スーパー！／SUPER

ドラッグディーラーに愛する妻を奪われた中年男が、妻を取り返すべくヒーロー“クリムゾンボルト”へと変身する。相棒のボルティを引き連れて、彼は妻を救い街から悪を駆逐することができるのか？！主演は『メタルヘッド』のレイン・ウィルソン。共演に『JUNO／ジュノ』のエレン・ペイジ、リヴ・タイラー、ケヴィン・ベーコンと豪華な面々が揃う。監督は『スリザー』のジェームズ・ガン。
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ぐはっ！ヒーローがここまでやるか！

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自らお手製のコスチュームを作り街の悪人を退治しようとするヒーローと聞いてすぐに思い出すのは大ヒットした『キック・アス』だ。もっともあちらは青年、こちらは冴えない中年男なのだが…。ところが本作との違いは主人公の見た目だけではない。監督が『スリザー』や『ドーン・オブ・ザ・デッド』といった作品を手がけてきたジェームズ・ガンだからなのか、手作りヒーローには似合わないグロいシーンが頻繁に登場するのだ。事の発端は人生で完璧だったことが「街で犯罪者の逃げた方向を警官に教えたこと」と「妻サラ（リヴ・タイラー）と結婚したこと」の２つしかないという冴えない男フランクが、妻をドラッグディーラーのジョック（ケヴィン・ベーコン）に奪われてしまったこと。

ところがここで早くもぶっ飛びシーンが登場する。妻を救い出すために正義のヒーロー・クリムゾンボルトになることを決意するフランクだが、そのきっかけになったのが神からの啓示だった。怪しげな触手がフランクの頭蓋骨を切り開き、露出した脳に神の指が触れる…。まるで『ハンニバル』の有名なシーンを彷彿とさせるグロさだ。フランクは正義のヒーローは人を殺さないと、後に相棒のボルティ（エレン・ペイジ）に言うが、それにしたって武器がスパナで、それで売人たちを思いっきりボッコボコにしてしまうというのだから、まるで言ってることとやってることが矛盾している（苦笑）余談だがサラ訳のリヴ・タイラーは相変わらず美しく、ジャンキーになってもそれは変わらない。

ケヴィン・ベーコンのちょっとイカレ気味なセクシードラッグディーラーはこれまたピッタリではあるが、一昔前ならゲイリー・オールドマンあたりが演じていても良かったかも。さて、ヒーローになるに当たって重要なのがヒロインの存在。実はこれは筆者が言っているのではなく、劇中でボルティーへと変身するリビーが言っていることだ。彼女が自ら相棒に立候補し、そのコスチュームでセクシーさを出そうとするシーンが実にケッサクである。体にフィットするコスチュームだけにエレン・ペイジの貧乳＆くびれのなさがモロに強調されているのに本人だけはノリノリなのだ。もっとも、本作でのエレンはとんでもなくアナーキーというかファンキーで、こんな過激な彼女を観たことがない程。

フランクを襲った犯罪者に車で突撃し、下着姿で狂ったように大はしゃぎ、おまけに結婚は神聖な契りだというフランクに「クリムゾンボルトは結婚してない」と逆強姦。だからかどうかは知らないが、最終的にジョックの家に突撃をかけた際に彼女を待っていた運命はこれまたとんでもないもので、それこそエレン・ペイジクラスの女優にこんなことさせるのかとビックリしてしまったほどだった。クリムゾンボルト自体もスパナで犯罪者の頭をカチ割っているうちはまだ良かったのだが、その突撃の際にはもうムチャクチャ。正直いって残虐さ加減では『エクスペンダブルズ』以上じゃないかと思う。爆弾を投げれば人の体がバラバラになって吹っ飛ぶ様子が描かれ、銃で撃てばしっかり銃創まで見せるのだ。

逆に言えばそれだけフランクのサラへの愛の深さであったり、その妻を寝取った上にクスリ漬けにしたジョックへの怒りの大きさが表現されているという風にも受け取れなくはない。しかもストーリーの展開自体はある種フランクの成長物語も重ね合わせているのだ。コメディ要素と残虐要素がかなり密接に描かれている笑いは『マテェーテ』と同じパターンなのだがそれは人によっては全く笑えないという意見も当然あると思うし、このグロさに拒絶反応を示す人がいてもおかしくはないだろう。結局色んな意味でタイトル通り「スーパー！」な作品だったと思う。

個人的おススメ度3.5
今日の一言：こんなエレンも嫌いじゃないよっ
総合評価：74点

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