インモータルズ -神々の戦い-／Immortals

『ザ・セル』、『落下の王国』のターセム・シン監督最新作。ギリシャ神話の世界を舞台に、残虐王ハイペリオンを倒すべく立ち上がる農奴出身の勇者テセウスの姿を鮮やかな映像で描いた３Ｄアクションアドベンチャーだ。テセウス役を新スーパーマンに抜擢されたヘンリー・カヴィル、相手のハイペリオン役を『レスラー』のミッキー・ロークが演じる。共演に『スラムドッグ＄ミリオネア』のフリーダ・ピント。
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相変わらず素晴らしい映像センス

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体調不良で１度目は開始僅か５分から終了まで完睡。仕方なく別の作品を挟んで再鑑賞するも、オリンポスの神々が登場するまでの序盤はやはり眠気との闘いだった。要するに少なくとも私には序盤は退屈で詰らないということなのだろう。だが金色の鎧に未を包んだ神々が登場すると一気にテンションがアップ、ところがである、タイトルの『インモータルズ　-神々の戦い-』やテレビＣＭを観て期待したほど神々が登場してこない。それもそのはず、彼らの戦いはこの物語のメインストーリーではなかった。主人公はあくまで人間のテセウス（ヘンリー・カヴィル）で、彼が闇の神タイタン族を復活させて世界征服を目論む邪悪な王ハイペリオン（ミッキー・ローク）を倒す物語なのだ。

それにしても上映開始後一番最初に目に付くのがヘンリー・ガヴィルのマッチョぶり。まるでバストがあるかのような大胸筋、かっきり割れた腹筋、全くもって惚れ惚れするほど見事な体だ。新スーパーマンに抜擢されたということだが、要するに顔はクラーク・ケントで体がレオニダスというか…（笑）相対するミッキー・ロークはこれまたすっかり悪役振りが板についている。ゴツイ体は相変わらず健在で、残虐に人を殺す姿がまた憎らしいほどに良く似合うのだ。正直なところを言えばこの作品で一番存在感があって面白い存在だったのはこのハイペリオン王だと思う。予断だが昔競馬に夢中になった身としては、ハイペリオンというとどうしてもサラブレッドを思い出してしまう。

さて、ストーリー的には実はあまり面白くない、というか先の見えない緊張感はない。そもそも初っ端にエピロスの弓でタイタン族を解放するシーンが見せられる為、少なくともどういう過程があってもその事実は変えられないことは解っているからだ。従ってそこに辿り着くためにスケジュールをサクサクとこなして行くといった感が強かった。何しろキーアイテムのエピロスの弓ですら、タイタン族の封印を解いた以外は敵兵４人を射殺すのと、タルタロス山にあるギリシャの城壁の位置口を破壊するのに使われただけという地味さ加減なのだ。個人的にはそんなストーリーよりも、ターセム・シン監督らしいクリアでコントラストの強い映像美に魅入った。

スケール感を感じさせるそれは『３００ ＜スリーハンドレッド＞』の製作陣の力もあるだろうし、シン監督の作品の衣装デザインといえばこの人・石岡瑛子の、ギリシャ神話の世界観を活かしつつも、どこかエキセントリックさを残したデザインもまた観ていて惹かれるものがある。特に少ないながらもオリンポスの神々の戦うシーンは魅せられた。かなりグロい戦闘シーンだが、そのグロさが神々の強さに結びつくという意味で目を奪われるのだ。全能のゼウスの息子にして戦いの神アレスが、ピンチに陥ったテセウスを助けに入るシーンは圧巻だ。人間ｖｓ神なのだからそもそも敵う筈がないが、そのハンマーを一閃するごとに敵の頭が血飛沫に変わる様子がスーパースローで描かれる。

もっとも、彼はタイタン族との戦い以外で人間の戦いに介入したことでゼウスの怒りに触れ、ゼウスの一撃で殺されてしまうのだが…。いずれにしても私がこの作品に期待していたのはこうした神々の圧倒的な力の誇示だったので、このシーンは非常に満足。ただもう１箇所の神々の戦いのシーン、それはタイタン族との戦いなのだがそこは半分満足半分不満だった。というのも期待の神々が結構あっさりと死んでしまうからだ。何しろゼウスの娘にして知恵の女神アテナやゼウスの弟・海神ポセイドンまでやられてしまう。結局アテナを抱きかかえて天界へと逃げるゼウス…。で、テセウスも天界に呼ばれて神の位を貰うという結末なのだが、なにやらこれだとテセウスが神の欠員補充のようにも思えてしまった（苦笑）

それにしてもシン監督は６年に１本とは随分寡作である。前作『落下の王国』では撮影だけで４年を費やしたというが、今回もかなり時間をかけたのだろうか。その類稀な映像センスを、次はもう少し早く見たいものだ。

個人的おススメ度3.0
今日の一言：フリーダ・ピントのバックヌードが素晴らしい！
総合評価：66点

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