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2011年10月15日 (土)

女と銃と荒野の麺屋/三槍拍案驚奇

Photo_2 コーエン兄弟のデビュー作『ブラッド・シンプル』を『サンザシの樹の下で』のチャン・イーモウ監督が中国版リメイク。夫と妻、妻の浮気相手に店員、そして悪徳警官といった登場人物が己の欲のために辿る運命を描いた異色のクライムサスペンスだ。出演は『王妃の紋章』のニー・ターホン、『花の生涯~梅蘭芳~』のスン・ホンレイら実力派が揃う。
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銃と人の動きに注目

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今年は夏に『サンザシの樹の下で』も公開されているチャン・イーモウ監督作品。製作自体は2009年の作品である。コーエン兄弟のデビュー作『ブラッド・シンプル』を舞台を中国の荒野に移してリメイクしたものだが、『銃と女と荒野の麺屋』というこのタイトルの音感がまず面白い。文字通り荒野の麺屋を舞台に、店主のワン(ニー・ダーホン)、その妻(ヤン・ニー)、店員のリー(シャオ・シェンヤン)とジャオ(チェン・イェ)、チェン(マオ・マオ)、そして警察官のチャン(スン・ホンレイ)の6人が織り成す人間模様、そしてそれぞれが辿るちょっと変わった運命を描き出したクライム・サスペンスだった。それにしてもまず目に付くのはこの色鮮やかな映像だろう。

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赤味がかった荒野、真っ青な空、そして登場人物たちの色彩豊かな衣装。余りにもコントラストがクッキリとした映像はとても印象に残る。余談だが私は観た瞬間ターセム・シン監督の『ザ・フォール/落下の王国』を思い出した。物語の基本線は自分の妻が店員のリーと浮気をしていることをワンが知ってしまったことに始まる。怒り狂ったワンは、普段から賄賂を渡している悪徳警官チャンに2人の殺害を依頼するのだった。最初にチャンが登場するシーンでは警官隊が麺屋にやってくるのだが、その時リーとジャオとチェンの3人が見せる麺打ちのシーンが圧巻。生地をクルクルとまわしながら段々薄く大きく広がってゆく様子はピザ生地を作っているようでもあったけれど。

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実はこのチャンが曲者で、ここから先の物語は彼を中心にして回ってゆくことになる。そしてチャンと共に作品のキーアイテムとなるのが、ペルシャの行商人から妻が買った拳銃だった。ワンに虐待されていた彼女はその銃で彼を撃ち殺そうと考えたのだ。結果から言うとその目論見は成功するのだが、撃ったのは彼女ではなくチャン。彼はワンの金庫の中身を奪うために彼を殺すのだが、そもそもこの行為自体がラストへの伏線となっているあたりが巧妙である。さて首尾よく殺したものの、金庫の鍵が開かないことからドツボにはまって行く。自分のミスを隠そうとすればするほどミスは重なり、誤魔化すために次々人を殺さなくてはならなくなるという悪循環から抜け出せないのだ。

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それでなくても悪事を働いている時の人間は疑心暗鬼に陥りがち。その上チャンは非常にキッチリした性格らしく、ワンの部屋に忍び込んで去る時の現状復帰に気を使う様子は却って滑稽なぐらいだった。更にこの西村雅彦そっくりのチャンはどんな時も冷静な表情を崩さない。ただ表情は極めて冷静なのだがその心の内は割りと解り易い所が面白いのだ。ちなみに殺されるワンの見た目が電撃ネットワークの南部さんと瓜二つなせいもあって、個人的にこの妙な2ショットが楽しくて仕方なかった。ところで買った銃は3連式。1発は既に使い残りは2発。次は一体どういう使われ方をするのだろうか…。本来は妻が自分でワンを殺したいところだが、そんな意志とは無関係に銃だけが文字通り一人歩きする。

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結果的に2発目はsecretリーが息を吹き返したワンに止めを刺すsecretために、そして3発目になってようやくsecret妻が何とチャンに対してsecret使うことになるのだが、何故そうなったのかは例によって特異な展開によるのだった。登場人物全てが何がしかの悪事を働いている報いを必ず受けることになる本作。ただその報いそのものが偶然性による部分が多く、まるで天罰覿面とはこのことかという感じすらした。結果的に解ったような解らないような結末ではあるが、人間の汚い感情をブラックユーモアで包んだ不思議な感覚がした作品だったと思う。オリジナル『ブラッド・シンプル』は未見、改めて比べてみるのも面白いかもしれない。

個人的おススメ度3.0
今日の一言:麺がまたやけに美味そうで…
総合評価:67点

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