛藤を抱えた迷える青年に見えたのですが、この段階ではもう既に「単にコイツがバカなだけか」と共感度ゼロに。真知子はカズと付き合うにあたって「男と女は五分五分」と主張するのですが、対等な関係でいたいという気持ちはよく解ります。ただ、カズの田舎で生活することに対してそのフレーズを使うのは違うんじゃないかという気がしました。カズにとっては生まれ育った場所でも真知子には見知らぬ土地であり、人間関係も全くゼロから、おまけにポールダンサーだということで、色眼鏡で見られてしまう…でもそれは仕方ないこと。というより色眼鏡で見られてしまう仕事をしていたのは事実なんで、恨むなら自分を恨むしかないかと。世の中人から後ろ指さされない仕事などいくらでもあるのに、敢てトップレスバーなんぞで働いていたのだから。

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そうした状況で孤独感は当然でしょうが、観ている限り彼女の方から自分を理解してもらおうと行動したことは一度もありません。彼女の言う五分五分が本人たちの努力ナシに自然に備わっているものだとするのならば、男女に対等な関係などありえないと思うのです。嫌気がさして東京に逃げ帰る真知子、そして真知子がいない間にカズは高利貸しの山畑(大森南朋)からまたしても大借金をしてしまうのでした。結局真知子を連れ戻すために東京に戻るカズ。借金チャラにしてもらう代わりに東京から逃げたのにまた戻って大丈夫なのか?なんて思ったものの、アッサリと真知子を見つけたカズは再び故郷に…。しかし何でまた真知子も一緒に帰るかな…。真知子はカズさんがいないと生きてゆけないというけれど、何故生きてゆけないのだろう。

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一方でカズはカズで自分が彼女を守らなくてはと思い込んでいる。要するに何でそこまで2人が惹かれあっているのかがセリフでしか説明されないので説得力が弱いのです。大体そんなに愛している彼女が自分の故郷で孤独に苦しんでいるのに、「新宿とここしか知らない」という理由だけで留まるのも不思議。結局のところ、いみじくも山畑が言うように、子供の頃から甘やかされて育ったバカボンが知らないところでは生きていけませんと泣き言言ってるだけ。真知子は自分たち2人のことを誰も知らない場所に行こうといっているにも関わらず。追い詰められたバカボンは仲間と共に山畑の事務所を襲って金を奪うも、当然の如く後で仲間たちが捕まり、状況から察するに恐らくは始末されたと思われます。因果応報、社会はそれほど甘くないってことですね。

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個人的にこの手の輩には1ミリたりとも同情の気は起こらず。ついでに言うと、結果的にカズも山畑に刺されて最後は真知子の腕の中で息を引き取るのだけれども、別にそれとても仕方ないねとしか思えません。しかしそこではっと気付きました。なるほど『軽蔑』とはそういうことかと。確かにカズは軽蔑の対象でしかないです。もっと言えば大嫌いな人間でした。そして真知子も少なくとも田舎の人間関係のなかでは軽蔑の対象でしかないワケで。傍目にバカだなぁと思えるこの2人をして気に入らない奴らだと思わされたと言うことは、もしかしたら作り手側の思うツボなのかもしれません。

個人的おススメ度3.0
今日の一言:ショートの鈴木杏は今ひとつ…
総合評価:60点

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