エイリアン・ビキニの侵略/에일리언 비키니
韓国インディー界の新鋭オ・ヨンドウ監督の長編デビュー作。結婚するまではと30年間貞操を守ってきた青年と、その青年の純潔の精子を手に入れようと誘惑するセクシーエイリアンの攻防を描いたSFコメディー。出演は同監督の『隣りのゾンビ ~The Neighbor Zombie~』を共同監督したホン・ヨングンと、ハ・ウンジョン。 |
エロくはないけどセクシ~♪ |
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2011年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭のグランプリ受賞作品。非常に前評判も良かった故に期待しての鑑賞だったが、それに違わず中々面白い作品だった。ちなみにポスターイメージではタイトル通りビキニ姿の女性が写っているが、実際には別にビキニ姿の女性というかエイリアンは出てこない。ただし下着姿の女性は出てくる。まあ隠している部分は同じなのだから似たようなものだといえばその通りなのだが…。それにしても「エイリアン・ビキニの侵略」とはフザケタ邦題をつけたものだと思いきや、何と原題「Invasion of Alien Bikini」のまんまだったというのが驚き。要するに日本円にして約34万円というB級映画にしても少なすぎる予算をアイディアでカバーした作品である。
大体何でエイリアンがビキニなんだろう。オ・ヨンドウ監督はそのインタビューの中で明確に答えている。「セクシーだからです(笑)」と。またこうも言っている。「特にテーマというものはありません。これは一人のオトコの物語です。あくまでも楽しむための映画だと考えています。」うん、その言や良し。取ってつけたような高尚なテーマなどなく、こうしたら楽しいんじゃないか、エイリアンが女性でビキニならセクシーじゃないかという至極単純な思考にとても好感が持てる。とにかく設定がもうバカバカしくて面白いのだ。エイリアンが一生のうち一日だけ受精できる日が映画で描かれる日で、そのために何としてもその日の内に地球人の男とセックスして精子を出させなければならない。
そのターゲットとなったのが主人公ヨンゴン(ホン・ヨングン)で、彼は30年間純潔を保ってきた精子の持ち主なのだった。アホくさ(笑)大体その出逢いからしてバカバカしくて笑えた。ハ・モニカ(エイリアン:ハ・ウンジョン)が男たちに言われているところを、あからさまな付け髭で都市防衛軍を名乗るヨンゴンがテコンドー初段の腕前で助けるのである。最初は何となく良い雰囲気のウブなカップルなのだが、徐々にモニカが迫ってくるというくだりはエイリアンだと解っていてもちょっとドキドキしてしまう。やがてその目的を明らかにすると、精子をよこせやらないの攻防が始まるのだった。全く今自分でこのエントリーを書いていてもアホらしくて笑えてくる…。
低予算映画ゆえにエイリアンそのものは登場しない。というか総予算34万円ではエイリアンの造形を形にすることなどできるわけもない。ただ何故かモニカの背骨がヨンゴンの首を絞めるという、エイリアンなんだかゾンビなんだかもはやよく解らないシーンはあった。ここは細かいことを言わず雰囲気モノだと受け止めておけばよいだろう。要するにモニカが人間ではないということを見せておきたかったのだろうから。ちょっと不思議だったのが、モニカが口で出させようとするのに失敗した後どうしてセックスに行かなかったのかということだ。男の生理は理性で耐えられるものじゃないはずなのに(苦笑)更に面白いのは、隙を見て反撃したヨンゴンの攻撃でモニカが意識を失ったあとだ。
あれほど精子はやらないと言っていた彼は彼女が死んだと思い込み、何と死姦に及んだ上に射精してしまうのである。実は生きていたモニカは見事に受精し、直後に出産する。とんでもなく早いが、要するにエイリアンにとって流れる時間の速度が地球人とは別次元に速いということらしい。エイリアンの速度が地球に適用されると、現実時間の進み具合が加速度的に上がり、あっという間に地球は滅びてしまうのだそうだ。もちろん理論的に整合性などないので、真面目に理解しようとしてはいけない。そういうものなのだ。何と地球が大爆発してしまうというエンディングは、このチープな作品の規模からしたらあまりにギャップの大きな最大級のバッドエンドだ。やることが一々突き抜けている。
もし本作を観るならば、作り手がとても楽しみながら作っている作品だけに、細かい注文をつけずに一緒になって乗っかったほうが良い。シアターN渋谷ではビキニで鑑賞に来た女性は何とタダにするキャンペーン中で、結局はそういうノリで観にきてくれということなのだろう。
個人的おススメ度3.5
今日の一言:エロではなかったなぁ…
総合評価:70点
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