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2011年7月30日 (土)

人生、ここにあり!/Si può fare

Photo 精神病院を廃絶する法律・バザーリア法の制定によってイタリアで実際に起こった話を映画化。地域社会の中で実際に働きながら共存を目指す患者たちと、それを導く主人公の奮闘を描いたヒューマンコメディだ。監督は本作が本邦初公開となるジュリオ・マンフレドニア。本国イタリアではイタリア・ゴールデングローブ賞を獲得した大ヒット作品だ。
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日本の見習うべき事例がそこにあった

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イタリアに精神科病院が無いとは初めて知った。(厳密にはあるのだが。)1978年に制定されたバザリア法によって、それまでの患者たちは地域精神保健サービス機関の元で、本人の自由意志に基づいて治療が行われるのだそうだ。なんとも大胆な施策を取ったものだが、本作はそうした背景の中で実際に起こった出来事を映画化したものである。そもそも主人公ネッロ(クラウディオ・ビシオ)という人物からして面白い。ミラノの労働組合員である彼は、市場主義の中における左翼的思想の確立を目指していたらしく、それが原因で左遷されるハメになる。飛ばされた先が閉鎖された精神病院の元患者たちによる協同組合だ。実はこの辺のイタリア独特の社会システムは最初少し解りにくい。

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社会協同組合と呼ばれるこの組織は、凄く大雑把にいうと社会的弱者が社会と共存するための仕事を生み出し、その訓練をするという面がある。ネッロは労働組合員であり、元患者たちも共同組合員、基本的に立場はイーブンであるが、元来組合を追い出されるほどの熱さを持ったネッロが、この元患者たちが医者から受ける扱いを見て何も感じないはずがない。つまり元患者たちは組合員であり労働者でもあるということだ。そこで彼は普通の仕事をしてお金を稼ぐことを彼らたちに提案する。普通であれば精神を患った人々を見れば、例えば上から目線での物言いになったり、彼らを悪い意味で特別視したりするものだが、ネッロの素晴らしいのはそうした部分が最初から一切ないところだ。

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彼にとって見れば、元患者たちの地位向上を考えることは、労働者の地位向上を考えることと同じなのだ。彼の考える思想の中には障害者という概念が入り込む隙間がないとも言えるかもしれない。ただし彼の気持ちの中で追い出された組合に対して見返してやりたいという気持ちがなかったとは言えないだろう。実際最初のうちはみんなの待遇を改善するために頑張っていたものが、いつの間にか彼自身の壮大な計画を遂行することに重きを置くようになって行くのだ。とはいえこの最初の時点で彼は組合員たちとともに床板貼りを仕事にすることを多数決で決める。決めたはいいものの、何しろ相手は一筋縄ではいかない。面白いのはネッロが元患者たちに適性に合わせた仕事をやらせることだ。

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もちろん最初は観ていて危なかしいことこの上ない。実際に貼り付けた木版がボコボコでとてもお金を取れる代物ではなく、仕方なくネッロが自腹で彼らに給料を払ったりもしている。ところが、何とか頼み込んでもらった仕事でアクシデントがきっかけとはいえ、ルカとジージョは廃材を使ったアーティスティックな床貼りを完成させてしまう。これが認められ、協同組合の経営が一気に軌道に乗るのだ。理屈で考えるのではなく、純粋に廃材を組み合わせる美的センスの素晴らしさ。思えばこの仕事を始める前にルカの切手の貼り方の中に美的才能を見出したネッロの慧眼に恐れ入る。さて、好事魔多しと言うが、どこかで致命的なミスが起こるのでは…そう思って観ていると物語は意外な展開を見せた。

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仕事上ではなく、元患者たちが一般社会の中に入って共存してゆくことの難しさにフォーカスを当てた展開は、ジージョが仕事先の女性に恋をし、その女性が彼の心を受け入れたことに端を発している。法の整備は整っても人の心の整備は簡単にはいかない。結論的にジージョの恋物語の顛末は余りに悲しいものであり、彼らが通常の人間と何ら変わらないことを証明していたのが皮肉であった…。しかしだからこそ最後に今度は彼ら元患者たちがネッロを救ったことが実に嬉しく思える。社会情勢が異なる日本とイタリアでは、そのままこの事例が導入できる訳ではないだろう。しかしながら、似たような活動をしている方々は多くいて、しかしその活動は客観的にみたらその方々の奉仕的精神の上で成り立っているのが大きく違う点だと感じた。

