鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星
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アニメシリーズの一幕を切り取った作品 |
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荒川弘原作の同名人気コミック「鋼の錬金術師」、通称ハガレンの映画2作品目。一応テレビシリーズや前作も観ているだけに、今回も期待度大と言う所でした。結論から言うと面白かったですが、映画前作程ではなく、テレビシリーズには及ばないと言ったところでしょうか。ちなみに劇場で11.5巻なるものを貰ったのですが、原作のほうは未読なんで個人的にはいま一つ価値が薄いというか…(苦笑)テレビシリーズからの流れは既に映画前作で完結しているので、今回は全くのオリジナル。アルが錬成陣なしで錬金術を使えたりする背景を見ると、時期的にはテレビ第1シリーズの中盤過ぎで、実はこんなことも起こってました的な話だと思われます。


そもそもエドがオートメイルで、アルが甲冑姿である理由や、彼らが生身の肉体を取り戻すために旅を続けていること、そしてそれには賢者の石が必要であることといったアニメシリーズ上の大きな要素の説明がないので、これはもう完全にファン向けの作品といえるでしょう。物語はアメストリスの中央刑務所が轟音と共に吹っ飛び、そこから逃げ出した囚人のメルビンと、アルたちが対峙する所から始まります。両手の掌に見知らぬ錬成陣を持つメルビンの攻撃力は恐ろしく強力で、天下のエルリック兄弟を持ってしても手に余るほど。っとまあ、今回の敵が非常に強いのは良いのだけれど、この時点でいま一つエルリック兄弟が話としては脇に追いやられてしまったようにも見えなくもないです。


それはメルビンが妹ジュリアが逮捕されたことを知っての行動だと言うことが解ると、余計にそう感じるのでした。つまり、本作の流れの中心はメルビンとジュリアの存在であって、エルリック兄弟はあくまで第三者的というか、話を転がして行くという役割だったように思えるのです。とはいえテーブルシティを舞台にした派手な錬金術合戦はいつもどおり見応えはあるんですけど。話の展開としては例によって賢者の石がらみ。テーブルシティに縦横無尽に張り巡らされている伝声管が錬成陣の形になっていて、そこに人間の血を流すことで錬成陣が完成するというアイディアはハガレンらしい壮大さで結構好みなのですが、そのために使われた人間の命がたったの2人というのはいかがなものか…。


ま、そういうところは流して観なきゃいけませんね。結局賢者の石は精製されるのですが、結局この石を使ってまで自らの希望を叶えるのか―ジュリアで言えば失われたミロスの復興を人の命を代償にしてまで行うのかという所が本作の肝の部分です。当然ながらエドもアルも賢者の石が通常どのように精製されるかは知っているし、だからこそ他に自らの体を取り戻す手段はないかと旅を続けている訳ですし。要するにジュリアはかつてきた道だということ。さて、実際のストーリーはもうちょっと入り組んでいて、ジュリアが復興を希望するミロスの背景であったり、彼女たちミロスの民が辿ってきた道であったり、更には兄メルビンにまつわる秘密であったりと言ったことも描かれています。


個人的に言うとエドの「誰がチビだ!」ネタは欲しかったかな…。あとマスタング大佐やウィンリー、ホークアイ、アームストロング少佐といったお馴染みのキャラクターがあからさまに顔見せのためだけに登場し、さしたる活躍もないままなのはとても残念。特にマスタング大佐はクライマックスの戦いの場面にいた上に炎の錬金術師。メルビンが氷を操っていただけにガチンコ対決もありかと思ったのですがさしたる見せ場もなく…。様々な歴史背景や、世界観の統一性といったものがしっかり組み立てられているのは相変わらず優れた点ですが、やはり物語が既に完結している以上、エルリック兄弟の想いも含めた全体の流れが前進することがないというのが辛い所でした。普通に面白かったですけどね。
個人的おススメ度3.0
今日の一言:部分部分でキャラ作画が雑じゃない?
総合評価:68点
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