乱反射
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ディーンのカリスマモデル・桐谷美玲が同時上映される『スノーフレーク』とともに主演した作品だ。筆者は『ジーン・ワルツ』の舞台挨拶で生で観た事があるのだが、恐ろしく細い手足に小顔で、まさに“今にも折れそう”だったのを思い出す。それはさて置き、本作での彼女は文芸新人歌壇賞を最年少で受賞した女子高生歌人・嘉瀬志摩という設定だった。大変申し訳ないが彼女からはそういった文学的な匂いが全くしないため、短歌の才能がある云々に関しては最後まで違和感が拭えなかった。しかしストーリーの軸は彼女と幼馴染・航大(三浦貴大)とのラブストーリーであり、設定自体はそのきっかけに過ぎないので話の展開には大した影響はないだろう。


そもそものきっかけは彼女の師匠であり母のみお(高島礼子)から“誰かを想う気持ち”を詠むように言われたことだ。それまでの志摩が恋をしたことがなかったのかは描かれていないので解らない。ただ彼女自身は幼い頃から共に育った航大の事を無意識のうちに好きだったのは、彼が大学の休みに実家に戻り、志摩の叔母の家で再会した時の彼女の様子を観たらバレバレ。ならば何故に2人は付き合っていないのか?これまた良くあることなのだが、幼い頃から余りに身近な存在であり、言ってみれば事実上付き合っているのと同じ状況に置かれていると、思春期になったからといって改めて“恋人として”付き合って欲しいとは言い出せないということなのだろう。


しかし何と志摩は親友に航大を紹介して2人が付き合うお膳立てまでしてしまう。その時の航大の様子からは、本当は志摩の事が好きなのに彼女がその気持ちを解っていてくれないことに失望しているのが見てとれる。早い話、志摩のおばさんが言ったこと「志摩、あんた余裕ぶっこいてたでしょ!」がそのもの核心を突いていたということだ。母の指示をきっかけにして悩んでいるところに、本当は大好きな航大との再会とくれば、今度こそ本心を…と思うのも無理もないのは理解できる。富山の祖母に会うために旅立つ航大を志摩が追いかけていった段階で、この後の展開は2つしかない。即ち2人が結ばれるか否かである。もちろんどちらであっても思春期の甘酸っぱい恋物語としては成立する。


ただ個人的に思ったことは「世の中そんなに甘くない」だった。現実的に男女の間が恋に昇華するチャンスなどそう度々はないのだ。千載一遇のチャンスをモノにできなかった時点でその恋が終わる可能性は非常に高い。だからこそ人は恋に対して悩み苦しむのである。図らずも2人で同部屋に宿泊する羽目になり、志摩は航大に抱いて欲しいという素振りをみせるが、彼は彼女を避けてしまう。「普通逃げるワケねぇだろ!」と言い放つ航大のセリフからすれば、彼には既に恋人がいるのは明らかだ。ここでふと気がつく。そもそも志摩がみおに言われたのは「“誰かを想う気持ち”を詠め」ということであって、別に“想う気持ち”が成就することとは別問題なのだ。


この後ラストに到るまで、志摩が航大を想う気持ちがヒシヒシと伝わってくるシーンが続くことになる。浜辺でキスをしようと近付いても顔を背ける航大。無論この恋が実ることはない。時既に遅しなのだから。ただそれでも人が人を好きになる気持ちを止めることが出来ないのも事実。精一杯彼の事を想う志摩の姿は、恋の成就とは関係なくとても素敵に映った。少なくとも「彼は私の事が好きなはず」と無意識でも思っていたあの当時よりは全然ましだ。丁度リアルタイムな年齢のラブストーリーだけに桐谷美玲は切ない恋心を抱く少女をしっかりと体現できていたと思うし、筆者は今まで何作か見てきた中では1番の演技だと感じた。
個人的おススメ度3.0
今日の一言:桐谷美玲のビキニが観られるとは!
総合評価:68点
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