個人的おススメ度4.0
今日の一言:女性に目覚めるシーンが好き(笑)
総合評価:79点

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» 人生、ここにあり! [てるてるブログ]
試写会で観てきました。 精神病院が閉鎖され社会に出された患者たちの挫折と自立を「やればできる!」をテーマに描いたイタリア映画。 「自由こそ治療」と言う精神のもとに社会に出された精神病患者たち。 とは言え、社会から隔離されていた患者たちがいきなり社会に出て自立した生活を営めるはずもなく、実態は病院に付属した協同組合でカンタンな仕事を貰って生きている。 そんな患者たちでつくられた協同組合に、急進的すぎて勤めていた組合から左遷されてきた主人公のネッロ。 彼は患者たちにやりがいのある労働を働く喜びを知っても... [続きを読む]

受信: 2011年7月30日 (土) 10時41分

» 人生、ここにあり! [象のロケット]
1983年、イタリア・ミラノ。 中年男ネッロは、病院所属の「協同組合180」へ左遷される。 そこでは、廃止となった精神病院から出された元患者たちが、名ばかりの作業をしながら無気力に時を過ごしていた。 ネッロは彼らを集め、組合の制度に基づいて会議を開く。 会議とは言えないような会議で何とか採択されたのは、“床貼り”の仕事をして稼ぐということだったのだが…。 実話から生まれた社会派ヒューマンドラマ。... [続きを読む]

受信: 2011年7月30日 (土) 19時19分

» 人生、ここにあり!・・・・・評価額1650円 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
イタリアには、精神病院が無い。 1978年に制定された“バザリア法”によって、それまで病院に閉じ込められ、人間的な扱いを受けていなかった人々が一般社会に戻ってきた。 「自由こそが最良の治療」という革新...... [続きを読む]

受信: 2011年7月31日 (日) 00時02分

» 「人生、ここにあり!」 [ヨーロッパ映画を観よう!]
「Si può fare」…aka「We Can Do That」2008 イタリア ネッロに「ニルヴァーナ/1996」のクラウディオ・ビシオ。 サラに「イタリア的、恋愛マニュアル/2005」のアニタ・カプリオーリ。 フルラン医師に「愛と欲望 ミラノの霧の中で/2006」「まなざしの長さをはかって/2007」のジュゼッペ・バッティストン。 デルベッキオ医師に「イル・ディーヴォ/2008」のジョルジュ・コランジェリ。 監督、脚本にジュリオ・マンフレドニア。 1978年、イタリア。“... [続きを読む]

受信: 2011年8月 1日 (月) 21時23分

» 人生、ここにあり! [佐藤秀の徒然幻視録]
公式サイト。原題:Si Puo Fare(やればできる)。ジュリオ・マンフレドニア監督、 クラウディオ・ビジオ、アニータ・カブリオーリ、アンドレア・ボスカ、ジョヴァンニ・カルカーニョ、 ... [続きを読む]

受信: 2011年8月 1日 (月) 23時26分

» ヨーロッパ推奨映画(2)人生、ここにあり! si puo fare イタリアワインのように味わい深い人生コメディ [日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜]
優れたヨーロッパ映画を続けて×4も観たので、その感想シリーズ。 今日は、その第二弾を。 前作同様、実際にあった話を映画化。 1980年代のイタリア、ミラノ。 正義感が強いがゆえに異端児扱いされ、突然 左遷された労働組合員 ネッロ(写真、右) わけもわからず、異...... [続きを読む]

受信: 2011年8月 4日 (木) 00時22分

» 人生、ここにあり! [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評]
Si Puo Fare - 映画ポスター - 11 x 17人は誰もが自分らしく生きる権利を持っている。精神病院を廃止したイタリアで起こった実話を元にした良作だ。1983年、ミラノ。労働組合員のネッロは、 ... [続きを読む]

