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ホラー要素よりはもう圧倒的にスプラッター要素の方が強い作品です。エログロ満載という意味では『冷たい熱帯魚』のような部分もありますが、本作は殺人鬼と化したOLがひたすら12人の人間をそれぞれ異なる方法で殺してゆく様子を観てゆくという、著しく趣味の悪い作品。ただよくもまあ人を殺す方法を12パターンも考えたものだと、その部分では半ば感心、半ば面白いと思っている自分がいました。さて、実はその11人を殺すのはたった一人のOL。極普通の銀行員の女性・チェン(ジョシー・ホー)でした。では何故彼女は殺人鬼になってしまったのか。劇中では次々と人間を殺す様子の合間に、彼女の殺人動機を導き出すための過去の回想シーンが挿入されて行きます。


過去に戻った時にはそれがいつの時期なのかのスーパーが入るのだけれど、これが非常に解りにくい。現在進行形の事象と過去の回想をバラバラにして構成しなおしているのですが、ここまでバラバラにする必要はないように思います。要するに彼女は何としてもマンション、それも湾岸エリアに立つビクトリアNo.1というマンションの一室が欲しかったということなのでした。この“何としても”の部分は彼女の子供の頃の体験に原因があるのだけれど、傍から見たらいくらなんでもそりゃないだろうと。まあ子供の頃のショッキングな体験は大人になっても意識の下層に残り続けることはままありますけれど、だからと言って大人の理性を破壊するほどのものとはどうしても思えません。


ともあれチェンは必死で貯金をし、520万香港ドル(現在:約5200万円)の物件を30年ローンしかも毎月1万8千香港ドル(現在:約18万円)の支払で購入するめどが立ちます。ところが間の悪いことに彼女の父親が肺の病気でその手術費用が12万香港ドル(現在:約120万円)もかかることに。お金を払えば夢の実現が遠のいてしまう…。悶々とするチェンの目の前で父親が発作を起こすと、彼女は魔が差したかのように酸素吸入器を渡さない…。父親が死ねば手術費もかからず、死亡保険金も手に入ってくる、それは即ち夢の実現に近づくことを意味します。ところが!何と物件は不動産バブルのおかげで価格が650万香港ドル(現在:約6500万円)に値上がりしていたのでした。


この辺ユニークなのは、スプラッターホラーなのに、昨今の格差拡大傾向にある中国の経済状況を反映していたり、建築ラッシュに沸く香港の建設作業員である父親の肺病をアスベストが主たる原因だとしている点です。つまり物語自体はフィクションでも、彼女の置かれた背景はノンフィクションなんですね。さて、万策尽きて絶望感に覆われた彼女、その最後の手段が「お金が足りないなら、マンション自体の価格を下げさせればいいじゃん!」ということ。つまり、そのマンションで連続殺人事件が起これば、人気がた落ち→価格がた落ちという理屈です。ええ、はっきりいってキ○ガ○ですね。しかし残忍な犯行を繰り広げる彼女の顔はこれが割とまともに見えます。


マンション住人11人の殺害方法はそれぞれバラバラ。とにかくひたすらグロ!グロ!グロ!です。包丁でお腹バッサリ内臓ドロリ、破水した妊婦にビニール袋を被せ真空パックで窒息死と目を覆いたくなるほど。しかしチェンは所詮ただのOL、これがまあ結構反撃を受けたりして、逆にアキレス腱に包丁貫通なんてシーンも。ただ如何せん彼女一人に11人もの人間を連続で殺させるという話には、その動機同様無理があるように思えます。ちなみにあまりに過激過ぎるシーンが多く本国では全部で約1分半ほどが上映禁止になったのだそうです。ちなみに日本では完全ノーカットで上映されています。もっともおかげであんまり見たくないものまで見せられましたが。


代表的なカットシーンはセックス中の男を後ろから刺し殺したあと、性器を切り取り投げつけるという部分だそうで、詳細は反転しときます…。アウトだったのは、切断されても勃起状態で転がるペニスの先から精液が出ているシーン
だそうな。結局彼女の目論見どおり価格は下がりマンションをゲットするものの、バブルがはじけて不動産価格が落ちるというオチ。オチそのものはともかく、彼女が疑われすらしないこの不思議。警察官まで殺害していてそれはちょっといかがなものかと。そもそも必死でお金を貯めているOLが不倫でホテル代とか払わないでしょうに。結局は多彩な殺害シーンを見せるための映画ということで、物語そのものに細かく突っ込むのは見方として間違っているんでしょう。
個人的おススメ度2.5
今日の一言:スプラッター系はやっぱ好きになれんね。
総合評価:52点
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