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2011年8月11日 (木)

この愛のために撃て/À bout portant

Photo デビュー作『すべて彼女のために』のハリウッドリメイクが公開間近なフレッド・カヴァイエ監督の第2作。準看護師の主人公が、誘拐された妊娠中の妻を救うために殺し屋を助け、警察や殺し屋を追う謎の人物に追われる羽目になる。その陰には汚い陰謀が渦巻いていた…。主演は『アデル/ファラオと復活の秘薬』のジル・ルルーシュ。共演にロシュディ・ゼム、ジェラール・ランヴァンが出演している。
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地味だけど痛快なフレンチノワールだ!

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長編デビュー作『すべて彼女のために』が本年9月23日に『スリーデイズ』としてリメイク公開されるフレッド・カバイエ監督の第2作だ。一本目からヒットを飛ばした監督だけにこの2作目は1作目がフロックではないところを見せたいところではあるが、そんな心配は全く無用だったようである。デビュー作同様に妻を救う夫を描いた作品ではあるが、前作で妻は刑務所に収監されていたのに対して、今回は妻は妊婦だという設定だ。とにかく主人公サミュエル(ジル・ルルーシュ)が妻のを救うために動き始めると、あとはもうノンストップサスペンスアクション。迷いなど微塵も感じさせず一気に展開されるテンポの良さにラストまで引っ張って行かれてしまった。

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例によって事の発端は理不尽極まりない。別にサミュエルが何をしたわけでもなく、単にとある殺人事件の犯人が事故に遭い入院してきた病院の準看護師だったというだけなのだ。しかし、妻ナディア(エレナ・アナヤ)は何者かに誘拐され、サミュエルは3時間以内に犯人を決められた場所まで連れてくるように命じられる。愛するナディアは女の子を妊娠中、サミュエルときたら医者に安静にするように言われた彼女をベッドに釘付けにして一切働かせない程の気の使いようを見せるのである。短いシーンではあったが、この2人の仲睦まじさ、幸せな未来を思わせる姿は重要で、これがあるからこそこの後のサミュエルの驚異的な行動力に我々は納得することができるのだ。

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ところでこの犯人役サルテは『ゴー・ファースト 潜入捜査官』で麻薬取締の潜入捜査官役を演じていたロシュディ・ゼム。今回は全く正反対の役だが、彼の存在感が実に良い。元々腕利きの殺し屋でありながら、皮肉にも素人のサミュエルに救われる結果となる彼。プロフェッショナルとして借りは必ず返すというそのプライドのせいで、この2人は仲間同士のようになるのである。そもそもサルテは嵌められていて、サミュエルはその巻き添えを食ったということで、そこに妙な運命共同体が生まれるのが面白い。では誰が何のために嵌めたのか…。物語冒頭から折に触れてサラッと見られる刑事同士のライバル心はその大きなヒントと言えるだろう。ただこの秘密自体は物語中盤に明らかにされてしまう。

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(以下ネタバレ含む)
つまり、最初にナディアが誘拐されてサルテを連れて病院を抜け出すというのは、物語をロケットとするなら第1弾であり、2人を嵌めた連中の正体が割れると第2弾に点火するのである。それでなくても非常にテンポの良い展開が、ここからはさらに怒涛の勢いとなって見るものを息つかせない。実は彼らを嵌めた人物はヴェルネール刑事(ジェラール・ランヴァン)とそのチームだった。要するに警察官が自作自演で事件を作り上げ、裏金を稼いでいたと言う構図だ。それに利用されたのがサルテであり、サルテを救うために彼の弟がナディアを誘拐してサミュエルを巻き込んだのである。ところが、ヴェルネール刑事のおかげで全ては大幅に狂うこととなる。

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結局のところサルテもサミュエルも、ヴェルネールの腐敗を暴かない限り、永久に追われることになる。共通の敵が明らかになった今、2人は完全に仲間となるのだった。ちなみにここまで観てきて、妙にこの物語がしっくりとくると感じていた理由が解った。要するに警察=お上の腐敗に対抗する物語というのは、実は日本の時代劇のお家芸なのだ。街に混乱を引き起こし警察署へ堂々と潜り込むシークエンスはまさにどこかで観たような情景だ。それでも緊張感にドキドキしつつ、今後の展開を考えると期待感が抑えられない。最終的にサルテがゲットした腐敗の証拠をサミュエルに託すやり方が何とも小気味よく、それが白日の下に晒された時のヴェルネールの顔に思い切り溜飲が下がるのだった。

