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2011年7月14日 (木)

黄色い星の子供たち/La rafle

Photo 1942年にフランスで行われた「ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件」を描いたリアルストーリー。フランスがホロコーストの片棒を担いだこの事件を、当時の数少ない生き残りの方々からの証言で構築された。出演は『オーケストラ!』のメラニー・ロラン、ジャン・レノら有名俳優もさることながら、子役たちの活躍が素晴らしい。監督は元ジャーナリストのローズ・ボッシュが務めた。
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母の悲痛な叫びを実行する息子

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ホロコースト映画は数多くあるけれど、いずれを観ても毎回思うことは「何故?どうして?」という想いです。本作もそうで、別に何をしたわけでもないユダヤ人たちはヒトラーと言う狂人の気分一つで一斉検挙され、そして単純に殺される。ただこの作品の場合は、そうして殺されることを承知の上でユダヤ人たちをポーランドへと送ったのがフランス人だったと言う点。「ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件」、何と驚いたことにこの事件に関してフランス政府は1995年まで一切責任を認めていなかったのだそう。元ジャーナリストのローズ・ボシュ監督は、劇中登場するアネット・モノやジョー・ワイズマンら生き残りの証言を元に脚本を書いたといいます。

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一応宣伝的には看護師アネット役のメラニー・ロランや、ユダヤ人医師ダヴィッド訳のジャン・レノといった有名俳優が前面に出てきていますが、本作の主人公はあくまで子供たち。特に生き残ったジョーを中心とした子供たちの視点で描かれていました。そういった意味では『縞模様のパジャマの少年』と似ているかもしれません。正しあちらはドイツ人軍人の息子という視点でしたが。この2作に共通しているのは、子供ゆえの無邪気さ、子供ゆえに疑うことを知らないその純粋な心を冷徹な現実が裏切るという点です。検挙される当日も大人の男以外は大丈夫だと信じ、収容所に入れられてもよもや自分たちが殺されるとは微塵も疑っていない。例え両親と引き裂かれても…。

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しかし観ている私たちにとっては彼らの行く末に待つのが死しかないことが解っているだけに余りに切なく、両親と共に死ぬ自由すら与えられない事実にこちらの心が先に折れてしまいそうでした。この時検挙されたのはフランス国籍を持たないユダヤ人1万3千人。実は本来ならば2万4千人検挙する予定だったのが、パリの市民が自らのできる範囲で多くのユダヤ人を匿った結果がこれでした。劇中では検挙の事実をこっそり知らせる巡査、検挙が来たことを大声で告げるおばさん、赤ん坊と共に逃げた女の子を匿う神父などが描かれていましたが、これをフランスのエクスキューズと受け取る人もいるかもしれません。個人的には、元ジャーナリスト監督は事実をありのままに描いてきたのだと思っています。

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検挙されたユダヤ人はまず最初にヴェロドローム・ディヴェールという冬季競輪場に移送されますが、これが事件の名前の由来。1万3千人には水すら与えられないという劣悪な環境でしたが、ここで登場してくるのが先に挙げたメラニー扮するアネット看護師とジャン・レノ扮するダヴィッド医師。もっともダヴィッド医師は自身が検挙者でも会ったのですが…。2人の献身的な医療行為もさることながら、見逃せないエピソードが、ホースの点検にやってきた消防団が水を振る舞い、ユダヤ人たちからの多数の手紙を預かるシーン。フランス軍の責任者のクレームを突っぱねる消防団の責任者の姿に、少なくない危険を冒してもユダヤ人を援護した人物が公の人間の中にもいたのだと胸が熱くなりました。

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とはいえそんな気持ちも一瞬。そこから収容所に送られてからは更に過酷な環境がジョーたちを待ち受けています。結局劇中ではジョーともう1人が収容所から逃げることを決心するのですが、そのジョーが親友シモンに言った一言がショックでした。「両親はどうするんだ?」というシモンに「あきらめた。」と答えるジョー。一体子供が親をあきらめるなどという状況があって良いはずがありません。いや普通あきらめることなど出来る訳がない。それは両親と引き裂かれる時にに母に言われた「生きなさい!」の言葉を実践する究極の決断に他ならないのです。戦後、アネットと再会したジョーの顔は笑顔だったけれど、もう1人奇跡的に生きていたノノの目が死んでいたように見えたのが印象的でした。

soon 7月23日(土)公開

個人的おススメ度4.0
今日の一言:メラニー登場後は主人公が変わった…
総合評価:79点

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