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2011年11月15日 (火)

恋の罪

Photo_2 『冷たい熱帯魚』の園子温監督が1990年に起きた東電OL殺人事件にインスパイアされて制作した衝撃と官能の問題作だ。主人公となる3人の女性に先ごろ園監督との結婚が発表された神楽坂恵、『踊る大捜査線』シリーズの水野美紀、『凍える鏡』の冨樫真らをキャスティング。三者三様の表の顔と裏の顔をそれぞれの女優が見せる正に体当たりの演技に注目だ。
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不可思議なるは女性の本質

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またしても強烈な問題作だ。人間の醜い裏の部分、本人が意識していない心の闇を表に暴き出すというのは韓流映画ではよくあるが、邦画でそれが出来るのは昨今では園子温監督ぐらいしか見当たらない。前作『冷たい熱帯魚』ほどグロくは無いが、官能度で言えばこちらが上だ。いずれにしてもエログロ満載の作品をキッチリとエンタテインメントに昇華させることができるのは園子温監督ならではだと唸らざるを得ない。一応本作は1990年の東電OL殺人事件にインスパイアされた作品ということらしいが、殺人事件の現場が渋谷区円山町のアパートであることと、殺された女性・美津子(冨樫真)が昼間は東電OLならぬ大学助教授で、夜は売春婦をしているという部分ぐらいしか共通点はない。

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オープニングでいきなり水野美紀演じる和子のSEXシーン。『踊る大走査線』で可愛らしい婦警役を務めていた彼女も早37歳、今回はいっぱしの女刑事役というのが皮肉だ。とはいえ世が世ならまず考えられなかったフルヌードをを見せてくれるのは男としては素直に嬉しい。事務所からの独立で干された彼女だが、テレビ界ならともかくこと映画界で園子温監督にそんなタブーなど関係あるはずもない。本作ではメインの2人の女を客観的に見つめる立場として、そして主人公・いずみ(神楽坂恵)の浮気に関わる謎の増幅装置的な役割として体当たりの演技を見せてくれていたと思う。物語はその彼女が渋谷区円山町の廃墟アパートで見つかった不可思議な殺人事件を担当する所から始まる。

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遺体の身元は不明なのだが、これは観ていればすぐに解る仕組みだ。少なくともこの直後に登場する和子で無いのは胸の大きさが違うことから明らかなのだから(笑)小説家・菊池由紀夫(津田寛治)の妻である彼女は清楚で献身的。とはいっても帰宅時のスリッパの位置が決まっているという程度ならまだしも度を越えたそれはSEXにも及んでいた。Iカップバストという肉感溢れる彼女とキャラクターとのギャップがユニークなのだが、そもそもいずみに関しては園子温監督の母親がモデルなのだそうだ。なるほど男の理想は自分の母親だというし、女性のバストは母性の象徴であることを考えると、監督と神楽坂恵が結婚したことは至極当然のことだったのだと納得。

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しかしそのいずみがこの後かくも淫乱に変わって行くというのはいったいどういうことなのか。ただこれは単に彼女が夫は愛しているけれど、性欲的に不満を覚えていたという簡単純な話ではない。そもそも女性は男性とことなり、精神的な充足感が得られずして肉体的な充足感は得られないのだ。彼女の求める何かを見事に言い当てたのが、昼間は大学助教授、夜は売春婦という2つの顔をもつ美津子だった。2人はとあるきっかけで知り合うのだが、美津子が求める“城”は正にいずみが求めているものと同じだったのだ。彼女たちは2人とも愛する男性の“城”の入口を探して彷徨っていたのである。端的に言えばこの“城”とは“愛”と言い換えられるだろう。

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そしてこの彷徨える魂の行く末に悲劇は起こるのだ。それにしてもこの神楽坂恵という女優、貞淑な妻を演じている芝居は決して上手くない。しかし一度服を脱ぎ捨て、その官能的な肉体を露にするとまるで人が変わったように演技に魂が入る。彼女にとって服を脱ぐことは、普段自分を覆い隠している有象無象を取り払い、剥き身の自分自身をさらけ出すことなのではないか。園子温監督が暴き出したい人間の本質を最も体現できるのが彼女なのかもしれない。一方の冨樫真も凄まじい。知的で上品なセレブと僅か5000円で体を売る娼婦という二面性をまるで二重人格の如く演じ分けている。「愛の無いSEXならお金をとりなさい」彼女の口癖は裏を返せば“愛”の価値を知る者の言葉だ。

