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2011年12月 2日 (金)

NO NAME FILMS 片岡翔DAY

No_name_films NO NAME FILMSとは、簡単に言えば今はまだ名前は売れていないけれど、クオリティの高い作品を生み出す10人の若手監督の作品を一挙上映してしまおうという企画だ。しかもこの日は片岡翔DAYと銘打って、当ブログで以前から応援している片岡翔監督の最新作『party』を含む3作品が特別上映されるとあって参加してみた。
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片岡翔DAYサラッとレビュー

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本日はBプログラムの5作品が公開された後で、片岡翔監督の3作品が公開される。例によって必殺割引価格1000円で観るにはお得すぎるラインナップだ。ただ、よもや終了時間が23時半頃になるとは想定しておらず、終電ギリギリで監督に上映後の挨拶もそこそこに劇場を後にしたのが誤算と言えば誤算だった…。まあそれはいい。で、最初の5作品の中にある『ぬくぬくの木』は既に下北沢トリウッドで鑑賞済み。子供を思う親の気持ちと、無意識の内に親を慕う子の気持ち、そこに割り込めない切なさをたたえる主人公の女性の気持ちが切ない。2度目だけれど同じところで涙してしまった…。コントラストの強めな映像は私好みだが、劇場の関係かやけに音声が大きく感じた。ところで短編をレビューする時に難しいのは、話しすぎるとネタバレそのものになってしまうことだ。

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平時の当ブログはネタバレ前提で書いているが、流石に短編の場合はちょっと考えてしまう。従って今回はサラッと思い浮かんだことを書いてみようと思う。Bプログラム残りの4作品、次は山川公平監督の『路上』だ。が…申し訳ない、序盤単調で寝た。次は木村有理子監督の『わたしたちがうたうとき』。偶然にも仲良くなった女友達、しかしとあることから気まずい関係に。2人を結びつけたのが歌ならば、2人の絆を強めたのも歌。それにしても2人とも歌そのものはヘタクソだ。でも外国の歌をキッチリパートに分かれて歌っている。じゃあやっぱり上手いのか?なんて事を考えながら観ていた。4本目は小林岳監督の『閑古鳥が泣いてたら』という作品。つぶれそうな喫茶店の不細工な店長と美人アルバイトのお話だ。突然店を飛び出していった彼女を追いかけ元気付ける店長が可笑しい。

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もっともらしいセリフを言ってはみるものの、別に状況は何も変わっていないのに。ただ、こんな不器用で一生懸命な男は嫌いじゃない。Bプログラム最後は田崎恵美監督の『ふたつのウーテル』。大家族で過去にはテレビにも出たことがある一家、今では父は働きもせず家の中は散らかり放題。呆れた少年は家出するのだが、偶然にも出会う異母姉。実は姉は父親に母の死を告げに来たのだった…。5作品の中では『ぬくぬくの木』と並んで良かった。当ても無く旅する2人の姉弟の心情が良く伝わってくる。長男の高校生は自分にかかる責任に耐えられず、しかし姉とのつかの間の旅で心の緊張を解きほぐしたようだった。一方姉はみかんばかり食べているが、みかんといえば暖かい家庭の象徴。彼女は寂しさをみかんで紛らわしているといっても良いのではないか。

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しかし今彼女は自分が一人ぼっちではないことに気付く。解き放たれた2人が家に入ってゆく姿に今後は苦労は多くともきっと兄弟の絆で乗り越えてゆくのだろうと言う光が感じられた。と、この時点でもう23時前。超満員のユーロスペースから、終電に間に合わないからであろう、パラパラと数人が出てゆく。しかしこちらはある意味これからが本番だ。最初はお馴染み『くらげくん』。もう何回目だろう。何時見てもイイ。しかし今日に限っては本命はこの後の2本なのだ。まずは仙台の映画祭で公開された『超スーパーギガゴーレムSVプラス超リーサルウエポンⅡアンドギガ』という超短編。くらげくんのコタロウ役を務めた安田 蓮くんが再び登場だ。えーと、シュール過ぎます監督。マスクというアイテム、メルトダウンというセリフ、そして子供たちは防護服もどきのロボットに扮して遊んでいるわけで…(苦笑)

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もしかしたら彼らの目から見たら本物の防護服も戦隊モノのコスチューム並みに格好良く映るかもしれない。しかしそれは無知がもたらす誤りでしかないのだ。しかし考えてみたら、我々大人だって彼ら子供と同じレベルに無知だったのではないか。片岡監督お得意のブラックな作風が炸裂していた。そしてトリを取るのは最新作『party』だ。まだ出演者も観ていないと言う出来立てホヤホヤ。これがまたミヒャエル・ハネケ監督を思わせるような思索に富んだ作品だった。と言うより、観る側に考えることを要求する。作品そのものは何かの答えに向かってリードはしてくれない。そこに何が込められているのかを思いめぐらせながら観るのが面白いのだと思う。登場するのは、よくしゃべる明るい男、ヒステリックな女、寡黙な女、気が狂った女、寡黙な男、そして謎の男の6人だ。

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余談だが一番最後に登場する黒尽くめの謎の男を『終わってる』の今泉力哉監督が演じている。最初に登場するのは謎の男以外の5人。彼らに何があったのかは解らない。しかし彼らは揃って歩き始める。彼らはそれぞれ心に傷を負っているようにも見える。何故なら彼らの姿は人が心に傷を負ったときに見せる様々な様態だからだ。いやもしかしたら彼らは一人の人間なのではないか。多重人格という意味ではない。例えば人は誰しも苦しいときに自分の中で自問自答した経験があるだろう。自分の中のいくつかの自分と“party”を組ながら人は生きてゆくのではないだろうか。とすると今泉監督演じる黒ずくめの謎の男は一体…。答えはもちろんない。心の傷の原因となる存在そのものであるとしたら、それからは逃げられないと言うことなのか。

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っとまあこんなことを考えながら帰路に着いたのだが、この作品は繰り返し観る必要があるだろう。何度か観た後に監督とお話できるチャンスがあれば、その時に改めて自分の考えをぶつけてみたいと思う。ともあれ新進気鋭の若手監督が、自らの想いのみに従って作った作品たちは剥き身の感情が篭っているような気がする。プロ監督として彼らが今後商業性と自分の理想をどう重ね合わせてゆくのかが楽しみだ。

今日の一言:途中トイレに出るのも一苦労だったよ

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