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2011年10月23日 (日)

シャッフル/SHUFFLE(2011)

Shuffle2011 『純喫茶エルミタージュ』の及川拓郎自身の作・演出した劇団スパイスガーデンの舞台を映画化したソリッドシチュエーション・サスペンスだ。1日拘束200万円というモニターに応募してきた男たちの姿を描き出す。出演は『クローズZERO II』の金子ノブアキ、『ソフトボーイ』の賀来賢人、『花のあと』の市川亀次郎ら演技派がそろう。二転三転するストーリー、結末や如何に!
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「終わり?」「まだまだ」錯綜する想い

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予想よりもずっと複雑かつよく練られた脚本で、全く先が読めない面白さだった。予告編を観ると、とある密室に4人の男が集められ、それに対して市川亀次郎扮する白衣の博士っぽい男が“シャッフル”というプロジェクトを実施し、それが無事終わると報酬を得られるらしいことが解る。何やらこの設定は『es[エス]』っぽくもあり、邦画でいうなら『インシテミル』のようでもある。但しどうもその男たちの中には裏切り者がいるということ、そして恐らくはその連中が銀行強盗をしているらしきことも情報として与えられる。一体これはどういうことなのか?結論から言えば予告編で観る映像などほんの序の口に過ぎない。さて、未見の方はここから先多少ネタバレを含むので注意されたい。。

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鑑賞して改めて解ったこと、それはこの作品が基本的に最初に呼ばれた部屋の中だけで進行してゆくソリッドシチュエーションだということだ。この手の作品だと画変わりがないだけに、役者の演技力に負う所が非常に大きい。金子ノブアキ扮する戸辺コウヘイは記憶喪失の軟弱な兄ちゃん、堺シンゴ(鎌苅健太)は関西弁のお調子者、物部ユウサク(ムロツヨシ)は年上だというだけで上から目線の飲食店経営者、轟ゲンゴロウ(賀来賢人)は常にラップトップを手放さない知的なフリーライター、そして市川亀次郎扮する神宮寺はやたらとハイテンションなモニター担当者だ。序盤は亀様の変なハイテンションで物語がグイグイ牽引されてゆく。こんなアナーキーな役がピッタリな歌舞伎俳優って…(笑)

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ところが、そう時間がかからずに実はこの場の5人が森の窃盗団の仲間であり、Mr.ヤマシタという謎の人物の依頼で約3億円をキツルギバンクから奪っていたことが明かされる。なるほどやはり彼らが強盗団だったのか…。ちなみに何故かそれぞれに推理作家の名前がニックネームとしてつけられているのが面白い。戸辺はレイモンド、轟はエラリー、堺はエド、物部は大藪、そして神宮寺はアガサというのだが、ここにもしっかりと伏線は張られている。実はこの伏線と、その銀行強盗を最終的に決行するかどうか話し合うシーンで「ん?」と思う方もいるかもしれない。実際私は思ったのだが、その時点での余りの情報の少なさと、その後の物語の展開に没頭して最後までそのことを忘れてしまっていた。

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ちなみに窃盗団のなかではレイモンドはハードボイルド担当だそうで、やたら怪しい渋さと、炸裂させるアナーキーなギャグには大笑いだ。さて、強盗は成功したが警察に追われた5人はほうほうの体でアジトに逃げ帰ってくる。ところがレイモンドは逃げる過程で盗んだ金をどこかに隠すのだ。そして金の入ったアタッシュケースの暗証番号を知っているのはエラリーだけ。しかもとある事情からレイモンドは記憶喪失になり金の隠し場所を忘れてしまったのである。そこでレイモンドの記憶を取り戻すための作戦“シャッフル”が実行されることになったのだった。……っとここまでの話は予告編でバラされている。従って黙って観ているだけでもここまでは普通について来れるはずだ。

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しかしここから先が本作のメイン。物語は二転三転、油断していると何が何だか解らなくなる。というより一体何が真実なのか、果たして今観ているシチュエーションが真実なのか自信がなくなってくるほどなのだ。もっともそれもそのはずで、実は残りの4人も混乱して一体何がどうなっているのか解らなくなっているのである。それは本来であればシャッフルはレイモンドの記憶を戻すための作戦だったはずが、いつの間にかその作戦そのものがMr.ヤマシタの謀略の一部だったからだ。Mr.ヤマシタとは一体何者なのか、そしてこの5人の中にいる裏切り者とは一体誰の事なのか…。そして判明する真実。シャッフルという作戦の持つ真の意味が明らかにされる。

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それは実はシャッフルは裏切り者をあぶりだすための作戦で、レイモンドの記憶喪失はウソということであり、更には裏切り者が誰なのか轟・エラリー・ゲンゴロウ、そして何故裏切ったのか婚約者カオリを結婚詐欺師レイモンドに奪われ、真実を知ったカオリが自殺したからという核心が明らかになって行く。この後裏切り者が殺されるが、その場の雰囲気からこの程度で終わるはずがないという緊張感がヒシヒシと伝わってくる。とにかくスクリーンを観ていると「まだ終わってない」という想いと「いや、いくらなんでもそろそろ…」という想いが錯綜して止まないのだ。この痺れる感覚が堪らない。脳みそをフル回転しながら、そしてその場の空気を敏感に感じ取りながら観て欲しい。

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最終結末結局レイモンドは残りの3人も殺し金を独り占めしようとする。しかもカオリは生きていた。レイモンドはカオリに射殺され結局金はカオリに。ところが、カオリの乗っていた車の後部座席から行定刑事部長(光石研)が登場。行定が金の入ったバックを開くとそこには爆弾が。レイモンドのスイッチでカオリと行定も爆死。

個人的おススメ度4.0
今日の一言:観終わって満足と共に疲れたよ
総合評価:80点

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