メカニック／The Mechanic

１９７２年にチャールズ・ブロンソン主演で製作された作品を『トゥームレイダー』のサイモン・ウェスト監督がリメイク。“メカニック”と呼ばれる凄腕の殺し屋が、自分の殺した親友の息子を弟子にする。数奇な運命に結ばれた２人はミッションをこなしてゆくが…。主演は「トランスポーター」シリーズのジェイソン・ステイサム、共演に『３時１０分、決断のとき』のベンフォスター。
>>公式サイト

メカニックと言っても車は関係ないよ

　あらすじ・作品情報へ　

←みなさんの応援クリックに感謝デス

１９７２年にチャールズ・ブロンソン主演でで製作された作品のリメイクだがオリジナルは未見。“メカニック”とは機械のように正確無比にターゲットを殺す凄腕の殺し屋のことを指す。もっとも個人的には「トランスポーター」のイメージが強いジェイソン・ステイサムが主演なだけに、メカニックというとどうしても車のそれを思い出してしまうのだが…。本作は派手なガンアクションやカーアクションも見どころの一つではあるけれど、何と言っても緻密に計算され尽くした上での殺しを見せつけられるところが面白い。主人公アーサー・ビショップ(ジェイソン・ステイサム）にとっては、殺し＝ビジネスであり、あくまでクールに仕事をこなすその姿は背筋がゾクゾクするような恰好良さがあった。

プールで麻薬王を暗殺するオープニングは、一切の証拠を残さず、それどころかその存在すら気付かせないというビショップの天才的な実力を我々にインプットしてくれる。ところが前半はその彼がビジネスと割り切ったはずの殺人で苦悩を抱え込むという物語だ。何と雇い主サンダーソン(トニー・ゴールドウィン)から彼の恩人であり、親友のハリー・マッケンナー（ドナルド・サザーランド）の暗殺命令がでるのである。ハリーが組織を裏切り、別のミッションで動いていたメカニックたちを殺したというのがその理由だった。しかしおそらくビショップにとってはそんなことはどうでもよかっただろう。それでもビジネスはビジネス、彼はハリーに対しても完璧な暗殺を実行する。

麻薬王暗殺と、ハリーの暗殺という２つのミッションを通じて、我々はハリーの中にも人間としての感情を見つけることが出来る。単純に凄腕の殺し屋というだけでなく、クールな仮面の裏にある暖かい優しさをチラと垣間見ることで、彼の人間性に惚れてしまうのだ。この後、何の因果かハリーの息子スティーブを弟子にし、ハリーから譲り受けた殺しのテクニックすべて叩き込むことになる。スティーブ役のベン・フォスターは『３時１０分、決断のとき』や『３０デイズナイト』などで活躍する個性派俳優だが、主役の側で主役を引き立てつつ存在感を発揮するその演技力は流石の一語だった。スティーブが初めて与えられたミッションは、他の組織の“メカニック”の暗殺。

ビショップに言われたままに実行するのではなく、あえて彼の命令に背いてまで己を貫き、更に結果を出し、むしろビショップを越えてやるというその意地の張り方が実に魅力的だに映る。むしろそうすることで簡単には越えられない壁としてのビショップの存在感も高まるのだ。２人で組んだ初めてのミッションでは、カルト教団の教祖暗殺を命じられるが、ビル屋上での銃撃戦や、窓の清掃用ゴンドラにロープを巻きつけての降下といったアクションシーンはまるで００７かＭＩかといった迫力に目を奪われる。っとまあ、この辺までは順調に展開してくるのだが、偶然にもビショップが死んだはずのメカニックの一人が生きていることに気づいてしまったことから、物語は思わぬ方向へ進み始めるのだった。

早い話が彼は騙されていた事に気付く。ところが面白いのが同じタイミングでスティーブも自分が騙されていたことに気付くのだ。即ちビショップこそが自分の父を殺した相手であり、復讐の対象であることに―。サンダーソンを殺しに向かう２人の壮絶なカーアクションと銃撃戦は見ものだ。何と言っても恩人・親友の仇であり、父の仇である。しかし決して感情に流されずあくまで冷静にメカニックとして復讐を遂げるのだからその凄み、怒りの大きさが余計に強烈に伝わってきた。だがこれだけでは終わらない。ビショップとスティーブの闘いが残っているのだ。結末を目にしたとき、我々は本当の意味で超一流の“メカニック”の実力を知ることになるだろう。

８月１３日（土）公開

個人的おススメ度3.5
今日の一言：カッコいいけどムサイ２人（笑）
総合評価：73点

↑いつも応援して頂き感謝です！
今後ともポチッとご協力頂けると嬉しいです♪