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2011年12月 7日 (水)

ちづる

Photo 立教大学の大学生・赤崎正和が卒業制作として、自閉症と知的障害を持つ二十歳の妹の毎日に密着したドキュメンタリー。妹のちづるさんと母親の生活を中心に、監督本人も出演しながら家族の素の姿を映し出す。『蟻の兵隊』の監督でもある池谷薫が製作を務め、現役の大学生たちの手によって一般公開に漕ぎ着けた正に手作りのドキュメンタリーだ。
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私がこの映画を好きな理由

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はっきり言ってしまうと作品のクオリティは高くないと思う。監督は所詮素人だし、構成的にも単にエピソードの羅列でしかない。しかもそのエピソードに関する掘り下げがほとんどなく映しっぱなしで、例えば劇中で赤崎監督とお母様がケンカするシーンがあるけれど、結果どうなったのかのフォローもせずただ“こういうことがありました”というだけ。ただ私はこの作品が好きである。理由は2つ。1つは監督の自然な気持ちの発露がそこにあるからだ。監督は自分にとってはこれが当たり前である自閉症の妹なのに、そのことに関して家族以外の人間には話せない空気が嫌だったと言っている。だからこそ彼にとって“普通”の妹ちづるさんの姿をカメラに納めて見せたかったのだ。

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お母様の久美さんも「あなたが自閉症に興味を持つのは良いことだと思う」と仰っていたが、要するに本作の制作を通して監督は自閉症と正面から向き合ったのだ。そして、それは実は私たちにも同じことが言えるのではないかと思う。恐らく監督はこれまでちづるさんの世話は殆どしていなかったのではないか。だからこそちづるさんが“普通”の妹だと感じるのだろう。しかし久美さんにしてみたらやっぱり彼女は世間一般で言う“普通”の娘ではないはずだ。カメラはちづるさんの姿を的確に映し出すと同時に、彼女の世話に孤軍奮闘する久美さんの姿も映し出している。つまり監督は「自閉症とは」ということに加えて、「自閉症の子を持つ親は」ということまで見せていたのである。

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本作が好きなもう1つの理由はちづるさんが可愛いから。チラシの写真もそうだが、それこそ彼女は普通に可愛い。スタイルだって悪くない。お母さんが若い頃の写真もでてくるが、これがまたちづるさん以上に可愛い。彼女はお母さんの血をしっかり受け継いでいるなと感じた。と同時に、とても可愛らしいけれど将来彼女と共に生きてくれる男性が現れるだろうかと思わずにいられなかった。酷なことを書いているかもしれないが、久美さんも自分が面倒をみられなくなったら施設に入れるしかないと仰っている。兄妹とはいえ、いずれは奥さんを貰い家庭を築くであろう監督に妹の面倒を見ろというのはそれこそ酷というものだ。他の障害者をとても怖がるちづるさんにとって、施設に入り家族と離れ離れになるのは辛いことに違いない。

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どうも筆者は久美さんに近い年齢だけに、監督に対してもちづるさんに対してもどうしても親目線が入ってしまうようだ。ちづるさんを通して自閉症や知的障害にがどういうものなのかは解るのだが、どうしても久美さんのことを考えてしまう。久美さんのお金を黙って自分のものにしていたちづるさんに怒る彼女を見ていると、親としての彼女を感じつつ、同世代の一人の女性としての彼女が見え隠れした。ちづるさんにいけないことはいけないと教えるために叱るのは親の顔、しかし取っ組み合いになった時思わず発する声は一人の女性の顔なのだ。つまり彼女だって常に親として相対するのではなく、時として一人の人間として感情を爆発させる時もあるのである。

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これは当たり前のようで当たり前ではない。自分たちの親を思い出してみるといい。劇中でも監督の将来について話すシーンでは監督と久美さんが大喧嘩をする。しかも、久美さんは涙を流して彼にあることを訴えるのだが、そこまで感情が激しても、2人が親子の関係であることは一瞬たりとも崩れないのだ。親が子に対して親のフィルターを外して接することなど普通はまずあり得ない。ところがちづるさんとはたとえ一瞬でもそうなってしまった。それはつまり久美さんが日頃それだけ苦労されている事の証左なのだと思う。とりあえず息子が母ちゃん泣かすのは最低だよ、監督。自分でもバツが悪かったと思うけど。嫁さんや恋人は泣かしてもいいけれど、母ちゃん泣かしちゃだめだ。

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別に本作一本で自閉症が何なのかが解る訳ではない。何故ならこれも久美さんがおっしゃっているが、自閉症といっても全員が同じ症状な訳ではないから。要するにこれはちづるという自閉症の女の子がいる家族の日常でしかない。しかし、普通では決して目に出来ないことをここまでオープンに曝け出してくれたご家族、特に久美さんを私は尊敬する。

個人的おススメ度4.0
今日の一言:正直な作品だった
総合評価:77点

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