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2011年12月27日 (火)

ブラッディ・パーティ/Wir sind die Nacht

Photo_2 『THE WAVE ウェイヴ』のデニス・ガンゼル監督が贈るドイツ発ヴァンパイアホラーだ。ひょんなことからヴァンパイアにされてしまうヒロイン。彼女が見たのは男たちを手玉に取りその血を糧として生き続ける女性ヴァンパイアグループだった。主演は『パフューム ある人殺しの物語』のカロリーネ・ヘルフルト。共演にジェニファー・ウルリッヒ、マックス・リーメルトらが出演している。
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妖艶な女性ヴァンパイアの魅力だけ…

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『THE WAVE ウェイヴ』のデニス・ガンゼル監督が贈るドイツ発のヴァンパイアムービーだ。特徴的なのは女性ヴァンパイアしか登場しないことだ。主人公のレナ(カロリーネ・ヘルフルト)はベルリンでスリをしながら生活していた。序盤はその彼女が警察に追われるシーンから始まる。彼女を捕らえようとした若い刑事トム(マックス・リーメルト)は彼女を追い詰めながらもまんまと逃げられてしまうのだった。ちなみにカロリーネは日本では知名度が低いが、『パフューム ある人殺しの物語』のキーパーソンとなる女性を演じたり、ケイト・ウィンスレットがオスカーを獲得した『愛を読むひと』では主人公の恋人役を演じるなどドイツの若手実力派女優である。

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やり場のない苛立ちを抱えたレナは、ある日ふらっと立ち入ったナイトクラブで謎の美女ルイーズ(ニーナ・ホス)に声を掛けられる。もっとも元々ルイーズはレナの事を狙っていたのだが。首筋に突然噛み付く姿は古典的ヴァンパイアを踏襲しているが、現代的美しさを持つニーナが口の周りを血まみれにしている姿が何とも妖艶でセクシーさすら感じさせる。当然ながらこれでレナはヴァンパイアの仲間入りをするのだが、翌朝起きると普通の食事は喉を通らず、生肉の血をすすり、日光に当たると皮膚が焼けるという、これまた思いっきり定番の反応はちょっとベタ過ぎて苦笑してしまった。晴れて?ヴァンパイアの仲間入りをしたレナだが、そこにはルイーズ以外にも2人の女性ヴァンパイアがいた。

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シャルロッテ(ジェニファー・ウルリッヒ)は元女優だったという設定通り清楚な美女。常に読書をしていてどこかに憂いを抱えたその姿が登場するヴァンパイアの中でも異彩を放っている。ノラは元気でチャーミングな女性だ。好きになった男を殺したくないという理由で、わざとキツイ言葉を浴びせるという優しさも持っている。もっとも、結局は血に抗えないと言うのがミソではあるが…。まるでルイーズを長女シャルロッテを次女、そしてノラを三女に見立てた設定はこれまたやけにベタで、確かにシックリと落ち着くもののもう一工夫して欲しかったという気はする。そこにレナが加わったワケだが、要するに彼女の立場はルイーズが愛してしまった運命の女性というものだった。

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4人が夜な夜な遊びまくり、血をまるでワインの如く飲み干す姿は退廃的だが、永遠の命をもつヴァンパイアには相応しい姿だ。ところが、最初に登場した刑事トムが再び登場すると話は新たな展開を見せる。要するにトムはレナに惹かれてしまったのだが、困ったことにレナもトムに惹かれて行くのだ。何だかこの話の展開はまるで男女を逆にした「トワイライト」シリーズのようでもある…。警察にアジトのホテルに踏み込まれてからがクライマックスなのだが、お前が原因だと切れるルイーズに対するレナの「あれだけ殺しまくっておいて警察にばれないとでも思っていたの!」は正論だろう。普通に観ていてあまりにも杜撰というか、ヴァンパイアの力に酔っていた結果なのは明白だった。

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愛する子供は老いて自分より先に死に、妹分のノラも警察の襲撃で太陽に焼かれて消滅、生き続けることに疲れたシャルロッテが自ら太陽の下で朽ち果てる姿は『30デイズ・ナイト』のラストシーンのようでもあったが、それそのものはヴァンパイア系の物語ではオーソドックスな葛藤でもある。更にトムを巡って嫉妬に駆られたルイーズとレナの戦いが繰り広げられるが、不老不死のヴァンパイア同士の戦いはこれまた既視感ありありだ。瀕死の重傷を負わされたトム、彼の目は愛する人と共に生きたいがために自分をヴァンパイアにするように望んでいる。しかしギリギリで止めるレナ。これもまるで「トワイライト」のベラ&エドワードの逆パターンだ。

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結局全般的に無難にまとまってはいるし、美しい女性のヴァンパイアを見て楽しむという分には良いのだが、話の要素の一つ一つが色んな作品からの寄せ集めであり、ヴァンパイアそのものの抱える葛藤も古今東西不変のもの。従って観ていて目新しさがなく物語的には今更という感じが先にたつ。何だか時間が立つとどの話がどうだったかが解らなくなってしまいそうな作品だ。

個人的おススメ度2.5
今日の一言:ジェニファー・ウルリッヒが好みのタイプ♪
総合評価:59点

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