行け!男子高校演劇部
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| 最初は笑いの波に乗りにくい作品かも |
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『シーサイドモーテル』など個性派俳優として知られる池田鉄洋が初めて映画脚本を書いた作品。とにかく独特の存在感がユニークな人だけに、その人が書く脚本もやはり面白かった。とはいえ序盤から中盤、中村蒼が扮するオガと自称イケメンのジョー(金子直史)、異常に薄い存在感の上田(冨田佳輔)の3人が演劇部に入部し、廃部にならないために残り2人の部員を集めるあたりまでは、そのあまりに下らなくてバカバカしい流れに少々乗り切れなかった部分はある。この手のコメディというのは、バカをする奴ばかりではなく、ワンポイントアクセントとして普通の奴がいることで、クドイ面白さではなく楽しい面白さに変わるのだ。本作で言うならそれはカジ(池松壮亮)に他ならない。

例えばオガが先輩部員の演じるジュリエットを好きになり大ボケをかましている時も、側にはカジがいて的確かつ冷静にツッコミを入れているからこそ笑える。ところが、肝心要のカジが父親が厳しいという理由に当初は演劇部に入らず、前半はスクリーンに登場する頻度が減るのだ。残りの連中は面白いキャラクター揃いではあるが、それだけでは出オチにしかならない。というより出オチで存在感を示せるほどの個性を持った俳優はこの中では池田鉄洋その人だけだ。かくしてしばらくはアホラシイ話を黙ってみているしかなくなってしまう。ところが、彼らが演劇の大会に出場することを決めたあたりから、徐々にカジの出番も増えそれに比例して話が面白くなってくる。

ちりばめられた小ネタを回収してくれる人の存在は大きいのだ。一応大会出場の動機として、見学に行った豪徳寺女学園の演劇部に所属する柏木舞(新川優愛)にオガが一目ぼれしたということはある。彼女が顧問の先生にボロクソにけなされて泣いている様子をみたオガは、演劇はもっと楽しいものだということを見せつけようとするのだ。もっとも、話全体を俯瞰してみればこんなことは単なる切っ掛けにしか過ぎないのは明らかで、実際彼女とオガの関係はラブストーリーにもなっていないほどサラリと描かれている。大会までの特訓の様子には何故かランニングやら懸垂やらが含まれていて、その時には「演劇にも体力は必要だしね。」程度に見ていたのだけれど、これが大きな伏線なのが面白い。

(ここからネタバレ含む)
実は大会用の演目の脚本を書いたのはカジだった。題材にしたのはO・ヘンリー作「最後の一葉」。「あの一葉が落ちたら私は死んでしまうの…」というアレだ。誰でも知っているお話をどう演じて見せるのかと思いきや、始まった瞬間登場人物はマネキンなのに虚を突かれる。声だけは彼らが演じているのだが、じゃあここから一体どう持ってゆくの?と気分はもはや観客と同化してしまった。すると…天井からバトンが下りてくるではないか。しかもそこには5人が葉っぱの衣装を着てぶら下がっている。そう、つまり彼らが演じたのは最後の五葉だったのだ。なるほど体を鍛えていたワケはこれかと、思わず喝采したくなった。池田鉄洋の笑いのアイディアは大したものだと思う。

もっともアイディアだけで綺麗に笑わせるようなことはない。これから巻き起こる予想外の展開をどのように乗り切ってゆくのか。そしてそこにカジがどう関わってくるのか。相変わらずバカバカしいネタ満載なのだが、ベースにしっかりとした話があるだけに安心して観ていられる。大会終了後に意外なオチが2つほど用意されているが、個人的にはカジの親に関する部分はともかく、もう一つの方は必要だったのか疑問だった。『少女たちの羅針盤』のような演劇にかける熱意がよく伝わってくる作品も良いけれど、あくまでも演劇を舞台装置にしたコメディドラマと捕えた方がこの作品は楽しめると思う。
個人的おススメ度
3.0
今日の一言:ジュリエットの男が意外に綺麗…
総合評価:65点
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