エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン/El Bulli: Cooking in Progress
|
| 全ての仕事に通じる“エル・ブリ”イズム |
あらすじ・作品情報へ ![]()
←みなさんの応援クリックに感謝デス![]()
![]()
スペインのカタルーニャ地方にあるレストラン“エル・ブリ”。たった45席しかないこの小さなレストランには年間200万件もの予約希望が殺到し“世界一予約のとれないレストラン”と呼ばれているのだそうだ。予約がとれないどころか、レストランに行列で30分も待つ価値を感じない私としては全く異次元の世界の話だ。ただ待つ待たないはともかく、エル・ブリのオーナーシェフ、フェラン・アドリアの考え方には非常に共鳴を受けた。斬新なアイディアで固定観念を打ち破り、“世界でもっとも革新的なシェフ”と呼ばれるフェランのモットーは「常に客に驚きを提供する」ということである。そのためには例えば液体窒素を調理に使ったりするため、時として彼を批判する人も多いという。
彼の言葉の中でもっとも感銘を受けたのが「創造は朝起きたら湧いて出るものじゃない。創造とは日々の積み重ねだ。」というもの。劇中では正にその言葉を実践するフェランと仲間の姿があった。エル・ブリは1年の内の半年しか営業せず、残りの半年は新メニューの開発に宛てている。通常一人に供せられる料理は35品目から多くて50品目にも達し、シーズンが変わる度に同じ料理が供せられることは二度とない。カメラは営業を終了し、アトリエで新作の開発にかかる所から密着を始める。携わるのはフェランとフェランの右腕となる2人、開発担当のオリオール・カストロと主任シェフのエデュアルド・チャトルックだ。発想し作り食べてみる。それを繰り返しながらレシピを紙にまとめて行く。
最終的には採用された料理も失敗作も全てPCに打ち込む、要は創作過程の全てを記録として残すと言うことだ。PCのデータが消えたことでフェランが激怒するシーンがあるのだが、それは要するに膨大な量のデータ(当然失敗もデータだ)こそがエル・ブリの財産であり、それを記録することが新たなる創造へと繋がるからだろう。それにしても相手がフェランであっても2人のシェフは一切遠慮せず、3人で議論する姿は一見するとケンカにでもなりそうでヒヤヒヤしてしまう。ただし、新作料理はここで完成する訳ではない。そこが“日々の積み重ね”で、彼らの料理は、営業のためにエル・ブリに戻ってからも日々進化し続けるのだ。かくして舞台は営業開始前のエル・ブリへ。
3000人もの中から選ばれた料理人たちが主にオリオールから新作の作り方を教わる。フェランも言っているが、“創造”することと“調理”することは別の問題で、エル・ブリのように一人に対する品目が多い場合は特に調理する人間とその効率性がサービスに直結するワケだ。営業を開始するとまさに厨房は戦争。しかしその戦争の最中でも創造は積み重ねられてゆく。昨日より今日、今日より明日、いやもしかしたら1時間前と後では料理に変化が起こっていることもありうる。そのぐらいフェランとエル・ブリの料理は進化を続けるのだ。そうした努力が時として天恵をもたらすこともある。客の前で水にヘーゼルナッツオイルを浮かべるカクテルを作ろうと厨房を出てゆくオリオール。
戻ってきた彼が言う。「これは炭酸水だ。気付いた時には冷や汗をかいたよ。」と。ところが飲んでみたらこれが予想外にサッパリとしてイケるのだった。営業中に厨房の隅で新メニューのコースを黙々と食し、なにやらメモを取り続けるフェラン。かつてエル・ブリで修行をした山田チカラ氏は、「エル・ブリの料理に完成形はない」のだと語っているのだが、正にフェランは日々完成形を追い求めるある意味料理界の修行僧のようだ。日本の食材ゆずや抹茶を使った料理、また日本では“奇妙なことに”粉薬を飲むのに使うオブラートを使った料理など、随所に日本へのオマージュが捧げられたフェランの料理を見ると、やはり日本人としてはちょっと嬉しく感じる。
残念ながら今年の7月30日でエル・ブリは閉店し、料理研究財団へと姿を変えるそうだ。今後は新たな料理の世界を今までよりも更に広げてくれるのだろう。エンドロールに映し出される料理の数々は正に芸術品と呼ぶに相応しいもので、その姿は日本料理の繊細さに等しいものがあると思う。というより食べてみたくなった(笑)
個人的おススメ度
3.5
今日の一言:リアルミスター味っ子だ!
総合評価:74点
| 固定リンク
« CUT | トップページ | 運命の子/趙氏孤児 »
















最近のコメント