受信: 2011年8月10日 (水) 09時42分

» 映画「人生、ここにあり!」メモ [今日、考えたこと]
最初にツイッターやフェイスブックに書いたものの転載。一部改変している。 「人生、ここにあり!」見てきた。すごくよかった。舞台は1983年のミラノ。イタリアでは1978年のバザリア法の制定で、次々精神病院が閉鎖。その移行期に病院直営のやるきのない作業所(これが社会的協同組合の前身の社会 連帯協同組合)が変化していく。社会的事業所などに興味のある人は必見。 2011.08.29 00:29 パンフレットに秦早穂子さんが書いているが、「なんなる無鉄砲なユートピア賛歌ではない」。その急進的...... [続きを読む]

受信: 2011年8月31日 (水) 17時47分

» 人生、ここにあり!/クラウディオ・ビシオ [カノンな日々]
本国イタリアでは大ヒット、ロングランを記録したという作品です。劇場鑑賞は無理そうでDVD待ちにしていたらチネチッタでも上映されることになって劇場鑑賞することが出来ました。 ... [続きを読む]

受信: 2011年9月 1日 (木) 22時51分

» 人生、ここにあり! [とりあえず、コメントです]
1978年に制定されたバザーリア法により精神科病院が閉鎖されて患者が社会へ戻されたという 歴史をもとに作り上げたニューマンドラマです。 ずっと観たかったのですけど、もうさすがに終わってしまう~と慌てて観て来ました。 患者たちの社会へ出る心の喜びが伝わってくると同時に、 病気に対応する難しさを実感させられる作品でした。 ... [続きを読む]

受信: 2011年9月26日 (月) 00時14分

» 映画・人生、ここにあり! [お花と読書と散歩、映画も好き]
2008年 イタリア原題 Si Puo Fare(やればできるさ!) 1978年、イタリアで制定されたバザリア法により次々と精神病院が閉鎖されました「自由こそ治療だ」という画期的な考え方から、病院に閉じ込められ人間らしい扱いを受けてこなかった患者たちを一般社会で生活させ...... [続きを読む]

受信: 2011年9月26日 (月) 14時19分

» 人生、ここにあり(2008)▽▲SI PUO FARE [銅版画制作の日々]
ネロと9人の仲間たち                    やれば、できるさ!! 未来は自分で照らすのさこれは、イタリアで始まった本当のldquo;しあわせ革命rdquo; 評価:+5点rarr;65点 京都シネマにて鑑賞。 本国イタリアでは動員数40万...... [続きを読む]

受信: 2011年10月 5日 (水) 11時18分

» やっぱ好きだわ、イタリア『人生、ここにあり!』 [Healing ]
人生、ここにあり! ★★★★★ シネスイッチ銀座ほか、全国順次ロードショー中 (どんどん上映館が増えていってるようですね。 詳しくはこちら) 原題『SI PUO FARE』(やればできる)のとおり! 何とかなるよ、やってみれば 舞台は1983年の、イタリア・ミラノ。 世界初の精神科病院廃絶法である、通称「バザーリア法」が制定され... [続きを読む]

受信: 2011年10月 9日 (日) 16時14分

» 映画『人生、ここにあり!』劇場鑑賞。 [ほし★とママのめたぼうな日々♪]
ヤフー映画のユーザーレビュー評価で「午前十時作品」と並んで 堂々ベスト10入りしていたので、ずっと気になっていました。 [続きを読む]

受信: 2011年10月12日 (水) 23時15分

» 映画『人生、ここにあり!』劇場鑑賞。 [ほし★とママのめたぼうな日々♪]
ヤフー映画のユーザーレビュー評価で「午前十時作品」と並んで 堂々ベスト10入りしていたので、ずっと気になっていました。 [続きを読む]