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ただ、必ずしも“城”を見つけてもそこに安住できるのかといえばそうではないのが人間の面白い所でもある。それは和子を見れば解るとおりで、彼女は夫の愛もしっかりと感じているにも関わらず浮気に身を投じている。さて、このように倒錯的な性愛を描く中でも随所に思わず笑ってしまうシーンを織り込んであるのが園流だ。スーパーでウインナーソーセージを売っていたかずみが、美津子と知り合って売春を始めてからはフランクフルトソーセージを売っているなどという思わせぶりな変化は思わず吹き出しそうになったし、本線で重要な意味を持つ美津子の母親との本音トークシーンなどは正にケッサクである。硬軟取り混ぜた映像表現、この融通無碍な所が園監督作品の魅力の一つに違いない。

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タイトル『恋の罪』は最初は何故“恋”なのかと疑問だった。「愛の罪」ではないかと。しかし実はこれ、監督の経験談から来ていた。過去に付き合っていた女性からふられた時に、監督との間は“愛”であり、新しく好きになった人は“恋”なのだと言われたのだそうだ。“愛”を求めて彷徨うのが女性の本質なら、“愛”を手に入れても“恋”を求めるのもまた女性の本質。男からしてみればじゃあ一体どうしたら良いのかという話ではあるのだけれど、それが女性という生き物であるならば仕方ない。つまり『恋の罪』というワケだ。自らのトラウマをこのような映像で表現出来てしまうあたりやはりこの監督、 “鬼才”である。

個人的おススメ度4.0
今日の一言:『ヒミズ』が楽しみ!
総合評価:81点

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受信: 2011年12月21日 (水) 12時32分

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受信: 2011年12月23日 (金) 20時25分

» 『恋の罪』を銀座シネパトス2で観て、無駄に濃密やねえふじき★★★ [ふじき78の死屍累々映画日記]
五つ星評価で【★★★どっと疲れるが、納得できる疲れだ】 園子温だねえ。 嫌がる方へ、嫌がる方へ、話を持っていきつつ、的は外さないみたいな。 あまりにぶちまける原色が ... [続きを読む]

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1990年代、渋谷区円山町ラブホテル街で起きた実在の殺人事件からインスパイアされた禁断の世界を描く「冷たい熱帯魚」の園子温監督作。出演は「花子の日記」の水野美紀、「凍える鏡 ... [続きを読む]

受信: 2012年1月 5日 (木) 09時12分

» 恋の罪(2011-094) [単館系]
今回個人的に最寄りのシネコンで恋の罪が上映されることが わかってそこで見ようと思っていたのだが・・・ 昨日、プリンタが壊れていたことがわかり東川口のヤマダ電機 でプリンタを注文し、まだ時間がある...... [続きを読む]

受信: 2012年1月 5日 (木) 22時45分

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 昨年のことになりますが、『恋の罪』を吉祥寺バウスシアターで見ました。 (1)この作品は、『冷たい熱帯魚』の園子温監督の手になる昨年2作目のもので、今度もどんな目覚ましい展開の映像を見せてくれるのかと、大きな期待をもって映画館に行ってきましたが、期待に違わ...... [続きを読む]

受信: 2012年1月 8日 (日) 18時18分

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受信: 2012年1月26日 (木) 23時30分

» 恋の罪 [迷宮映画館]
どう見ても、「恋の罪」じゃないでしょ。 [続きを読む]

受信: 2012年2月 4日 (土) 15時20分

» 「恋の罪」満たされない日常から離脱した先に待っていた堕ちた女たちの衝撃な結末 [オールマイティにコメンテート]
「恋の罪」(R18+指定)は1990年代に渋谷区円山町ラブホテル街で起きた実在の殺人事件からインスパイアされた作品で幸せな生活に満たされない日々を送っていた女性がある誘いを受け ... [続きを読む]

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» 映画『恋の罪』を観て [kintyres Diary 新館]
12-4.恋の罪■英題:Guilty Of Romance■配給:日活■製作年・国:2011年、日本■上映時間:144分■観賞日:1月9日、新宿武蔵野館(新宿)■入場料:1,800円□監督・脚本:園子温□撮影:谷川創平□照明:金子康博□編集:伊藤潤一◆水野美紀(吉田和子)◆神楽坂恵(菊...... [続きを読む]

受信: 2012年3月 9日 (金) 23時17分

» 恋の罪 [ジョニー・タピア Cinemas ~たぴあの映画レビューと子育て]
この映画はヤバイ[E:sign03] 「冷たい熱帯魚」、「ヒミズ」の鬼才園子温監 [続きを読む]

受信: 2012年6月 4日 (月) 00時02分

» 恋の罪 [いやいやえん]
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受信: 2012年6月 4日 (月) 23時12分

» 【恋の罪】言葉なんか覚えるんじゃなかった [映画@見取り八段]
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監督:園子温出演:水野美紀、冨樫真、神楽坂恵日本映画 2011年 ・・・・・・ 8点 [続きを読む]

受信: 2012年6月 5日 (火) 20時37分

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受信: 2012年7月 3日 (火) 17時52分

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