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2011年8月 6日 (土)

卒業(1967)

1967 1967年公開作品。言わずと知れたアメリカン・ニューシネマの代表作だ。当時のアカデミー賞において7部門にノミネートされ、マイク・ニコルズが監督賞を授賞している。主演はダスティン・ホフマン。共演はアン・バンクロフト、キャサリン・ロス。主人公ベンが教会からエレーヌを連れて逃げるラストは映画史に残る名シーンとして余りにも有名だ。
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思いのほか笑える名作

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鑑賞自体は随分昔に一度観ているけれど、あの有名過ぎるラストシーン以外は結構忘却の彼方でした。それにしてもさすがの名作です。改めて観て、良く練られた脚本に、個性的で魅力的なキャラクター、若者のモラトリアムを上手く表現していると感じました。ダスティン・ホフマンはデビュー2作目の本作でアカデミー賞主演男優賞に初ノミネートされましたが、獲得するのはここから12年後の『クレイマー、クレイマー』まで待たなくてはなりません。このダスティン・ホフマンという俳優は、背も高くないしいわゆるハンサムなハリウッドスター像とはちと違う。しかし、それが故に彼は本作の主人公、優秀な成績で大学を卒業し大学院に進学、更にスポーツも万能で真面目なベンジャミンという人物像にピッタリだったりします。

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物語前半は将来への不安で精神的に不安定になっているベンジャミンを、両親の友人であるロビンソン夫人(アン・バンクロフト)が誘惑してデキてしまうというストーリー。この時の実年齢はダスティン30歳にアン36歳だけれども、これがまたもっと離れているように見えます。なるほど20歳ソコソコの若者にとっては、大人の色香に思わず惹かれてしまうのも無理からぬところ。最初にロビンソン夫人の家で誘惑された時は、夫が帰宅したこともあって事なきを得ますが、後日結局自らホテルに誘ってしまう…。日本には“据え膳食わぬは男の恥”なんて諺もありますが、それ以前に恐らくチェリーボーイのベンジャミンとしてみたら、筆卸しの絶好のチャンスでこれを逃す手はないワケ。モチロン明らかに不倫ですから問題大有りですが、その描き方が面白いのです。

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別に誰も疑っていないのにホテルのフロントに異様にぎこちなく話しかけ「僕は何もいけないことをするわけじゃないんだよ」アピール。トコトン真面目なベンジャミン君の人柄の良さが覗えます。そんな彼も無事に脱童貞を済ませると、それまでの真面目一辺倒でどこかおどおどした姿が、なにやら一人前の男、いや遊び人風な佇まいを見せ始めるのだから驚き。男にとっても女にとっても初体験は重要ってことですね。(笑)定期的にホテルでロビンソン夫人と逢瀬を重ねるベンジャミン。転機はロビンソン夫妻の娘エレーヌ(キャサリン・ロス)が学校の休みに帰省してきたことでした。両親の段取りで2人はデートをする羽目に…。エレーヌがこれまた母親と違って実に清純派!ちょっとタレ目のキャサリン・ロスは今で言うアン・ハサウェイ系?でとにかく可愛い。

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かくしてベンジャミンはエレーヌを愛するようになってしまうのでした。つまりこの出会いによって結果的にベンジャミンはモラトリアムを脱したのです。もっとも日本ではこれを俗に“親子どんぶり”と言いますね。正直やってることは無茶苦茶です。無茶苦茶ですが、男の気持ちとしては普通に理解できます。ここで問題はロビンソン夫人。よりによって娘が好きになっている男が自分の不倫相手だと告白するとは、嫉妬に駆られた年増女を舐めちゃいけない…、文字通り“可愛さ余って憎さ百倍”と言うわけ。うーん、なにやらこの作品、日本の昔からの言い回しが実にしっくりくるのが不思議です。しかし!その程度の妨害で諦めるほどベンジャミンのエレーヌに対する愛は軽くなかったのでした。例え自分に理が無くても、一途な思い出突っ走れるのが若者の若者たる特権です。

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何とベンジャミンはエレーヌの学校近くに下宿して彼女を振り向かせようとするのでした。しかし彼女にはもう既に付き合っている男が…。ん?ちょっと待て。劇中でエレーヌはその彼カールとは長い付き合いだと言っている…ということは、そもそも彼女も浮気だったということ?清純派で可愛いエレーヌを悪くは言いたくないけれど、それじゃ母親とやってること同じなんじゃないのか?!なんて思ってしまったりもするのでした。やはり“カエルの子はカエル”なのか。ついにロビンソン氏に下宿に乗り込まれてしまうベンジャミン。そしてエレーヌは急転直下カールと結婚式に臨む事に。ここから先は映画史に残るあまりに有名すぎる名シーンに向かって一直線です。真赤なスポーツカーで彼女の居場所を探すために東奔西走するベンジャミン。

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上手い演出だと感じたのが、彼のヒゲでした。劇中ではベンジャミンがヒゲを剃るシーンが何度も出てきますが、それは彼の清潔感と真面目さを表現しつつも、どこか醒めた印象を与えています。ところがこのラストシークエンスの彼は無精ヒゲで、自慢のスポーツカーもドロドロ。しかし彼女への愛の深さ、情熱と言う意味ではこちらのほうがはるかに響いてきます。そして、そんな感情の高まりの頂点に来るのが彼の有名な教会の窓からエレーヌを呼ぶあのシーンと言うわけ。サイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」は心に染み入る名曲にウットリとしながら、バスの後部座席に座る2人の姿に心の底から良かったなぁと思えてしまうのでした。ヤッパリ文句無くおススメの一作です!

個人的おススメ度4.5
今日の一言:男には共感点が多いと思う
総合評価:93点

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 六月ということで、1967年のマイク・ニコルズ監督作「卒業」、久しぶりに観てみました。 [続きを読む]

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