人喰猪、公民館襲撃す!/차우
猪の皮は銃弾も跳ね返すの?! |
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この作品のキャッチフレーズが凄い。「怪獣映画史上最小スケールのスペクタクル!」ときている。確かに超巨大猪は怪獣だが、いわゆるゴジラだのモスラだのに比べたら虫けらでしかない。しかも背景が日本や世界の危機ではなく、韓国のとある山間の村の危機というのだからえらくミクロな話になってくる。何しろ襲撃するのが公民館なのだから…。というか公民館を襲撃したからどうだというのだろう(苦笑)ただそうは言っても全体にチープな作りながらもある時はホラーテイストであったり、ある時はコミカルであったり、時にはヒューマンドラマも含むこの作品が結構好きだったりする。人間の傲慢さが招く自然からのしっぺ返しという普遍的なテーマも含み、121分間飽きることはなかった。


それにしてもいくら超巨大とはいえ猪が人を喰うものなのだろうか?劇中では伝説のハンター曰く「人間が山を切り開き餌がなくなった猪は墓を掘り返して死体を喰った。それで内臓の味を覚えたのだ。」だそうだが。ところが一方でそう言いつつ、その同じ人間が、実は日本統治時代に外来種と掛け合わせた猪を山に放してしまって云々…要するにこの超巨大人喰猪の出現は日本のせいであると言っているのである。それまで日本の話など全く出ていなかったのに唐突に都合の悪いことは全て日本のせいにしておけというお得意パターンが炸裂したのには失笑するしかなかった。もっとも過去に日本がどうあろうとも、現在の村を守っているのは警察だ。そして相変わらず韓国の警察はグダグダだった(笑)


序盤で何人か猪に喰われるのだが、解っちゃいても生きたまま骨が砕かれる音と言うのは生理的に気分が悪い。ところでタイトルでは“公民館襲撃す!”となっているが、別にそれがクライマックスでもなんでもないのには驚いた。公民館を襲撃するのはあくまでも途中の1エピソードでしかないのである。もっとも、この時に今まであまりハッキリと見えなかった超巨大猪の姿がハッキリと晒されるのだけれど、これが良くできていた。当然オールCGなのだろうが、毛のフサフサ感、怒りの感情を称えた目、よだれでべとべとながら不気味さを醸し出す口元と、この超巨大猪の映像だけは『サルの惑星 -創世記-』並に上手くできていた。が、動きはお話にならなかったのだが…。


その後とある少女が襲われるのだが、喰われた少女が件の伝説のハンターの孫娘だということが判明すると、いよいよ人間が反撃に打って出るのだった。ただその陣容は意味不明…。伝説のハンター、現在韓国最高のハンターと呼ばれる男、主人公の警察官キム巡査(オム・テウン)、ソウルから来た刑事、大学で動物学を研究している女性という面々だ。ナンチャッテ捕獲隊は山に分け入ってゆく。どうして刑事は山に入るのにスーツでコートで革靴なんだ?とか考えてはいけない。しかも突然都合よく山中に生活している旧知の老人の家を基地にしてしまう。老人は何で襲われずに無事なのか。そういうことも一切考えてはいけないのだ。敵の巣を見つけてはいるとそこにはウリ坊が…。


そう、要するにヤツは子どもを育てるために人を襲っていたのである。一行が一匹を残して残りのウリ坊を全て殺し燃やしていると、怒り狂った猪が襲い掛かってくる。何故かここから延々追いかけっこが始まるのだった。追われているはずなのに夜になると見張りも立てずに全員野宿で熟睡ってのは一体どれだけ緊張感がないのだろうか。応援を呼んでもらうためにキム巡査と学者の女性がおとりになるシーン、トロッコに乗って逃げるのを追いかける猪という図はまるでどこかのアドベンチャー映画さながらだ。一応超巨大であっても猪だけに文字通り猪突猛進で上手くコーナーを曲がれないのは可笑しい。何だかもうグダグダなのだが逆にだからこそ結末が読めなかったりもする。一応クライマックスに向けた伏線が活きる終わり方ではあったとは思う。バカバカしいB級映画が好きな方には向いている作品だ。
個人的おススメ度3.0
今日の一言:真面目に観るならおススメしません
総合評価:63点
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