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2011年12月10日 (土)

フェイク・クライム/Henry's Crime

Photo_2 無実の罪で刑務所に入れられた男が出所し、本当に銀行強盗を企てるというクライムムービー。主演は『50歳の恋愛白書』のキアヌ・リーブス、共演に『ミッション:8ミニッツ』のヴェラ・ファーミガや『ゴッドファーザー』シリーズのジェームズ・カーンが出演している。監督は本作が長編2作目のマルコム・ヴェンヴィル。
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タイトルと俳優に騙されたわ…

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キアヌ・リーヴスやヴェラ・ファーミガ、ジェームズ・カーンといった実力派俳優が出演している割に冴えない物語になってしまったのは脚本家のせいだろうか。アイディア自体はそれほど悪いとは思わないのだが、どうもそれぞれのセンテンスに関して大雑把な感じが否めない。主人公のヘンリー(キアヌ・リーヴス)は無実の罪で服役し、刑務所で知り合ったマックス(ジェームズ・カーン)にその生き方を諭される。出所してからどうしようかと考えていると、ふとした情報を得たことで濡れ衣を着せられる元となった銀行を本当に襲うことを決めるのだった。しかし最終的には計画の途中で知り合ったジュリー(ヴェラ・ファーミガ)とともに生きることを決意する―っとまあこんな流れの物語である。

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そもそも高校時代の悪友に野球の試合に誘われ、試合に出向く途中車を銀行の前に停めて待っていると、その悪友たちが銀行強盗をしていたというのが発端。何が何だか解らないうちに彼は逮捕されるのだが、悪友たちの名前を決してしゃべらない。そもそもこの最初からして疑問である。一人で罪を背負う瀬戸際なのによもや仕返しが怖いからなのか?だがそれに関する説明は一切ない。しかも服役中に離婚した彼が出所後家に帰ると、彼女の夫はその銀行強盗の一味だったりする。要するに無実の罪で服役中に妻を寝取られているのだ。にも拘らず、その男を平気で今度の銀行強盗の仲間に誘ってしまうとは普通とは思えない。しかもこの妻はその話のためだけに登場し、それ以外では一切登場しないのだ。

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マックスは刑務所にいるのが気楽故にわざと出所しないでいるのだが、そんな彼をヘンリーは仲間に引き入れるために出所するように説得する。釈放のチャンスがあるたびに暴言を吐きまくってまで刑務所に居残ろうとする男を相手にして、自分の生きる目的を見つけたこと、それが銀行強盗であることを一生懸命語るヘンリーだが、これがまた著しく説得力に欠ける。だが、何故かマックスはアッサリ出所してしまうのだった。そもそもどうしてヘンリーは銀行強盗をしようと思ったのか。実は銀行とその向かいにある劇場が地下道で繋がっていて、禁酒法時代に銀行に酒を隠していたという古い新聞記事を見たからだ。かくしてヘンリーはジュリーと知り合ったことをきっかけにして舞台俳優として雇われる。

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この辺の劇場にもぐりこむくだりだけは、マックスが元詐欺師だという経歴を少しだけ活かした流れが作られていた。ただどちらにしても十分にその経歴を活かしたとは言い難い。地下道に続く壁をハンマーでぶち破ったり、スコップで土を掘り出したり、それが1日ではなく延々と続いてばれない筈がないと思うのだが、これが全くばれない。その間にヘンリーとジュリーのラブストーリーもサクサクと進展してゆくのだが、そんなことよりも「オーシャンズ」シリーズばりの下準備や計略を見せて欲しかった。何しろ計略どころか、銀行の警備員が自ら彼らに協力し、聞いてもいないのに情報を売ってくるなんてのは失笑ものでしかない。一応自分の妻の病気の時に銀行がお金を貸してくれなかったそうだが。

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恨みがあってもその後何十年もその銀行に勤めているのだから説得力が無いこと著しい。もしかして罠ではないかと最後まで疑ってみたが、これが本当だった(苦笑)更に、いよいよ決行間近ということになると、今度は最初の銀行強盗の際にヘンリーを直接誘った主犯格の悪友が強引に仲間にしろと言い寄ってくる。ひと悶着ありそうなものだが、これまたヘンリーは素直にこの男を仲間にしてしまうのだ。案の定金を手に入れると銃を突きつけて裏切ろうとするものの、何とその場でマックスがアッサリ取り押さえてしまう…。一体何のために出てきたんだ?という訳で、最終的にはジュリーを捨てて逃げられずに舞台に戻り、その時の気持ちをセリフに見立てて舞台で芝居を繰り広げると言う下らなさ。

何の深みもない、人物的魅力もない、サスペンスも、緊張感も、おおよそ映画に必要な要素の全てが足りない「オーシャンズ」シリーズの超ショボイ版で救いは3人の俳優だけだった。

個人的おススメ度2.0
今日の一言:久々にドハズレ引いた…
総合評価:53点

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