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2011年12月18日 (日)

私だけのハッピー・エンディング/A Little Bit of Heaven

Photo ある日突然末期がんを宣告された女性が、残された時間の中で家族・恋人・友人たちとの距離感に戸惑い、苛立ちながらもやがては自らの死を受け入れてゆくラブストーリー。主演は『キラー・インサイド・ミー』のケイト・ハドソン。共演にガエル・ガルシア・ベルナル、ウーピー・ゴールドバーグ、キャシー・ベイツといった演技派が揃う。監督はニコール・カッセル。
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ウーピー様の言うとおり!

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広告代理店に勤務し仕事もバリバリできる30歳のキャリアウーマン、マーリー・コベット(ケイト・ハドソン)がある日突然末期がんの宣告を受けてしまう。物語はそこから先の彼女と周囲の人間との微妙な距離感を描き出していた。……最近観たばかりだ…。これはもうそのまま『50/50 フィフティ・フィフティ』ともろ被りである。ただ大きく違うのは邦題『ハッピー・エンディング』でも解るとおり、主人公が最後には死を迎えることがハッキリしていることだろうか。従って、本作の場合は周囲の人間だけでなく、本人が自らの死を受け入れるという、自分自身の気持ちのありようも描き出していた。物語全体としては、ラストは泣けるが、途中は意外なほどコメディタッチな部分が目立つ。

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そもそもマーリーは異常なほどハイテンション。真剣な恋はしないけれどセックスは楽しみ、仕事もやり手、日々友人たちと充実した日々を送っている。その彼女にがんの告知をするのがジュリアン・ゴールドスタイン医師(ガエル・ガルシア・ベルナル)だ。如何にも自由奔放なマーリーと、何事にも真面目過ぎるほど真面目なジュリアンという対照的な2人が恋に落ちるのは、お互いにない部分に惹かれあったからだろう。それにしても品が良くハンサム坊ちゃん顔の医者が驚くほどガエルに似合う。いわゆる完全に肉食系女子と草食系男子の組み合わせだ(笑)真面目なジュリアンが一生懸命マーリーにジョークを言って笑わせようとするものの、ことごとくスベるのが面白い。

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大腸の内視鏡検査で麻酔をかけられたときの夢のシーンも愉快だ。いきなりドリフのコントのように雲の上にいるマーリーの前に神様が現れるのだが、その神様がウーピー・ゴールドバーグなのだ。ウーピーは彼女が死ぬと宣言し、3つの願いを叶えてあげようと持ちかける。このどことなく『ゴースト』を思い出させるファンタジックな展開は、面白くはあるけれど違和感がないといえば嘘になる。告知されてから先マーリーは、友人たちや両親にあっけらかんと「私がんで死ぬの」とカミングアウト。しかし言われるほうが平静ではいられないのは『50/50 フィフティ・フィフティ』と全く同じだ。やはり本人が平静であればあるほど周りは気を使う。

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マーリーには『50/50 フィフティ・フィフティ』のカイルのような親友はいない。しかしむしろその方が一般的だろう。徐々に進む病状に従ってナーバスになり、自己中心的な言動が目立つようになるマーリー。そんな彼女に対して周囲は距離を置くようになる。この辺は非常にデリケートな部分だ。彼女にしてみれば変な同情や哀れみは絶対に嫌なのだが、しかし周囲からの愛を感じられない孤独感は益々彼女の心を自分の殻に閉じこもらせるのである。そんな彼女の全てを丸ごと受け止めていたのがジュリアンだった。ただ、益々病状が進むとその彼に対してもキツイ言葉を吐くようになる…。無理もないのは解るけれど負の感情を当てられる周囲の辛さ、哀しさも良く伝わってくる。

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特に妊娠中の親友ルネ(ローズマリー・デウィット)の気持ちは複雑だ。新しい命が誕生する喜び、しかし親友を失う悲しみ…両方の感情に板挟みになる彼女の気持ちが切ない。さて、ここまではいわゆる死にゆくヒロインと周囲の心の物語なのだが、そこに彼女の恋愛観が融合されてくるのがこの作品の特徴だ。即ち、彼女は両親の不和を見てきたために本当の恋愛に踏み出すことをためらっていたのだった。ただ解りにくいのが、両親の不和の話と自分が父親からの愛情を感じられなかったという話の2つが混ざってしまっている点。最終的に父親がマーリーに「I love you.」と言ってくれたことで、彼女のわだかまりは消えるのだけれど、両親の不和の問題は別に解決はしていないのだ。

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ともあれ、マーリーは父の自分に対する愛情に気付くと同時に、友人やジュリアの自分に対する愛情にも気付き、自分が一方通行の愛だったことに気付く。こんな人も多くの人に愛されていたのだと気付くことで彼女は自らの死を初めて受け入れられたのだ。静かに死に行く彼女の姿は序盤のハイテンションの時よりもむしろ幸せそうですらあり、見ていて涙が抑えられなかった。ただ映画そのものとして考えた時には、特に目新しい内容は無く、全ての要素に既視感がありありなのが残念なところではある。無理に泣かせようとせず、むしろコメディタッチな部分は好感がもてたのだが。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:キャシー・ベイツが相変わらず上手かった
総合評価:72点

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