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2011年10月31日 (月)

ハラがコレなんで

Photo 『川の底からこんにちは』『あぜ道のダンディ』の石井裕也監督最新作。主演に『時をかける少女』『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』の仲里依紗を迎えて、妊婦のヒロインが独自の“粋”の美学をもとに義理と人情を貫き通す姿をコミカルに描いたヒューマンドラマだ。共演は『行け!男子高校演劇部』の中村蒼、石橋凌、稲川実代子、斉藤慶子らが出演している。
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soon 11月5日(土)公開

仲里依紗ちゃんは大好きなのに…

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『川の底からこんにちは』では常にポジティブなヒロインに元気付けられたのだが、本作もテーマ的には似たような感じだった。要するにヒロインの原光子(仲里依紗)は超ポジティブシンキングで、常に周りを引っ張ってゆくのである。が、今回は演出的に空回りしていたように思えてならない。中身が大してないのに無理にエピソードを回しているといった印象なのだ。まず光子のキャラクターだが、これは解り易い。全ての判断基準は“粋”かそうでないかだけで、義理人情に厚いのもそういった生き方が粋だと思っているからだ。物語前半では妊娠9ヶ月の彼女が住んでいたアパートを引き払い、子供の頃に住んでいた長屋に戻ってくるまでを描いている。

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といっても合間合間に彼女が子供時代の回想シーンが挿入され、その生い立ちと彼女の人格が形成されていく過程が描かれていた。が、まずここが冗長的過ぎて眠くなった。光子の一風変わった性格を説明するのにコレほどまでに時間を裂く必要はないだろう。それはこの先を観ていると余計にそう感じる。何故なら終始一貫彼女は同じことしか言わないからだ。何か問題が起こると必ず「OK、一端昼寝しよ。風向きが変わったらそん時ドーンと行けばいいんだから。」こればかり。で昼寝して少し立つと流れが変わって揉め事が解決する方向にエピソードが進む。基本的に最後までこれの繰り返しだけなのだ。最初の1度や2度はもの珍しいキャラクターが面白いが流石に3度目以降は飽きてくる。

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粋かどうかはともかく、確かに自分自身を犠牲にしても他人を助ける生き方は現代の我々が忘れているものであり、その生き方で光子の事を好きになった人々が長屋に引っ越してくるなんて話はまるで落語の人情噺の舞台が甦ったかの陽で興味深くはある。ただ余りに一方的な人情の押し付けは“傲慢”に、一方的な人情の受け取りは“甘え”に観えなくもないと思うのだ。脚が悪くて寝たきりの大家・清(稲川実代子)を無理矢理立たせてしまうことが粋なんだろうか。馴染の陽一(中村蒼)ととその叔父・次郎(石橋凌)が営業する食堂、そのお客は増えても光子が驕ってばかりで売り上げが前と変わらないというのは粋なのだろうか。私には何かが違う気がしてならない。

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更に、彼女はその状況を打開するために努力をしている様子が見られないのも気になる。風が来ないときは何をしてもダメで、風が吹くまで寝て待て。確かにそうした方が良いこともあるだろうが、全てにおいてそれなのは単に運任せと何が違うのか。結局石井監督は粋の意味を取り違えているのではないかと思う。その最たるものが光子が子供を産むというその事実だ。彼女は陣痛が来ているにも関わらず、喫茶店“べる”のママ(斉藤慶子)の母親が病気だという理由で福島へと車を走らせる。そこには陽一や次郎、清も一緒で、彼らが再三病院に行けと言っても彼女は聞き入れない。自分のお腹の子と自分の体を危険に晒すことが粋ではないはずだ。

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ところが、最終的に彼女はママの家の近くの屋外で子供を産んでしまう。別にそれそのものはフィクションの映画のシチュエーションとしてユニークだからいいのだが、その際に「アンタの事は私が守るからね!」とお腹の子に語りかけるのだ。守るなら粋だろうが野暮だろうがどっちでもいいから病院に行くべきじゃないのか?言っていることと行動が一致していない。本作のクランクアップのあと東日本大震災が起こったのだが、偶然にも福島で子供を産み落とし、その子を守ると母親が言うシーンは実に意味あるシーンだと言われているらしい。しかし所詮偶然は偶然、結局光子の行動は単にひとりよがりな現代人を映し出しているようにしか思えないのだ。それが狙いなら成功しているけれど。

soon 11月5日(土)公開

個人的おススメ度2.5
今日の一言:何か監督段々つまら…
総合評価:60点

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受信: 2012年5月13日 (日) 13時50分

» 妊婦の粋なブルース 『ハラがコレなんで』 [映画部族 a tribe called movie]
監督:石井裕也出演:仲里依紗、中村蒼、石橋凌、稲川実代子、斉藤慶子日本映画 2011年 ・・・・・・ 6点 [続きを読む]

受信: 2012年7月13日 (金) 23時59分

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