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2011年7月23日 (土)

導火線 FLASH POINT

Flash_point 『イップ・マン』シリーズのドニー・イェンとウィルソン・イップ監督が送る2007年の作品。ドニーは製作、アクション監督、主演の1人3役をこなしている。ベトナム人のマフィア3兄弟を逮捕すべく主人公が立ち向かうアクションムービーだ。総合格闘技をベースにしたアクションは凄まじいの一語。しかしそんな中でもドニーが尊敬して止まないブルース・リーの面影が見え隠れする辺りにも注目したい。
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“らしさ”一杯の香港アクション映画

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『イップ・マン』シリーズ2本に『孫文の義士団』『処刑剣 14BLADES』に続く何と今年5本目のドニー・イェン作品。といっても製作されたのは2007年と今から4年も前の作品だ。ちょっとジャッキー・チェンの『ポリス・ストーリー』を髣髴とさせる、古き良きゴールデン・ハーベスト製作の香港アクション映画を思わせる作風が実にいい。この広東語の発音を聞いていると当時夢中になって観ていた作品たちを思い出して思わずにんまりしてしまうのだ。主人公マーを演じるドニー・イェンのアクションに関しては今更とやかく言うことがないのは当然、浜辺でジーンズ姿で見せてくれる物凄いマッチョな上半身は当時43歳とは思えないほどである。

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対する相方ウィルソンを演じるのは『コネクテッド』で主役を演じたルイス・クー。キャラクターの実直さを感じさせる良い演技だったのだけれど、残念ながら本作においては完全にドニーの引き立て役に回っていた。アクションらしいアクションは殆どなく、しかも最後の最後で重傷を負いながらも相棒を助けるシーンが、そもそも彼を助けるためにやってきたマーという男の生き様を際立たせている結果になっているのだ。ウィルソンがベトナム3兄弟に潜入捜査官として入り込んでいる序盤から中盤はこの2人は別々に描かれるが、正直言って『インファナル・アフェア』程の緊張感はない。むしろここではこの2人がどんな人間で今どんな状況に置かれているのかの状況説明が続く感じだ。

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しかしウィルソンの潜入がバレて殺されかけ、警察が長男アーチャー(レイ・ルイ)を逮捕し裁判にかけることが決まってから物語は大きく動き始める。残る2兄弟は兄を有罪にするための証人を次々と殺し、その間の手はウィルソンとその恋人にまで伸びるのだ。彼を殺しかけた犯人をマーが追いかけるシークエンスは本作の最初の見所と言ってもよいかもしれない。よくあるカーチェイスではなく走って追いかけるのである。そういえば昔の香港映画は結構走って追いかけていたような記憶がある。ジャッキーなんて実によく走っていたように記憶している。しかし単なる追いかけっこも希代のアクションスターがそれをやれば実に迫力満点で、思わず驚嘆してしまうシーンを見せ付けてくれるのだ。

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更に、追い詰めた犯人が子どもを地面に叩き付けた瞬間から先のマーの凄まじいまでのブチ切れっぷりに圧倒される。これはもう観てもらえると解るのだが、明らかに切れた瞬間「ブチッ」と音を感じられるハズ(笑)泣いた子供が強さ1.5倍ではないけれど、この瞬間マーのパワーは倍増し、何と犯人を公衆の面前で殴り殺してしまうのだった。この男は過去に何かトラウマを抱えているのではないか、そんな風にすら思わせるシークエンスである。但しそういった描写は何もないのだけれど。結局恋人を拉致されたウィルソンは証言出来ずアーチャーは釈放される。ここからがマー怒りの爆発第2弾で、ここでマーの好敵手として登場するのが3兄弟の次男トニー(コリン・チョウ)。

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『マトリックス』シリーズで預言者の護衛として登場したコリン・チョウのアクションは、これまたドニーに勝るとも劣らないぐらい素晴らしい。この2人が闘うシーンは本作最大の見せ場だ。やはりアクションと言うのは相手あっての事。強敵相手にピンチに陥りながらも逆転劇を見せるのが香港アクション最高のカタルシスなのだと思う。しかも本作のドニーは総合格闘技をベースにしているが、このシークエンスの彼は彼が尊敬して止まないブルース・リーの姿を彷彿とさせるのがまたイイのだ。手先でチョイチョイする仕草、鼻血が垂れ拭き取る仕草、足で軽くリズムをとったり、敵が上着を脱ぐと何故か自分も脱いだり。壮絶な闘いの中に懐かしさがこみ上げ、連綿と続いてきた香港映画の王道を堪能することができる、そんな一作だった。

個人的おススメ度4.0
今日の一言:自分だけ強いとセガールになっちゃうのよね(笑)
総合評価:79点

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