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2011年7月12日 (火)

サンザシの樹の下で/山[木査]樹之恋

Photo 中国の巨匠チャン・イーモウ監督作品。中国国内でベストセラーとなったエイミーの小説を元に、文化大革命に翻弄される若い男女の純愛を描いたラブストーリーだ。ヒロインを演じるのが2500人のオーディションを勝ち抜いたチョウ・ドンユィ。共演に若手俳優ショーン・ドウ。時代に翻弄された2人に胸が締め付けられる。
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あまりに無垢な純愛故に切なさもひとしお

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今時ここまで純愛を貫き通す作品は珍しいです。何しろ恋する2人はキスすらしない、正にプラトニックな関係なのでした。まるで親が子に与えるかのように、スン(ショーン・ドウ)がヒロインのジンチュウ(チョウ・ドンユイ)に与え続ける無償の愛、そしてそれに応えたくても応えられない彼女の葛藤、それらが描かれた本作はピュアだけれどもとても切ないラブストーリーに仕上がっています。この初々しさ、鮮やかな心持ちは正しく張芸謀監督の得意とするところでしょう。しかし何故ジンチュウはスンの愛情に応えることが出来なかったのか。それには理由があり、それは近代中国史上でも悪名高い文化大革命のせいだったという背景に結びついてくるのでした。

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文革が背景となっている作品はそれこそ数多くありますが、本作は原作者の友人である女性のエピソードをベースにした作品なのだそうです。文化大革命とは本質的には毛沢東が中国共産党内での復権を狙ったことに付随する運動のこと。凄く簡単に言ってしまえば社会主義を推進する運動であり、いわゆる知識人や資本家が弾圧の対象となっていました。そんな中、ジンチュウたち学生は農村で農民の素晴らしさを学ぶべく実習に向かうのですが、その農村で出逢ったのがスンだったというワケ。2500名の中からオーディションで選ばれたというチョウ・ドンユイの見せる透き通るような笑顔や、変に場慣れしていない初々しさが、丁度高校生という思春期の少女と実に上手く重なっていて素晴らしい。

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スンに川遊び誘われて水着に着替えるも、結局シャツを着て出てくる恥ずかしそうな笑顔。一緒のベッドで寝たら妊娠すると思い込んでいるほどの純真さ。スンと自転車を2人乗りしている時の瑞々しさ一杯で眩しい姿。今時ジンチュウのような少女がいるとは考えにくいけれど、張芸謀監督の理想の少女がそこには表現されていたように感じます。一方で、相手のスンは地質調査隊の隊員であり、父親が共産党の幹部。言ってみればエリートな家柄なのですが、ショーンの爽やかな風貌と声が、育ちの良さが素直に出てくる好青年にピッタリでした。大体ジンチュウの高校までいって体育の授業を見守るなんて行為は一つ間違ったら変質者ですが、スンだからこそ彼女への想いとして受け止められるのです。

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実はジンチュウの父親は走資派、簡単に言ってしまえば反体制派として投獄されており、病弱な母や兄弟を養うためにも彼女は農村に下放される訳にはいきません。(下放に関してはこちらを参照)父のせいでタダでさえ目をつけられている彼女が学校に残って教師になるためには、若くして男と恋愛などしていることが人に知れるわけにはいかなかったのですね。彼女の中の葛藤とはそういうことなのでした。それに対して卒業までの1年ちょっと待つ、いやお母さんが25歳まで結婚はダメだというならそこまで待つ、それでもダメなら一生待ち続けるとまで言い切るスン。そして彼女の前から姿を消すことでそれを実行に移してしまうのだから大したもの。

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ところが…スンは病に倒れてしまうのでした。見習い教師になっていたジンチュウが学校を休み見舞いに行くと思いのほか元気そうではありますが、最早話の流れからはスンの余命はそうないであろうことは想像に難くありません。最初で最後の1つのベッドで寝た夜。そして彼女が帰る日、川を挟んでお互いにお互いを抱きしめる手振りをする2人。セリフはありません。しかし観ていて余りに切ない別れのシーン。この後で実際にスンの臨終シーンもありますが、私はこちらの方が心に響きました。いつまでもいつまでも彼女を抱きしめ続けるスンの胸に去来する想いは何だったのか…。生まれ変わったら今度こそ幸せに結ばれて欲しい、そんな想いに駆られる一作でした。

個人的おススメ度4.0
今日の一言:若い2人の俳優の今後が楽しみ♪
総合評価:84点

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