« マーガレットと素敵な何か/L'âge de raison | トップページ | マネーボール/Moneyball »

2011年11月 7日 (月)

やがて来たる者へ

Photo_2 第二次世界大戦末期、イタリアのボローニャ郊外の山村で起きたナチスによる村人たちの大量虐殺事件「マルザボットの虐殺」を忠実に描いた戦争ドラマだ。監督・原案・脚本は本作が長編2作目のジョルジョ・ディリッティ。出演は『ボローニャの夕暮れ』のアルバ・ロルヴァケル、『輝ける青春』のマヤ・サンサのほか、地元の人々を起用したという。
>>公式サイト

少女が未来の我々に無言で語りかけるもの

book あらすじ・作品情報へ book

にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへみなさんの応援クリックに感謝デスsunshine

01_2

またしてもナチスによる罪もない人々の虐殺事件の物語だ。しかも今回は本来なら同盟国であるイタリアの国民に対するものであるのだが、この辺の当時の状況は複雑なものがあるので今回は触れない。いずれにしてもナチスの残した爪あとの深さと広さには改めて驚かされるものがある。「マルザボットの虐殺」と呼ばれるこの事件は、ボローニャ郊外の山村でパルチザンに手を焼いたナチスが大量の住民を虐殺したというもので、英語版Wikiによれば、犠牲者の数は1800人以上に達したという報告もあるらしい。一昨年に日本公開されたスパイク・リー監督の『セントアンナの奇跡』で描かれた「セントアンナの虐殺」とは地域の違いこそあれほぼその構図は同じである。

02_2 03_2

つまり、ここで問題なのは人数もさることながら、虐殺された人の大半が何の罪もない力なき人々だったということだ。村人の中でも若いものはパルチザンに参加し、残っていたのは老人と女子どもが殆どだったのだ。主人公のマルティーナ(グレタ・ズッケーリ・モンタナーリ)もそんな少女の一人で本作は全て彼女の視点で語られてゆく。というより、彼女は生まれたばかりの弟が亡くなって以来口が利けなくなってしまっていた。それだけに、私たちは自然と彼女の見聞きしたこと、彼女の行動にフォーカスを当てて観る事になるのだ。マルティーナと、その両親に祖母、2人の姉に兄の一家は決して裕福ではないけれど、それなりに幸せな生活を送っていた。

04_2 05_2

まだ8歳のマルティーナは、大人の思考の枠外にいる。それだけに映像からは彼女の子どもらしい素直な感情が覗えるのが初々しかった。例えば母親が妊娠すると今度こそ弟が出来るのだと素直に喜ぶ姿はとても微笑ましい。他にもこんなシーンがあった。大人がドイツ兵は悪いヤツだというからそうなのかと思っているものの、実際に会ってみると優しく微笑みかけパンを分けてくれたりもする。その優しいお兄さんのドイツ兵がパルチザンに撃ち殺される姿を目撃した彼女は、一体何が正しくて何がそうでないのかが解らなくなってしまうのだ。どちらにしても大人の事情で始めた戦争が子どもの心を傷つけていることに違いはない。母が弟を産んだその日、いつものようにドイツ兵が村にやってきた。

06_2 07_2

老人や女子どもは教会に、男たちは森に逃げ込むのだが、産後で動けない母とその面倒を見るために祖母は家に残るのだった。教会から無理矢理引きずり出される村人たち。この辺から嫌な気持ちで一杯になる。この気持ちは『縞模様のパジャマの少年』の時に味わったモノと同じだ。それはこのまま進んだら何が起こるのかは明白なのに、観ている自分には何も出来ないという心をかきむしられる様なもどかしい感覚…。しかし『縞模様のパジャマの少年』と違うのはマルティーナが教会から一人家に戻ったことである。これが良かったのか悪かったのかは何とも言えない。何故ならおかげで彼女は母親と祖母がドイツ兵に撃ち殺される現場を目撃してしまうからだ。

08_2 09_2

この後の彼女の行動があまりに健気で胸が締め付けられる。何と彼女は家に入り生まれたばかりの弟を抱えて逃げ出すのである。しかも森の避難壕の中で弟が空腹で泣き出すと、彼女は家に食べ物をとりに戻るのだ。ただ結果的にそのおかげで彼女はドイツ兵に捕らえられてしまうのだが。教会から連れ出された人々は無残にも撃ち殺され、マルティーナたちが押し込められた地下室には手榴弾が投げ込まれる…。ギリギリで命を永らえていた姉と父も殺されたあと、幸運にも彼女が生きていることが解った時の哀しい喜び、そしてラストシーンで彼女が弟を抱きながら小さな声で歌う歌声が深く心に刻まれる。「やがて来る者へ」とは、監督曰く一つには少女の弟の事であり、もう一つは私たちの事だそうだ。

10 11

つまり、長い年月を経ても相変わらず同じことを繰り返している我々人間に対して、それが如何に愚かな事なのかを見せ付けているのだろう。マルティーナは良いも悪いも解らない少女だった。我々はそうではないはずだ。

個人的おススメ度4.0
今日の一言:グレタちゃんはプロの子役じゃないそうです
総合評価:81点

にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへ
↑いつも応援して頂き感謝です!
今後ともポチッとご協力頂けると嬉しいです♪

|

« マーガレットと素敵な何か/L'âge de raison | トップページ | マネーボール/Moneyball »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/197507/42901482

この記事へのトラックバック一覧です: やがて来たる者へ:

» 「やがて来たる者へ」 [【映画がはねたら、都バスに乗って】]
イタリア、ボローニャ近郊の農業地帯に暮らす八歳の少女の物語。 時代は第二次世界大戦。のどかな村にも、戦争の足音はひたひたと近づいてくる。ドイツ軍が来たり、それを迎え撃とうとするパルチザンが現れたり、やがて凄惨な事件が村を包み込む。 悲劇的な物語なんだけ...... [続きを読む]

受信: 2011年11月25日 (金) 21時35分

« マーガレットと素敵な何か/L'âge de raison | トップページ | マネーボール/Moneyball »