ハートブレイカー/L'arnacoeur
とある大富豪から娘の結婚を阻止するように依頼された“別れさせ屋”の主人公がそのターゲットとなったヒロインに惹かれて行ってしまう。果たしてこの恋の行方はどうなるのか?出演はフランスを代表する歌手のヴァネッサ・パラディと『メッセージ そして、愛が残る』のロマン・デュリス。監督はリュック・ベッソン監督の助監督などを務め、本作で長編デビューとなるパスカル・ショメイユ。 |
ロマン・デュリスのロマン・コメディ |
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フランスのイケメン優男ロマン・デュリスの新作ということで鑑賞。今回お相手をするのはフランスで人気の歌手であり女優の……というよりジョニー・デップのパートナーのと言った方が通りが良いかもしれないヴァネッサ・パラディ。『ハートブレイカー』という邦題からは何やら今一つイメージがあやふやなのだが原題「L'ARNACOEUR」はネットで調べたところによると“ペテン師”を意味する「arnaqueur」と“心”を意味する「coeur」の造語だそうだ。要するに主人公アレックス(ロマン・デュリス)がターゲットの女性を自分に惚れさせて付き合っている男と別れさせる、即ち女性の心を騙す「別れさせ屋」であることから来ているということ。
で、本作でのターゲットが10日後にイギリス人実業家ジョナサン(アンドリュー・リンカーン)との結婚を控えたジュリエット(ヴァネッサ・パラディン)というワケだ。物語はあの手この手でジュリエットを自分に惚れさせようとするアレックスが、ターゲットのジュリエットと相思相愛になってしまう様子をコミカルに描いている。実はアレックスは1人でその作戦を実行しているのではなく、実姉のメラニー(ジュリー・フェリエ)とその夫マルク(フランソワ・ダミア)の3人チームで行っていた。ともかく、本来ならば10日という極端に短い時間での仕事など請けないのだが、借金で首が回らなくなっていたアレックスはこの仕事の報酬でその返済をしようという絵図を描くのである。
何やらこの手のお話はハリウッドだとロマコメのような形で既視感ありありなのだが、これがフランス映画となると何故か結構ラブストーリーっぽく見えてしまうから不思議だ。これはロマン・デュリスとヴァネッサ・パラディンという、ハリウッドロマコメの如何にも的なキャスティングでない部分が新鮮に感じたからだと思う。更に「別れさせ屋」チームの作戦が案外大掛かりで多彩なのも良い。ところが、ジュリエットがひったくりに遭ってそのバッグをアレックスが取り戻すなどという、一体いつの時代だよと言いたくなる作戦がサクッとはまってしまうまではいいもののそこから先が何故か全て空振りに終わってしまうのだった。全ては情報不足によるものだったのだけれど…。
彼女の背景に関する情報が徐々に明らかにされてゆく過程と、アレックスが彼女に惹かれて行く過程がシンクロしているのが中々上手い演出で、要するに彼女を詳しく知れば知るほど、彼女の気持ちを理解してしまい、彼女を騙すことが出来なくなってゆくのだ。彼女を愛するが故に彼女は結婚した方が良いというこのジレンマがデュリスのふとした表情や仕草から覗える。この辺の少し憂いを抱えた表情が女性のハートを捕らえて話さない彼の魅力なのだろうか。一方のジュリエットは、女性に良くあるマリッジ・ブルーもあるのだろう、次第に本当に自分が求めている幸せがそこにあるのかに疑問を抱くようになる。ただ、彼女を迎えに来たジョージが意外にも亭主関白風なのには驚いた。
セレブならではの、君は僕の言う通りにしていれば幸せになれるんだ的な物言いは彼女ではなくてもちょっと違和感を感じるだろうし、そもそもそれで何年間もよく付き合えたものだとも思う…。眠れぬ夜を2人で自由に過ごすアレックスすとジュリエットを見れば結末はもう明らかなのだが、『卒業』の逆バージョンで新婦が逃げるのはもう少し工夫があってもよかったのではないか。と言うより、どうやっても『卒業』のラストは超えられないのは間違いないのだから、ここは“別れさせ屋”らしい別の終わり方を見せて欲しかった。アレックスが恐らく廃業した後のメラニー&マルク夫婦だけの“新生別れさせ屋”の行く末が心配になった(笑)
個人的おススメ度3.0
今日の一言:ヴァネッサの前歯が気になって…
総合評価:62点
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