モンスター上司／Horrible Bosses

上司のパワハラやセクハラに悩まされる３人の男たちがその上司殺害計画をたてるも、想定外な事態に右往左往してしまう姿を描いたコメディー映画だ。主演はジェイソン・ベイトマン、チャーリー・デイ、ジェイソン・サダイキスの３人。共演にジェニファー・アニストン、コリン・ファレル、ケヴィン・スペイシー、ジェイミー・フォックスといった豪華な面々が揃う。監督は『ヤバい経済学』のセス・ゴードン。
>>公式サイト

１０月２９日（土）公開

超個性的なモンスターたちが面白い

　あらすじ・作品情報へ　

←みなさんの応援クリックに感謝デス

ラブコメやコメディ映画の常連とはいえ何とも地味な主人公３人に比べて、脇役の豪華なことといったら！昇進をエサにニック(ジェイソン・ベイトマン)を奴隷のように使い倒し、自発的早朝出社の２分の遅刻をネチネチといびるデビッド・ハーケンをケビン・スペイシーが。デイル(チャーリー・デイ)に婚約者がいるのを知りながら毎日のように卑猥な言葉と態度でセクハラを繰り返す痴女ドクター・ジュリア・ハリスをジェニファー・アニストンが。そして父親の死をきっかけにカート(ジェイソン・サダイキス)の勤める会社の社長に就任し、有害廃棄物をボリビアに垂れ流しても儲けを優先する悪徳社長ボビー・ペリットをコリン・ファレルがそれぞれ演じている。

原題「Horrible Bosses」は“恐ろしい上司”という意味だが、邦題の『モンスター上司』は日本人ならそのニュアンスがとてもよく伝わるヒットタイトルだろう。簡単に言えば序盤はそのモンスターっぷりにやられる３人たちを描き、中盤からその上司たちの殺害計画を立てるものの、想定外の出来事と、自らのミスでドツボにはまって行く３人を描いている。基本的にモンスターたちにコテンパンにされる姿は気の毒ではあるが、モンスターを演じる３人が余りにそれぞれの役を見事に演じすぎてこれがもう楽しくて仕方ない。ケビンの嫌がらせは本当にムカツクし、ジェニファーの痴態はむしろ羨ましいし、コリンに到っては殆どバーコード頭ときているのである。

やはり上手い役者が演じることでコレほどまでに惹き付けられるのかと感心するのだが、これが殺害計画に入り、ジェイソンたち３人がメインになるととたんにタルくなるのだから不思議だ。全体で９８分というコンパクトな尺ながら、途中のあまりのグダグダ振りに２時間を軽くオーバーしている位に感じられる。３人に殺人計画の指南をする詐欺師ディーン・'ＭＦ'・ジョーンズ役としてジェイミー・フォックスが登場する辺りの絡みは、また面白いのだけれど…。とにかく何かをやろうと思い立ってからそれが実行に移されるまで時間がかかり過ぎなのだ。例えばそれぞれの上司の情報収集をしようという目的が決まっても、ひたすら３人の会話劇ばかりで中々先に進まない。

進まないからその間に想定外の事が起こったりするのだけれど、それは想定外なのではなくて単にこの３人がトロくさいだけだ。このトロくささが全く笑いに繋がらないのが致命的だと思う。常に３人が烏合の衆でてんでバラバラな様子を観て何が面白いのだ。とりあえず個人的にはデイルが甲高い声でギャーギャー喚きたてるのにはもう耳を塞ぎたくなった。そんな中でも辛うじてストーリーが進行して行くと、やがて意外な事実が判明してくる。ハーケンはその嫉妬深さから妻の浮気相手だったボビーを拳銃で撃ち殺してしまうのだ。モンスターたちは３人いるのにどうしてそのうちの２人だけに係わり合いを持たせるのかが不思議だ。やるならジュリアも絡めるべきだろうに。

モンスターたちが個性的なキャラクターなのに、それにやられる側も個性的となると、そこにメリハリが無くなってくる。というよりクドくなってくる。このクドさが我慢できる方、或いは大好きな方にはとても面白く感じられるだろうが、個人的には３０分が限界。『モンスター上司』という嫌われ者トンデモ上司のはずが、そのモンスターたちに救われた作品だった。

１０月２９日（土）公開

個人的おススメ度2.5
今日の一言：モンスターたちに★１です
総合評価：57点

↑いつも応援して頂き感謝です！
今後ともポチッとご協力頂けると嬉しいです♪