ミッション：インポッシブル ゴースト・プロトコル／Mission: Impossible - Ghost Protocol

トム・クルーズ主演の大ヒットスパイ映画シリーズの第４弾。今回はクレムリン爆破の濡れ衣を晴らし、世界を核戦争の危機から救うのがミッションだ。前作の監督Ｊ・Ｊ・エイブラムスはトムと共に製作に回り、『Mr.インクレディブル』のブラッド・バードがメガホンを取った。共演にジェレミー・レナーやポーラ・パットン、前作から引き続きサイモン・ペッグが出演している。
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１２月１６日（金）公開

もはや呆れるほどのスケール感！

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シリーズ最高傑作というのは伊達じゃない。これまでの４作品の中で一番バランスが取れた作品だと思う。１作目はテレビシリーズのスパイドラマに映画的アクションが加わり、２作目はひたすらトムのスーパーアクションを見せ、３作目は再びスパイドラマに回帰するも基本的には全てトムだった。今回は２作目並のスーパーアクションはあるものの、必ずしもトム特化型ではなく、ジェレミー・レナーはじめチームメンバーのアクションも見所の一つとなっている。更にはスパイドラマとしてのスケール感も大きくなっており、話のつながりとしては前作を観ておいたほうが少し解りやすいだろう。物語はある情報員の死のシーンから始まるのだが、初っ端からビル飛び降りやコンタクトレンズ型カメラといったスパイらしいアクションやガジェットが登場するのが嬉しい。

肝心要のイーサン（トム・クルーズ）は何故か最初ロシアの刑務所に入れられており、彼が救出されるシーンから本線が始まる。この初っ端のシーンから複数の伏線が敷かれているのには後で驚かされた。話としては１作目同様またしてもイーサンが濡れ衣を着せられるというものだ。ただし、１作目のようなＩＭＦ内部の裏切り者といったレベルの話ではなく、何とクレムリン爆破事件の犯人。刑務所から出たイーサンはチームメンバーのベンジー（サイモン・ペッグ）、カーター（ポーラ・パットン）とともにクレムリンに潜入し、とある人物の資料を盗み出すと言うのがミッションだった。ベンジーは前作では技官だったのだが、何でも試験にパスして現場に出てきたらしい（笑）ちなみに彼はお笑い担当、というか要所でアクセントになる笑いを提供してくれる。

っとまあ実はこのクレムリン爆破事件までがプロローグだったりする訳だが、それですら十分見応えがあるのが凄い所だ。結局この事件のせいで米大統領はゴースト・プロトコルを発動しＩＭＦは事実上解散に追い込まれる。ならばイーサンたちのチームも解散かといえばそうはならない。何故ならこのクレムリン爆破の真犯人クルト・ヘンドリックス（ミカエル・ニュークヴィスト）は核テロリストで、世界を核戦争に導こうとしていたのだ。チームはブラント（ジェレミー・レナー）を仲間に加えて新たなミッションに突入する。つまり自らの濡れ衣を晴らすことは同時に核戦争を防ぐことに同義となるという寸法である。このブランとの存在もまたそれそのものが話の伏線になっているのだが、それは前作で結婚したイーサンの妻ジュリアに関することなのだ。

最初に前作を観ておいたほうが良いかもしれないと書いたのは、その方がこのあたりの登場人物の心情を理解しやすいということである。ちなみにヘンドリックス役のミカエル・ニュークヴィストは大ヒットした「ミレニアム」シリーズで事件の真相を解明する雑誌記者を演じていた俳優だ。今回は堂々たる悪役での登場だが、これが憎らしいほどにはまっている。ともあれチームは彼を追ってドバイへと向かう。予告編でも使われているドバイの超高層ビル“ブルジュ・ハリファ”でのアクションシーンはこれを命綱１本でトム・クルーズ本人がやっているということに全くもって呆れるしかない。イーサンと言えば高い所大好き？でこれまでも高所からの侵入シーンは多かったが、そもそもこんな羽目に陥るまでのベンジーとのトークと諦めの表情が実に可笑しかった。

マスク製造装置の故障で得意の変装も封じられ、素顔でヘンドリックスたちと交渉するイーサンたち。そしてその後の１ｍ先も見えない砂嵐の中でのカーチェイスとハイレベルな緊張感は保ったまま、登場人物の動きそのものは静から動へと展開してゆく絶妙な演出。ノースタントのトムはもちろん素晴らしいが、それを撮影するスタッフの力もまた素晴らしいものだと思う。ギリギリで逃げられたイーサンたちの次の行き先はインドだ。インドのシークエンスではイーサン本人ももちろんだが、ブラントのアクションも見逃せない。ここでもベンジーが笑いを提供してくれる。今回はどうもアクションと笑いがセットになっているようだ（笑）このインドシークエンスではアクションと共に車好きに見逃せないのが、東京モーターショーにも出展されたＢＭＷ－ｉ８だろう。

近未来をイメージしたコンセプトカーで美しいフォルムに、フロントガラスにデータが表示されタッチパネルのように操作するシーンは、緊張のシーンの中でも思わず身を乗り出すほどにカッコイイ。流石にこの車を大破させることは出来なかったようだけれど（苦笑）チームの努力もむなしく核ミサイルは発射されてしまうが、しかし核弾頭の起爆を阻止しようとするイーサン。タイムリミットに向かってせきたてられるように展開するアクションシーンの連続に固唾を飲む私たち観客。車に乗ったままダイブするラストは余りに無茶過ぎて呆然。一応そんな行動を取った理屈が理解出来てしまうだけに「そりゃそうだろうけどさ…」なのだ。もちろん結果に関してはここに書くまでもないだろう。最後の最後に用意された嬉しいシーンに思わずほろりと来てしまった。

【嬉しいシーンの秘密…】３までのレギュラー、ルーサー（ヴィング・レイムス）がカメオ出演、どうやら彼は別のミッションに携わっていたらしい。そして実は生きていたジュリアが登場。イーサンとジュリアの愛の深さは前作を観ると良く解るだろう。何故なら前作はイーサンがジュリアを救う物語だからだ。彼女を守るために敢えて遠く離れて見守るイーサン。彼女がそれに気が付きお互いに微笑み合うシーンに感動した。

ミッション：インポッシブル
M:i-2
M:i-III

１２月１６日（金）公開

個人的おススメ度4.0
今日の一言：またきっと次もあるよね！
総合評価：82点

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