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2011年12月23日 (金)

レア・エクスポーツ ~囚われのサンタクロース~/Rare Exports

Photo_2 世界中の子供たちから愛されるサンタクロースの秘密が明かされる?!サンタの母国として有名なフィンランドが贈るダークファンタジームービーだ。監督はクリスマスが近づくと森で狩りをしてサンタクロースとして輸出する男たちという、本作のベースとなる短編「Rare Exports Inc.」を制作したヤルマリ・ヘランダー。
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今暴かれるサンタクロースの秘密?!

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フィンランド映画というと『4月の涙』『ヤコブへの手紙』位しか観たことがないのだがどちらもやや重めの作品だった。本作は重めは重めでもダークファンタジー、しかしテーマになっているのがサンタクロースときたらある意味最もフィンランドらしい作品と言えるかもしれない。「レア・エクスポーツ」とは“希少な輸出品”と言う意味で物語のラストにこれが実に上手いタイトルだということが解ってくる。舞台となっているのはクリスマス・イブを迎えた北フィンランドの山村だ。主人公の少年ピエタリ(オンニ・トンミラ)はサンタクロースが世間一般で想像されている、子供たちにプレゼントを配って歩く優しい存在ではなく、実は恐ろしい存在だと信じていた。

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この辺りはまるで「本当は恐ろしいグリム童話」のようだが、要するに「サンタクロースは悪い子供を捕らえて悪魔に渡し、お仕置きを受けさせている」というものだ。それが子供ならではの空想ならよかったのだが、思わぬことから現実化してしまう。ただし、このことは物語のクライマックス直前まで明らかにされないのがミソ。従ってピエトロを除いた村の子供全員が失踪し、トナカイの群れが全滅するという異常事態が起こっても村人たちだけでなく、観ている私たちも一体何がどうなっているのやら皆目見当がつかないのである。きっかけは地質調査の名目でロシアとの国境付近にある山からサンタクロースを掘り起こそうとしたことなのだが、これも実は何を発掘しているのかは途中まで解らない。

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いずれにしても触れてはならぬものに触れて災いを起こすというのはホラー映画の常套手段であるが、触れてはならぬものがサンタクロースだという所が面白い。途中、ピエタリの父・ラウノ(ヨルマ・トンミラ)がしかけた狼用の罠に引っかかるサンタクロースがいるのだが、白髪白髭の老人姿は私たちが普通想像するサンタクロースそのままである。しかし、その顔からは感情が覗えず、子供であるピエタリを観る鋭い眼光は明らかに異常で不気味だった。しかしそれにしてもラウノたちの行動も飛んでいる。罠にかかって死んだと思ったサンタクロースが普通の老人に見えるため、ばれないように解体してしまおうとするのだ。ところがこの老人が生きていると解ったからまたややこしい。

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ラウノたちピエタリの話から、どうやらこの老人がサンタクロースだと悟ることになる。すると彼らは何と今度は発掘作業を指揮している男にこれを売りつけようとするのである。全くこうなってくるとどっちが悪魔の手先なんだか解らない(苦笑)まあその目論見はもろくも崩れ去るのだが…。取引場所に指定した村の倉庫にあちこちから湧いて出たように集まってくるサンタクロースたち。ここで初めて彼らが悪魔に使える妖精であることが明かされるのだが、股間にボカシの入った全裸の老人の妖精など聞いたことも無い。しかも倉庫の中には氷付けの悪魔が…。どちらかと言えば淡々と進んできた話がここに来てあまりにも大きな飛躍を見せすぎて、最初は一体どういうことなのか理解出来なかった程だ。

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ここから先、ピエタリが見せる007ばりの活躍や、悪魔をダイナマイトで倉庫ごと吹っ飛ばすといった描写はいささか強引のそしりは免れないだろうが、それでも198人の全裸老人の群れが雪の中を手に手に斧を持って追いかけてくるシーンなどという、今後恐らくお目にかかれないような映像を観てしまうと、これはファンタジーなのだなと思わざるを得ない。主人である悪魔を殺されたサンタクロースたちが、クリスマスイブにそれぞれ木箱に詰められて各国に輸出されてゆく。これが即ち「レア・エクスポーツ」の理由なのだが、送られたサンタクロースがどうなるのか、何をしているのかは我々には知る由も無い。このブラックジョークをどう受け止めるかは人によるだろうけども。

個人的おススメ度3.0
今日の一言:子供でも銃を持たせるのね…
総合評価:58点

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