受信: 2011年10月22日 (土) 18時28分

» [映画『人生、ここにあり!』を観た(短信)] [『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭]
☆八王子シネマで公開されていて、なかなか時間が合わなかったのだが、やっと観れた!  しかも、偶然にも、初めて「メンズデー(男1000円)」なる日にあたったゾ^^  とてもいい作品だった。  話は、あまりにも激しく真摯過ぎる組合活動を続けてきた主人公ネッ...... [続きを読む]

受信: 2011年10月26日 (水) 00時18分

» 人生、ここにあり! [パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ]
イタリアで法律によって精神病院が閉鎖された実話をもとに作られたコメディ。病院を出た元患者たちと労働組合員が一体となって困難を乗り越え、前向きに生きていく姿を描く。出演 ... [続きを読む]

受信: 2011年10月27日 (木) 13時11分

» 人生、ここにあり! [映画の話でコーヒーブレイク]
イタリア映画といえば、昔は華やか〜でした。 ソフィア・ローレンやマストロヤンニ、ジーナ・ロロブリジタ、クラウディア・カルディナ―レ、 ロッサノ・ブラッツイにジュリアーノ・ジェンマ、皆さんハリウッド映画によく出演しておられたので 多くの俳優さんや監督の名前を...... [続きを読む]

受信: 2011年11月 7日 (月) 20時13分

» 人生、ここにあり! [映画とライトノベルな日常自販機]
“笑って泣いて、生きていることの素晴らしさを実感しました” おすすめ度:★★★★☆ 2011年12月11日  新潟・市民映画館シネ・ウインドにて鑑賞(12月23日まで上映) 精神疾患にかかり入院したり施設いる人々は、薬の影響で無気力であり動作も緩慢です。そして医師やスタッフ(関係者だけではなくそうした病気のことを知らない普通の人も)は彼らを常に上から目線で扱っていることが多いのです。 ネッロが最初に組合にやってきた時に、自分はみんなの同僚だと自己紹介し、彼ら一人一人を“さん”をつけて呼びました。同じ... [続きを読む]

受信: 2011年12月12日 (月) 09時48分

» 『未来を生きる君たちへ』『人生、ここにあり!』をギンレイホールで観て、いいカップリングよのうふじき★★★,★★★★ [ふじき78の死屍累々映画日記]
◆『未来を生きる君たちへ』 五つ星評価で【★★★この語り口の上手さはどうだろう。この殴られてない感はどうだろう】 とってもいい話だが、何か「感動でぶん殴られた感」が ... [続きを読む]

受信: 2011年12月18日 (日) 10時24分

» 人生、ここにあり! [だらだら無気力ブログ!]
素敵な作品だった。 [続きを読む]

受信: 2012年1月15日 (日) 13時28分

» 床板の隙間、お埋めします ジュリオ・マンフレドニア 『人生、ここにあり!』 [SGA屋物語紹介所]
例によって首都圏から数ヶ月遅れての上映作。シネスイッチ銀座にて12週間というロン [続きを読む]

受信: 2012年1月19日 (木) 23時21分

» 人生、ここにあり! [Cest joli〜ここちいい毎日を〜]
人生、ここにあり! 08:イタリア ◆原題:SI PUO FARE ◆監督:ジュリオ・マンフレドニア ◆出演:クラウディオ・ビジオ、アニタ・カプリオーリ、ジュゼッペ・バッティストン、アンドレア・ボスカ、ジョヴァンニ・カルカーニョ ◆STORY◆1983年のイタリア、ミラノ。新し...... [続きを読む]

受信: 2012年1月23日 (月) 21時03分

» 人生、ここにあり! [いやいやえん]
法律によって精神病院が廃止された国・イタリアで起こった実話を映画化。 元患者達が前向きに仕事して生活していこうと奮闘する姿と挫折から再起する姿は観てよかったなーと思えるものでした。今の私には一番効いたな。イタリア気質の明るい雰囲気がまた良かったんですよね。 日本だとこうはいかない。私は治りましたといったが直後、強制入院、薬漬けの毎日です。異質なものを排除する湿った空気がそこに流れてる。 1978年に制定されたバザリア法によって、イタリアに精神病院がないというのを初めて知りました。ではど... [続きを読む]

受信: 2012年6月 7日 (木) 10時23分

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