もっともサルテ本人は全くそんなことはなく、あくまでもプロのけじめをつけ、それがラストシーンになるというあたりはまるでゴルゴ13を観ているかのようだったけれど…。

個人的おススメ度4.0
今日の一言:エレナ・アナヤがキスを求める笑顔がイイ♪
総合評価:79点

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受信: 2011年8月11日 (木) 15時38分

» この愛のために撃て [あーうぃ だにぇっと]
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受信: 2011年10月 7日 (金) 18時46分

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受信: 2011年10月 9日 (日) 00時59分

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「すべて彼女のために」のフレッド・カヴァイエ監督によるサスペンス。誘拐された妻を救うため、平凡な男が孤立無援の状態で疾走する姿を描く。出演は「アデル ファラオと復活の ... [続きを読む]

受信: 2011年11月16日 (水) 16時21分

» この愛のために撃て [迷宮映画館]
テンポの良さに、タイトな作り、この長さにギュッと詰め込んだ逸品。 [続きを読む]

受信: 2011年12月 2日 (金) 08時45分

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受信: 2012年2月16日 (木) 22時07分

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あらすじパリ市内病院勤務の看護助手サミュエルは妻が誘拐され、脅迫の電話がかかって [続きを読む]

受信: 2012年2月16日 (木) 22時08分

» この愛のために撃て [銀幕大帝α]
A BOUT PORTANT/10年/仏/85分/サスペンス/PG12/劇場公開 監督:フレッド・カヴァイエ 過去監督作:『ラスト3デイズ 〜すべて彼女のために〜』 脚本:フレッド・カヴァイエ 出演: ◆ジル・ルルーシュ…サミュエル 過去出演作:『アデル/ファラオと復活の秘薬...... [続きを読む]

受信: 2012年2月24日 (金) 16時56分

» この愛のために撃て [だらだら無気力ブログ!]
最後までハラハラできる展開で大変面白いフレンチノワールだった。 [続きを読む]

受信: 2012年3月 6日 (火) 00時11分

» この愛のために撃て [いやいやえん]
「ラスト3デイズ~すべて彼女のために~」の監督さんです。 同じように、妻が窮地に立たされそれを救いに奔走する夫と言う図ですが、そこはやはり監督のセンスなのか、スピード感あるテンポのいい演出で引きこまれていきます。 「入院中のサルテを連れ出してこい」この無茶苦茶な要求に妻の命がかかっているため、サミュエルは従うしかない。しかしサルテの事件には汚職警官ヴェルネールが絡んでおり、富豪殺人事件とどう話が転んでいくのか全く予想がつかない状況に。とくに後半の大混乱な警察署内での攻防は、本当に緊張しま... [続きを読む]

受信: 2012年3月10日 (土) 08時58分

» この愛のために撃て (À bout portant) [Subterranean サブタレイニアン]
監督 フレッド・カヴァイエ 主演 ジル・ルルーシュ 2010年 フランス映画 84分 サスペンス 採点★★★★ 子供が3人いるんですけど、上の子2人の出産には立ち会えなかった私。女房が出産に向け入院中だった上に私は仕事の都合で県外に居たんで、「さっき産まれたよー…... [続きを読む]

受信: 2012年3月11日 (日) 09時12分

» この愛のために撃て [新・映画鑑賞★日記・・・]
【A BOUT PORTANT】 2011/08/06公開 フランス 85分監督:フレッド・カヴァイエ出演:ジル・ルルーシュ、エレナ・アナヤ、ロシュディ・ゼム、ジェラール・ランヴァン、ミレーユ・ペリエ、クレール・ペロ、ムーサ・マースクリ、ピエール・ブノワ、ヴァレリー・ダッシュウ...... [続きを読む]

受信: 2012年3月19日 (月) 11時42分

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