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2011年9月15日 (木)

リメンバー・ミー/Remember Me

Photo 「トワイライト」シリーズのロバート・パティンソンが製作総指揮と主演の2役を務める青春ラブストーリー。自殺で兄を失った喪失感、家族に対する父の想いへの不満を抱える青年と、10年前に母を殺された少女が恋に落ちる。2人の付き合いの中で青年は家族との絆を取り戻してゆくのだった…。共演にピアース・ブロスナンやクリス・クーパーといったベテランが出演している。監督はアレン・コールター。
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愛、家族の絆、3千分の1の真実

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これはスルーしていたら大失敗の秀作だった。主演のロバート・パティンソンは「トワイライト」シリーズでしか知らない上、特にイケメンとも芝居が上手いとも思っていなかったため、食指が動かなかったのだ。しかし、本作での彼は別人のように良かった。同じラブストーリーでも、脚本が良いとこうまで違うのかと驚かされる。物語は1991年の地下鉄の駅のシーンから始まる。母娘が強盗に襲われ、娘の目の前で母は射殺されてしまうのだが、皮肉にも父親(クリス・クーパー)はNY市警の刑事だった。妻を守れなかった悲しみをグッと耐えその場を立ち去る父娘…。そこから時は一気に10年後、2001年へと進むのである。2001年のニューヨークといえば当然ながら9.11同時多発テロ。その同じ年を舞台にしたことに何かの運命を感じつつ、私は物語を観進めることになった。

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タイラー(ロバート・パティソン)の家庭が複雑な環境であることはすぐ解る。兄マイケルは自殺し、離婚した母ダイアン(レナ・オリン)は再婚、弁護士の父チャールズ(ピアース・ブロスナン)は仕事にかまけて家族を顧みない。愛すべき妹キャロライン(ルビー・ジェリンズ)には類稀な画の才能があるが、その大人びた言動の裏には、父親の愛情に飢えた11歳の少女がいた。タイラーは父親を徹底的に嫌い、まるで自分が父代わりとでもいうかのようにキャロラインを可愛がっている。そんな彼が恋人となるアリー(エミリー・デ・レイヴィン)と出逢うのだが、彼女こそ物語冒頭で強盗に母を殺された少女の10年後の姿だった。お互いに家族を亡くしているという共通点がある上に、とある出来事から2人の距離は一気に縮まってゆく。

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それは父親からの過度の干渉に嫌気が差したアリーが家出してタイラーの家に転がり込んできたことだ。タイラーにしてみれば自分も父親を嫌っているという意味では同じことなのだろうが本質的には全く違う。強盗に妻を殺された父親が娘のことを過保護なぐらいに心配するのは当然だ。そしてタイラーとアリーの違いはその部分を本人が理解しているかどうかという点だった。即ちアリーは父の過保護に怒りつつ、それ自体は否定していないのである。従って客観的な視点で見ると、どうもタイラーの方が子供でアリーが大人に見えて仕方がない。父を交えて3人で食事をしてもアリーは「いい父親じゃない」とチャールズのことを気に入った模様…。この辺のタイラーの心情の微妙な変化が観ていてリアルだった。オヤジは嫌い、しかし愛する彼女が気に入ったオヤジを露骨に嫌うのも難しい。

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惚れた男の弱みでこの気持ちは良く解る。結局これがバラバラになった家族の絆を再生させるキッカケになるという話の持って行き方に上手さを感じるのだった。さて、実はこの2人のラブストーリー以外にも本作では重要なサイドストーリーがある。それは妹キャロラインの苛め問題だ。彼女は物語冒頭からずっと学校で苛めにあっていた。彼女が苛めに遭って辛い想いを抱いており、だからこそタイラーも妹を心配しつつ、その悩みを父にも共有して欲しかったのだろう。それは兄を亡くした自分の心の傷を父に解って欲しかったという自らの想いも重ね合わせているのだろう。苛めっ子の誕生会に訪れたキャロラインは苛めっ子とその仲間の女の子たちに美しく長い髪を無残に切られてしまう。この大事件は、この時別れの危機だったタイラーとアリーの仲を修復しただけではない。

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父チャールズとタイラーの仲までも一気に修復することになるのだ。キャロラインには可哀想だが正に「人間万事塞翁が馬」とはよく言ったものである。この時、父がその全力をもって「娘を苛めたガキ共を学校から追放してやる。」と言い切る姿は最高に気持ちいい。家族を、娘を愛さない父親などいない。それがアリーの父親のように過保護なまでになる場合もあれば、チャールズのようにそっけなく見えるほど不器用な場合もあるということ、タイラーはこの事件でそれに気付いたのだ。これで終わっていたら普通のラブストーリーで、家族再生の物語なのだが、本作の凄かったのはここからだった。事件のことを話すためにチャールズの事務所を訪れるタイラー。しかし父はキャロラインを学校に送ってから事務所に向かうために到着が遅れると連絡を入れる。

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キャロラインが教室に入ると先生は黒板にこう書き出した。「11 September,2001」張り倒されたようなショックが私を襲った。最初に9.11の年だと認識していたではないか。しかし物語に没頭する余りすっかり忘れていたのだ。タイラーの姿からカメラが思い切りズームバックすると、彼がいるビルが映し出される…。その後のシーンにはもう何も言えない。あの事件で亡くなった3000人もの方々それぞれに人生があり、本作はそのうちの1人を切り取った作品なのだ。そう、タイトル『リメンバー・ミー』(私を忘れないで)とはそういう意味なのである。

個人的おススメ度4.0
今日の一言:もっと早く観ればよかった…
総合評価:79点

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